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王子誘拐事件!? 犯人はアラン?

王子を誘拐犯と思った兵士達はアランを厳しく尋問するがアランは知らないの一点張りだった。その頃カインはやっと意識を取り戻すと昼間襲ってきた魔物にまたも襲われる。

「王子をどこへ隠した!?」

「知らないわよ…」

「まだそんなこと言うか!」

腕は頭の上で拘束された状態で鞭を打たれる。

パン! パン! …

「きゃっ! いっ! あぁ!」

尋問を受けるアランはただ同じことを聞かされる。王子はどこだ!?隠した場所は!?目的はなんだ!?アランは知らないと答えるしかなかったが、お望みの答えを聞けなかったときはまた鞭や水責めといったあらゆる拷問を受ける。アランの身体は鞭でうたれアザだらけとなっていた。

 その尋問は城について2時間はたとうとしていた。

「今日はこれくらいにしてやる。明日には吐いてもらうからな!?」

地獄の尋問が終わり、アランは冷たい独房にいれられる。

「あの人が王子様なんて…もう最悪だわ」

アランは昼間の出来事を後悔する。

「こんな時に王子様はどこへ行ったのよ…。このままだと」

アランは1番最悪なことを想像する。

「処刑される…」

アランは冷たい身体を摩りながら隅っこに座り込んだ。

「王子様ってわかってたらあんなこと言わなかったのに、どうして言わなかったのよ…バカ王子」

アランは貶しながらだんだん眠りにつく。


 夜の街道の外れ、大きな草むらにカインは意識を失っていた。

「う…うん」

カインは意識を取り戻し、何が起こったのかわからなかった。

「僕…どうしてここに? それに今は…夜!?」

カインは意識を失う前と後の状況が変わりすぎて落ち着きがない様子だった。

「なんで!? どうして?」

草むらを掻き分けて街道と思わしき道にでると、至るところに穴が空いていた。

「これって…」

王子はだんだんと思い出す。

「そうか! 僕はアランの護衛を解任されて、それで…」

アランの爆弾の嵐を受け、その爆風で飛ばされて気絶したことを思い出す。

「僕はどうすれば…」

途方にくれていると、カインが気絶した草むらの方からあの狼の魔物が迫ってきた。

「お前!?あの時の」

あの時は怯えて何もできなかったところアランに助けられたが、今はそのアランがいない。

「アラン…助けて」

懇願するカイン。だが魔物はそんなことはお構いなく近づき襲う機会を伺う。

「助けて…だれ…」

カインはまた怖気づくと。

「まったく…この程度の魔物で怯えるなんて、情けない」

「この程度で怯えてたら、人と戦う時なんて使い物にならないわね」

「お勉強の時間は終わり。わかったら魔物や人間に怯えずに戦ってよね」

「魔物や人間と戦う…」

アランの言葉を思い出し、カインは剣を抜く。

「ガルルル…」

「こんな魔物で怯えてどうする…僕はアランの護衛をする傭兵なんだ。こんな魔物の一匹や二匹、倒してやる!」

意を決したカインは無謀にも立ち向かう。

「うぉーーー!」

子供が剣を振るうようにブンブン振り回す。そんな様子をみた魔物は堪らず逃げていった。

「はぁはぁ…追っ払えたの?」

カインは少し嬉しくなる。

「追っ払えただけでもいいよね? アラン」

主なき傭兵は主がいると思って話しかける。剣をしまい、次に自分がどうすればいいかを考える。

「このあと僕はどうすれば…」

カインは自分がなぜアランの護衛となってここにいるのか思い出す。

「畑の作物が育たないから何とかしてくれって手紙が来たの。1度畑の調査をして、私に何ができるか見てみるの」

「…そうだ! マグダイ村だ。マグダイ村に行って畑の調査するって言ってたんだ」

思い出すカインはマグダイ村に向かうことにした。

「僕もそこに行ってみよう」


 カインは月明かりのもと街道をまっすぐ歩く。

「夜の外ってなんか不気味だな…。夜でもこんな街道歩く人なんているのかな?」

初めての街。初めて一緒の行動。初めての夜の街道。その全てが新鮮だったが、夜の街道だけは不気味しか感じなかった。

ガサガサ!

「ひっ!?」

近くの草が揺れただけで驚くぐらい怯えてる。

 すると目の前に、明かりが見え始めた。

「もしかして、あれがマグダイ村?」

カインはその明かりを見つけると一目散に向かう。村の入口には門があり、その門の両端に松明が掲げられていた。その門を潜るが、明かりが消えて眠りにつく家ばかり建っていた。

「みんな寝ちゃったのかな? 時間がわからないからどうしようもできないな」

またも途方に暮れると、1軒だけ明かりが灯ってる家を見つける。

「明かりだ! まだ起きてるかな?」

その家に行き、玄関の扉を強引に叩く。

ドンドン!

