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光に近づきやがて死ぬ  作者: 幕下力士
1/7

あなたがいないと世界は終わる

 

光走性(ヒカリソウセイ)】 …生物が光刺激に反応して、本能的に離れたり近づいたりすること。

 


 まるで世界が最終回のようだ。

 高いところから低いところへ転がり落ちるように、ごく自然に、当たり前のように好きになった。

 もう誰も止めることができない。

 あなたが生きているというだけで、目の当たりがじんわり暖かくなり、それが頬を伝う。

 何度聴いても、何度見ても、何度でも、私はあなたを好きになる。この瞬間のために生きていたのではないかと錯覚する。

 そして、何度も何度も、何回でも、あなたに会いたくなる。

 なにもない私に一緒に夢を見せてくれた。

 今日もあなたは、宝石箱をひっくり返したようなキラメキで世界を輝かせる。

 会えなくなって初めて気づくような思い出なんて欲しくない。

 あなたのことをいつも考えている。

 あなたのことはなんでも知りたい。

 文明が発達したこの世界では、わからないことなんてない。

『三日連続、オムライスなのね。可愛い』

 私はあなたよりもあなたのことを知っているよ。

 だって私はあなたが好きだから。

 今日も、息を吸って吐いてくれてありがとう。食べ物を口にしてくれてありがとう。

 シンデレラは、あの夜王子様に選ばれた。そして、あざとくも靴を落とした。わざわざ彼に自分を探させ、そして大衆の前で【この人は自分のもの】だと知らしめた。

 なんて計算高い女なの…と幼少期の私は憤りを感じた。だけど今は違う。

 ありがとうシンデレラ。と声をかけて握手をしたい。初めての恋をする王子様や、苦悩の表情を浮かべる王子様、必死にシンデレラを探し汗をかく王子様。そんな色んな表情を引き出せるなんて…シンデレラあなた天才ね。

 拍手喝采、万々歳。

 美しい彼の視界に入るものは美しくなければならない。

 私はそれを眺めたい。

 王子様とシンデレラが踊っている後ろでシャンパンを飲んでいる、そんな存在になりたい。

『あ…この後ろに写り込んでいる観葉植物いいなぁ。碧くんが吐いた二酸化炭素を吸って酸素を供給している…』

 もっと贅沢をいうのであれば、壁になりたい。

 欲望のままに穴が空くほど彼を見つめたい。

 好きかと問われたら、間違いなく好きだ。

 だけど世間一般の好きとは違う。この感情を理解ふるのは非常に難しく、名前をつけることも困難である。

 一つだけわかっているのは、私は【あなたがいないと世界は終わる】ということだけである。

 できることなら、碧色の愛で圧死したい。私の碧色の王子様、今はなにをしているの。笑っているの、泣いているの。

 恋とも愛とも違う好きのなかには、こんな形もあるんだと信じ、私はスマホの画面を暗くする。

 おやすみなさい、私の王子様。

 

 目を瞑る。色とりどりの光の海に、私の碧色は溺れていった。

とても早口そうな主人公・桜井です。

頑張って更新しますので、どうぞお付き合いください。

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