あなたがいないと世界は終わる
【光走性】 …生物が光刺激に反応して、本能的に離れたり近づいたりすること。
まるで世界が最終回のようだ。
高いところから低いところへ転がり落ちるように、ごく自然に、当たり前のように好きになった。
もう誰も止めることができない。
あなたが生きているというだけで、目の当たりがじんわり暖かくなり、それが頬を伝う。
何度聴いても、何度見ても、何度でも、私はあなたを好きになる。この瞬間のために生きていたのではないかと錯覚する。
そして、何度も何度も、何回でも、あなたに会いたくなる。
なにもない私に一緒に夢を見せてくれた。
今日もあなたは、宝石箱をひっくり返したようなキラメキで世界を輝かせる。
会えなくなって初めて気づくような思い出なんて欲しくない。
あなたのことをいつも考えている。
あなたのことはなんでも知りたい。
文明が発達したこの世界では、わからないことなんてない。
『三日連続、オムライスなのね。可愛い』
私はあなたよりもあなたのことを知っているよ。
だって私はあなたが好きだから。
今日も、息を吸って吐いてくれてありがとう。食べ物を口にしてくれてありがとう。
シンデレラは、あの夜王子様に選ばれた。そして、あざとくも靴を落とした。わざわざ彼に自分を探させ、そして大衆の前で【この人は自分のもの】だと知らしめた。
なんて計算高い女なの…と幼少期の私は憤りを感じた。だけど今は違う。
ありがとうシンデレラ。と声をかけて握手をしたい。初めての恋をする王子様や、苦悩の表情を浮かべる王子様、必死にシンデレラを探し汗をかく王子様。そんな色んな表情を引き出せるなんて…シンデレラあなた天才ね。
拍手喝采、万々歳。
美しい彼の視界に入るものは美しくなければならない。
私はそれを眺めたい。
王子様とシンデレラが踊っている後ろでシャンパンを飲んでいる、そんな存在になりたい。
『あ…この後ろに写り込んでいる観葉植物いいなぁ。碧くんが吐いた二酸化炭素を吸って酸素を供給している…』
もっと贅沢をいうのであれば、壁になりたい。
欲望のままに穴が空くほど彼を見つめたい。
好きかと問われたら、間違いなく好きだ。
だけど世間一般の好きとは違う。この感情を理解ふるのは非常に難しく、名前をつけることも困難である。
一つだけわかっているのは、私は【あなたがいないと世界は終わる】ということだけである。
できることなら、碧色の愛で圧死したい。私の碧色の王子様、今はなにをしているの。笑っているの、泣いているの。
恋とも愛とも違う好きのなかには、こんな形もあるんだと信じ、私はスマホの画面を暗くする。
おやすみなさい、私の王子様。
目を瞑る。色とりどりの光の海に、私の碧色は溺れていった。
とても早口そうな主人公・桜井です。
頑張って更新しますので、どうぞお付き合いください。