正論と現実
「今思うと君との出会は運命だったのかも知れないね、君のおかげで僕はこの学校に入る事ができた。その後もライバルとしてお互いに高め合い…」
何かいきなりこいつ昔に浸り始めたぞ?何?こいつにとって俺はもう居なくなると言うか過去の人なの?
俺ってそんなにどうでもいいやつだったのか?
今まで一緒に頑張ってきたじゃねーか。それなのに…それなのに…
「テメーも俺を裏切んのかよ…」
っ!つい口に出しちまった。でも俺は間違ってはねーはずだ。俺はリヒトの方を見た。
リヒトや他の奴らは少し驚いた顔をしたあと、悲しそうというか申し訳なさそうな顔をした、ミリー以外。あいつは凄い顔で睨み付けてきた。
「アンタ!私達がどんな思いで!」
「ミリー、止めてくれ。」
リヒトはまたミリーを止めた。何でこの女こんなに切れやすいんだ?チンチクリンのくせにあの日なのか?
「…君も分かってるはずだよ、どうして僕達と別れなくてはいけないのか。
〈天命職〉や〈加護〉を持っているものと持たざるものの絶望的な違いを。
そう、どう足掻いても変わらない桁違いのリソースと成長速度の差だよ。」
グッ…
確かに………〈加護〉持ちと俺が同じ様に修行したら〈加護〉持ちの方が断然強くなる。実際に俺が剣術でリヒトと互角なのはこいつには魔法の適性があって魔法の授業があったぶん俺は剣術に没頭できたからだし…
それに同じレベルの〈天命職〉やらの特殊職と普通の下級職や中級職じゃあ大人と赤ん坊や子供位に違う。
もっと普通のジョブから進化出来る最上位、〈英雄職〉ならいつか届くかも知れない。
とは言っても〈英雄職〉に慣れるのは選ばれた本の一握りの天才。でも多分〈加護〉持ちのミリーとユリアはなれると思う。
それでも〈天命職〉をジョブだけの力で互角以上になるには、かなりのレベル差を付けなくてはいけない。
それにリソース、特にスキルポイントか。こいつらは初期のポイントもあとから得るポイントも桁外れに多いいはずだ。これは本当に同しようもない。
リソースが多いい方が強い、これは常識だ。
勿論自力で覚えられるスキルも多いいけど、特殊なサポート系やパッシブスキルの殆どはスキルポイントを消費して会得出来るやつだ。
それに、〈天命職〉や〈加護〉を持ってるやつだけが取れるレアスキルとかも結構ある。
勿論レベルアップや他の方法でポイントを稼げるけど初期で成長強化系のスキルを持つことができるとしたらとてつもないアドバンテージになる。
こいつらは確実にそれらのスキルを取るだけのポイントが最初からあるはずだ、そしたら俺がこいつらに追いつく可能性は…
って何で俺は解説みたいなこと思ってんだよ!
「もし一緒に居たら一番きついのは君だよ。授業で習っただろ?才能が違いすぎる人達が組んだら大体どうなるのか。」
…ああ、覚えてるよ。
……自分もいつかこうなるんじゃ無いかって悪夢で何度も見たからな…
そんな未来を否定しようとして出来なかった。
何故なら正論だったから、
…………正論過ぎて吐き気がしたから
………
もういい
ききたくない
「最初の方はまだ良い、役割分担したりしてお互いに助け合える。
でも、時期にその役割分担でさえ才能がある方が両方やったほうが早くなる。」
うるさい
「才能がある方は次第にない方を邪魔に思い、ない方は劣等感取り込まれる。そしてお互いの間に距離が出来て、別れる。
ある方はまだ良い、でもない方は大抵別れが原因で落ちぶれる。」
うるせぇ
「大切な仲間だからこそ組めないんだよ、僕達は。
それに君には『特別』とまでは行かないけど才能はある方だと思うよ。
アジュリカ先生も僕達のパーティーを抜けてもSクラスのままでいいって言ってくれたよ。」
だまれ
「時々なら一緒に依頼やクエストも出来るよ、今生の別れってわけでも無いしね。」
だまれよ
「君は君に合ったペースで成長するべきだと思うんだ。もし貸したらいつか君なら…
「黙りやがれーーー!!!」」
シュバっ!
俺は気付いたらリヒトに殴りかかっていた、
逃げるために…
ヒョイ…
リヒトは行き成りの奇襲を当然のように避けた。まるで俺の拳が止まっているかのように。
「うおおおおおおおっ!」と俺は拳を振り続けた、目に涙を溜め込みながら。
「止めてくれ。僕はもう【勇者】なんだ…ジョブすらない君では…」
「何で!っっ…あったら…っ…ねーんだよ!今朝まで…っ!あたってた!…だっろ!」
くそくそくそくそくそくそくそくそ!
何でそんなかわいそうな目で俺を見んだよっ!お前ら皆!皆!
何で!俺だけ!いつか!努力が報われると思っていたのに!何で!何で!
今まで俺がしてきた事は無駄だったのか?!
なぁ!!誰か答えてくれよ!
「もういい…、もういいんだよ。」
パンッ…
リヒトが俺の全力の拳を止めた。まるで卵をキャッチする様に、優しく。
そして…
「もし、どうしても君が現実を受け入れられないのなら、僕が手伝ってあげるね…
だって………
友達だから…」
グシャっ!!
…あれ?何で俺が倒れてんだ?
何で…?なんで皆そんな悲しい顔してんだよ?…
リヒト…
ミリー…
マリアナ…
ハート…
…
ユリア…




