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中年女性をターゲットにする結婚詐欺グループとその女性による公演を舞台にするドタバタ劇。

自宅に戻ったモモコは、其の頃珍しく神妙な気持ちになり、先祖に祈った。「私の内臓も家族の内臓も勿体無いから誰にも遣ら無い。」

数日して、またあの老人があらわれた。「私も仕事、仕事と言うのはもう疲れた。引退して、趣味で喫茶店を開こうと思っている。おいしいコーヒーと軽食、これは逆に家庭的な物でいいので、あなたに手伝って貰いたいのだが、どうかな。」以前のゴールデンレトリバーも一緒にいて、「前も言った様に、これ私のご主人様じゃないし、今日はコロンを何故か思いっきりかけてきて、くしゃみが出そうでたまらない。人間より犬の嗅覚が鋭いという事を知らないのかな。」この人間は常識知らずだと、モモコは思った。いい年したおばさんだから、料理が出来るだろうなんて。犬も可愛そう。当に犬以下。モモコは言った。「STAY HOME」「STAY HOME」。今日は踏んだり蹴ったりだった。此の後も良く来る柴犬に、伊達に長い間ここに通っていない、その柴犬の住所を知っているのだか、「俺は前世人間だったからお前より頭いいぞ。あぁみっともないその間抜け面。しっかりしろよ。」と言われ、お叱りを受けて、確かに頭良ければ資格など取らなくても、就職出来たはずとその通りだと思った。

モモコに追い返された結婚詐欺グループはまた会議をしていた。「あのターゲットは未婚では無く、バツイチで可成り心傷した様で、それで精神科に通っていて、生活保護を貰って貧しい人間の様だし、全く此方の話に乗ってこないのだけど。」ひとりが言うと、老人は「代わりに、あの女の妹を狙おう。」と言った。他の者が、「その者は亭主がいるし、夫婦仲が良いし、対象にならないのじゃないか。」と言うと、老人は「リサーチが済んでいるし、此の際誰でもいい」と言った。

その頃モモコは大変感謝していた。週一度料理の下手なモモコの為に、おかずを作って持って来てくれる。栄養が偏らないように、三食きちんと食べるように、お浸しでも良いから野菜を多く取るように言付けて言った。モモコは感激して思った。妹はまさに天使のような存在だ。

妹の桜子は、年老いた両親のところも定期的に訪ねた。桜子は、子供がいたらとても通って居られなかった。子供が居なくてよかったかもと、言った。

其の頃モモコは祈っていた。世の中の全ての不幸が、私に降り注ぎますようにと。

其の週末、モモコは通常の決まり事を行った。果物は良く食べるようにしているので、果物ナイフと、元亭主の写真とクッションと、缶ビール1本。クッションの上に写真を載せて、「死ね。」「死ね。」と突き刺した。缶ビールを飲んだが、モモコはお酒が弱いので、半分で酔っ払い辞めた。

その様子を、モモコに気付かれ無い様に、アパートの窓から覗いている者が居る。あの老人だった。

翌朝、其の儘眠り込んで居たモモコは、チャイムの音に仕方なく出た。近所からガスの臭いがすると苦情が来て、点検に来たと言う、ガス会社の方から来たという者に、外の検査だけだというのでイヤイヤながら了解した。

大丈夫だというが、さらに地震で停止した時の、復旧を教えるというので、教わることにした。30代の好青年で、白い歯がキラリと光った。部屋に戻ると果物ナイフが消えて居た。モモコは妙に納得した顔をしていた。

その夜半、突然雲が湧きはじめ、雷鳴が鳴り出した。彼の柴犬は雷鳴にも驚かず、安らかに眠っていた。そこにその老人が、今にも犬小屋の扉を開け、刺し殺そうとしていた。その時稲光が光、モモコの顔を映し出していた。

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