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第1話・始まりと転生

新作です!

よろしくお願いします!


俺、田原(タハラ) 右京(ウキョウ)は、昔から何故か動物に好かれる体質をしていた。

捨てられた動物や、怪我をした動物がなんでかいつも俺の方に目を向けてよってきたんだよな。


見捨てるにも見捨てられず、ネコやイヌはもちろん、インコとか、ハムスターとか、俺の部屋にはとにかくたくさんの拾った(寄ってきた)動物達がいた。


そのうち、借りて住んでた部屋だけじゃとてもスペースが足りなくなって、結婚した時の資金として貯めておいたお金を使って、夢のマイホームを建てた。

ちなみに俺は32歳。IT系で働いていたので、そこそこ給料は良かった。まあ働く時間帯は忙しさでマチマチだったから、深夜2時くらいに帰ったり、3日ぶっ続けで働いたりもした。ちゃんとみんなのケアは忘れずに。まあそのおかげで恋人はできなかったけど。


……動物達には好かれるのに、女性には縁がなかったんだよな……。くうぅ……。1度でいいからリア充になりたかった……。


いや、別に動物達に好かれるのは嫌じゃない。

何を隠そう、俺の趣味は、みんなをモフることだ。

この世にあんな極上の時間、探しても多分見つからないとさえ思っている。

そんな俺を、みんなは嫌な顔をせず、というかむしろ喜んで俺のモフモフを受け入れた。


とにかく、俺と動物達みんなの仲はめちゃくちゃよかった。

家の2階部分の大半が動物達のスペースになったのは流石にびびったけどね。




え?なんでこんな話をしてるかって?


いやぁ、死ぬ間際ってほんとに走馬灯って見るんだね。

大好きな動物達との思い出が頭の中にめっちゃ流れてる。


俺は今日、みんなを連れて、キャンプ場へ向かっていた。

自宅からそこまでは通りを1時間ほど走ってから、ようやくそこに向かう山道に入り、さらにそこから2時間という、恐ろしく山奥にあるキャンプ場だったが、俺はそこを愛用していた。

人がほとんどいない、というかゼロで(経営は大丈夫なのかな?)、しかもペット同伴が可能だったからだ。

たまには、みんな一緒に広いところで遊ばせてあげたいからな。


後部座席から、ワンワンニャンニャン、ピーチクパーチクいろんな鳴き声を聞きながら、俺は大通りを車で走っていた。

赤信号で車を止める。

はしゃぐみんなをモフるために後部座席の方を振り向く。


モフモフ。モフモフ。


あぁ〜最高!!!

癒されるぅ!!!


至福の時間を過ごす俺の目には、みんな越しにある窓から見える、猛スピードで突っ込んでくる車は入らなかった。


大きな衝撃。

俺の車は前方にふっとばされ、電柱に激突した。




そして時は現在。


相変わらず俺の目に走馬灯が走っている。


俺は死んでしまうのか……。


かすかに苦しそうな動物達の声が聞こえる。


せめてみんなは助けたかったが……。


もっと一緒に過ごしたかったな……。


そして、もっとモフりたかったな……。


そこで、俺の意識は闇に落ちた。




---------------------




「お兄さん、私の声が聞こえるぅ?」


どこからか間延びした声が頭に響いてくる。


俺は死んだんじゃなかったのか……?


「お兄さん、早く起きてぇ。いろいろとやることがあるんだからぁ。」


そこで、ようやく俺の意識が正常に戻った。周りを見渡すと、そこは一面真っ白の部屋で、先ほどから声が聞こえてきた方向には、金髪の美女が立っていた。


「よしっ、ようやく起きたねぇ。それじゃあ、説明を始めるわよぉ〜。そんなに時間もないしねぇ。」


金髪美女が話し始める。俺はまだ状況が理解できていない。


「私は女神っていうのぉ。まあ、様をつけて呼びたいなら勝手に呼んで頂戴ねぇ。私の仕事は、君を別の世界に転生させてあげることなのぉ。一つ能力もあげるわよぅ。」


金髪美女、女神様が言うには、やはり俺は死んだらしい。

でも、100%非がない死に方で死んでしまったから、転生の対象になるらしい。

そして、いわゆるチート能力ってやつも一つだけもらえるらしい。


女神様の話の要点をまとめると、こんな感じだった。


……ラノベ読んどいてよかった。やっと状況が理解できた。でも一つ気になることが……。


「すみません、一つ訊いてもいいですか?」


「いいわよぅ。」


女神様が鷹揚に頷く。


「僕と一緒に車に乗っていた動物達ってどうなりましたか?」


そう。そこが大事だ。せめてみんなは助かっていてほしい。


「……申し訳ないわねぇ。お兄さんと同じ車に乗っていた動物達も、一緒に亡くなってしまったわよぅ。」


「……そうですか。」


俺は一縷の望みをかけたが、帰ってきた答えは聞きたくはないものだった。


「でも」


女神様が柔らかそうな金色の髪を揺らしながら続ける。


「その子たちもたぶんみんなお兄さんと同じ世界に転生するわよぅ。まあ流石に種族は別だけどねぇ。」


「ほんとですか!?」


よかった。これで異世界でもみんな一緒に過ごすことができる!


「嘘はつかないわよぅ。多分獣人とかになるんじゃないのぉ?でも同じ場所に転生はできないから、たぶんバラバラに最初はなっちゃうけどねぇ。」


そんなことは関係ない。一緒の世界にいるならば、絶対に見つけてやる。そして獣人なら、モフれる。


「大丈夫です!絶対見つけますから!」


「あら、そお?……わぁ、そろそろ時間が迫ってきてるわよぅ。お兄さんはどんな能力が欲しいのか訊かないとねぇ。」


「うーん……。」


俺はしばし悩む。女神様に訊くと、転生する世界には、魔法というものがあるらしい。

不可能じゃなければ(といってもチート級の能力をもらえるのだが)、基本何でもいいそうだ。


しばらく悩んだ後、俺は答える。


「俺が欲しいのは」


そこで一旦言葉を切り、ひとつ息を吸う。


そして、俺は言葉の先を続けると、それは無事女神様からOKがでた。


「それじゃあ、そろそろ転生を始めるけどぉ、もし本当に困ったらぁ、1度だけ助けてあげるからぁ、私を心の中で呼んでねぇ。私、君のその考え方気に入っちゃったからぁ。」


ねっとりとした目でそういう女神様。

よくわからないが、どうやら俺は気に入られたらしい。気に入られる要素あったか?



その目に見つめられながら、俺の体は光に包まれはじめた________________。


感想や、ブックマーク登録などよろしくお願いします!

追記:微修正しました。

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