プロローグ
俺の名前は寄生 頼人。
キラキラネームだって?
親が時代を先取り過ぎたんだよ。ほっとけ。
歳は31。
仕事は……していない。所謂ニートだ。
今はニートって言葉も当たり前になったのか、前みたいにTVやネットで頻繁に見るって事もなくなった。
それでも俺みたいな奴は腐る程世の中には溢れてるだろうと思う。
仕事をしていなかった訳じゃない。色々やった。
コンビニ、ファミレス、ガソリンスタンド、パチンコ屋、夜間工事、工場、色物だと出会い系のサクラ、派遣社員、契約社員、正社員だった事もある。
でもある日、ふと仕事に行きたくなくなった。
別に仕事をするのが嫌いだった訳じゃない。
何となく。本当に何となく行きたくなくなった。
強いて言うなら、バカバカしくなった。
何で働く必要があるのかと。
そして、ニートになった。
今は実家で暮らしてる。寄生虫、パラサイトってやつだ。
家族には疎まれているのか、憐れまれているのか、はたまた諦められているのか。よくわからない。
少なくとも顔を合わせてまともな会話をした記憶が暫く無いって事は確かだ。
家に居て、ネットやゲームをし、漫画や小説を読む。
楽しい。とても楽しい。
楽しい……はずなのに、それでも拭えない虚無感が常に襲ってくる。
あの日も、そんな虚無感に襲われた。
俺は虚無感を払おうと、部屋を出て、珍しく話しかけてきた親父と喧嘩をした。
そのまま家を飛び出して、何かから逃げる様に、走った。
走って、走って、階段を踏み外して――死んだ。