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第2話・精霊の泉と月狼

気づくと、俺は森の中の小道にいた。


どうやら、俺は異世界についに転生したようだ。


と、まず自分の視界に違和感を覚える。

転生前は180㎝ほど身長があり、視界もその分広かったが、今は狭く感じる。

それ以外にも、なんだか体が軽い。

仕事疲れで常にだるかった体がまるで夢だったみたいだ。


「とにかく、歩いてみるか。」


俺はそう1人呟いた。

この世界で早くみんなを見つけたいけど、まずはこの世界について知ることが先決だ。


俺は、小道を歩き始めた。

舗装はされていないが、日常的に使用されているらしく歩きにくいことはない。

ちなみに、靴も服も転生前とは変わっている。

たぶん女神様がこの世界に合うようにしてくれたんだな。ありがとうございます。


心の中で女神様に感謝をしながら、俺は歩き続ける。キラキラと太陽の光が降り注いで、とても心地いい。


数分後、俺は小道の脇に、小さな泉と祠を見つけた。


そこで俺は自分の姿をようやく確認することができた。

結論から言えば、俺は若返っていた。18歳くらいかな?そんくらいの見た目に艶のある黒髪。転生前はあんなボサボサだったんだけどな。

それと、自分で言うのもなんなんだが、顔もそこそこイケメンになっている気がする。この顔があればリア充になれたのに……。


ん?何か立て札がある……げぇ、日本語じゃないぞ。……あれ?でも文字の意味はわからんけど、文章の意味ならわかるぞ?なんか不思議な感じだな。これも女神様のおかげか。


……なになに?『最近、この泉の近辺には、邪悪な魔物が辺りをうろついています。お気をつけください。』かぁ。


というか、異世界に転生したなら、どこに誰がいるっていう能力も通常装備で備わってそうだな。ちょっと試しに使ってみるか。んー、とりあえずそれっぽいことを言えば使えるかな?


探索(サーチ)!」


すると、俺の視界の端にうっすらと地図のようなものが浮かんできた。おそらく俺を表しているだろう青い点の近くに、赤い点がひとつある。もう少し進めば、どうやら街が近くにあるようだ、

おおー、案外すらっとできたな。

この赤い点はたぶん……


「ギャオーーーーーーーーーン!!」


きたきた。

見た目は狼だが、異様に大きい。2メートルくらいはありそうだ。背中の毛が艶々と光っている。フッカフカそうで、すげぇモフモフしたい。……いかんいかん、ついつい癖がでてしまった。

この狼が、多分『邪悪な魔物』とやらなんだろうな。

さてさて、どうしようかな。

多分俺はこの調子だと魔法もおそらく使えるんだろう。

でも、転生前からの性で、動物を殺すのにはためらいがあるんだよなぁ……。


あ、また俺はうっかりしてた。今こそ女神様から貰ったあの能力を使う時じゃないか。

えっと、確か名前が……


会話(カンバー)!」


俺はそう叫んだ。名前から分かる通り、人間でなくても、会話ができるというスグレモノだ。

どうせ動物に好かれるなら、いっそのことしゃべってみたい。

そんな思いから、俺はこの能力を女神様から貰った。


『この泉を荒らすニンゲンなんて近づけてはならん!この泉を守らねば!』


おおー。なんか意味深なこと言ってるぞ。


「この泉に何があるんだ?」


俺がそう聞く。すると、狼は驚いたようにこちらを見てきた。


『……!!ニンゲン……、お前言葉がわかるのか?というかお前の言葉を俺がわかってる時点ででそれは自明か……。』


戸惑いつつも狼は荒ぶっていた感情を急速に抑え、俺に説明を始めた。


『この泉は、水の精霊様がお住みになっている。この辺り一帯の水を管理する、とても大切な精霊様だ。しかし、最近ニンゲンはここにきては、泉の水を無頓着に持っていく。挙句、この泉の脇にゴミを捨てる者までいるくらいだ。

俺は、そんなニンゲンからこの泉、水の精霊様を守るために、きたニンゲンを追い払っているのだ。』


「なるほど。でも危険じゃないのか?お前自身も人間に狙われるだろう?」


『無論そうだ。怪我だってするが、俺は水の精霊様を守らなければならない。』


この狼、案外責任感が強くて良い奴なのかもしれない。見た目で判断しちゃいけないな。


さてと……、俺は別にこの泉を荒らすつもりはないから良いんだけど、他の奴が荒らして水不足に困るなんてことになったら辛いなぁ。


「……わかった。これから俺は街に向かうつもりだから、その時誰か偉い人にでも会って、この泉のことを伝えておくよ。水の精霊様が怒るのは、他の奴も勘弁だろうしね。」


『本当か!それは助かる。恩にきるぞ、優しきニンゲンよ。……我の名はゲルグ。この森の月狼(ムーンウルフ)の王を務めている。もしこの森で何か困ったら、我に頼るが良い。この恩は必ず返す。』


狼、もとい月狼(ムーンウルフ)のゲルグはそう答える。

こいつ、王だったのか。王自らこの前線に出てくるなんて、よっぽどの責任感で、よっぽどこの泉を守りたかったんだな。そして、人間に討伐されなかっただけあって、なかなかの強者だ。


「ありがとう、ゲルグ。……俺の名前は」


と、そこまで言いかけて俺は止まる。流石にそのまま俺の田原 右京という名前をいうのはちょっとまずい気がする。


「….…俺の名前は、キョウ。んーと、さっきも言ったけど、ひとまず近くの街を目指してる。よろしくな。」


互いに今更の自己紹介を終え、俺はゲルグに、配下の月狼(ムーンウルフ)たちが人間のことを襲わないように頼む。


そして、俺は案内を申し出たゲルグを固辞して、案内ができないとわかったゲルグき丁重な態度で送り出された。



さぁ、街まではもうすぐだ。




もう少しでモフモフ成分は出てくるのでお待ちいただけると…!

ブックマーク登録やポイント評価などよろしくお願いします!


追記:魔法名などを修正しました。

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