「開けてくれ!」

カインは大声で家主に言う。すると中から、

「こんな夜遅く誰だ!?」

怒鳴り声が帰ってきた。

「僕はカインといいます。アランという女性を探してるのですが来てませんか?」

「アラン様?来たけどもういないよ」

「どこへ行かれたか知らないか?」

「知らないね。もう家に帰ってるだろ!こんな時間に訪ねてくるなんて非常識だぞ。」

そう言って扉が開くと鉄製の棒を持って男が出てくる。だがそこには誰もいなかった。

「誰もいない…。寝ぼけてたのかな?」

男はそのまま家に戻り扉を閉める。


 カインは既に村を離れ、急いでアランの家に向かっていた。

―アランに認めて欲しい。

その想いでまた夜の街道を走る。それまで暗くて不気味に感じていたが、今はその気持ちよりも認めて欲しいという強い想いが勝っていた。

「アラン! 僕魔物を追っ払ったよ。マグダイ村までひとりで行けたよ! もう一度、護衛として一緒にいさせてほしい」

そう思いながらひたすら走り続ける。

すると辺りの景色が明るくなってきた。

「朝? そんな時間だったのか」

朝を迎えてもカインは走り続けた。


 そしてアランの家にやっとたどり着くとカインは呼吸を整える。

「はぁ…はぁ…アラン」

マグダイからアランの家まで3、4キロ程の距離をカインは止まることなく走り続けた。汗だくになり、呼吸も荒く、すぐに座り込みたかったが、少し休憩してからアランの家の扉を開ける。

「アラン!」

そう言って開けると、テーブルや椅子は倒れ、床には数人の足跡があった。

「何があったんだ? この荒れようは…」

荒れ放題になったアランの家を呆然と立ち尽くすカイン。

「外には山賊や人攫い、追い剥ぎなんかもいるのよ」

アランの言葉が脳裏に浮かぶ。

「まさか人攫い!?」

カインはそう思い、助けを求めるために街へ向かっていった。


 同じ頃、朝を迎えたアランは城の兵士に無理やり起こされ、尋問の続きを再開する。

「王子を攫って何をするつもりだ!?」

「だから王子なんて知らないって!」

「街の中で見てる人がいるんだよ! お前と王子が外へ行くところを!?」

「だから王子だって知らなかったのよ!」

尋問してる途中ひとりの兵士が尋問官の耳元で話す。

「…じゃあこいつは!?」

「…」

「わかりました」

話しが終わると兵士は自分の持ち場へ戻っていく。

「喜べ! お前の尋問は今日で終わりだ!」

「え!? じゃあ…」

アランは喜ぶ。だが尋問官は、

「すぐに処刑を開始することとなった」

「え…」

「王子は見つからない、お前は吐かない。王子に手を出したらこうなるぞという見せしめも兼ねて、お前は市民の前で処刑することとなった」

「そんな…誘拐なんてしてないのにこんなの理不尽よ! 王様にあわせて!?」

「その王様がそう決断なさったのだ。諦めるんだな」

「そんな…私は誘拐なんて…」

アランはガクッと肩を落とす。

「お前の処刑は昼に決まった。それまで独房でおとなしくすることだな」

アランは兵士に連れられ、また独房にいれられる。

「なんで私が…」


 カインはまたも街に向かって走っていく。

「待ってろよアラン。父さんや兵士長に頼んですぐ助けてやるから!」

カインは必死に走る。

ぐぅ〜…。

「何も食べてないからお腹空いたな。でも今はそんなことよりアランを助けなければ!」

意識を失ってから水も食べ物も口にしてなかった。

「あ!」

ズサッ…

盛大に転けるカイン。すぐに立ち上がろうとすると、

「痛っ!?」

膝のズボンは破れ、そこから血がにじみ出ていた。

「こんなの…」

痛みを堪えながらカインは走った。

 

 そしてカインは街に着き、門を潜る。街に入ったカインは妙な空気を感じた。

「なんだ? この異様な雰囲気は?」

昨日まで人が歩いていたのに、今日は誰もいなかった。するとカインに声をかける人がいた。

「あれ? お前はカインだっけ?」

「あなたは酒場のマスターさんでしたよね?」

「おぅそうだ。そんなことよりも大変だ! アランが処刑されるらしいぞ」

「アランが処刑!? なんで?」

「なんでも王子が攫われたみたいで、王子と一緒に街を出たアランを誘拐犯と思ってるみたいなんだ。今はみんな城の前にいるよ」

「僕行かなきゃ!」

「待て!」

とんでもないことを聞いたカインはマスターに止められる。

「離せ!」

「お前、いやあなた様は王子様であらせますよね?」

「なぜそのことを!?」

「どっかで見たことがあると思ってたんだけど、アランと一緒に街を出たって言ったら、王子様しか考えられなくて」

「だから僕は行かなきゃいけないんです!」

「ですから待ってください王子様! 今真正面から行っても人集りで近づくこともできません」

「じゃあどうすればいいんだ!?」

「私についてきてください」

マスターに言われ、ついていくカイン。


 その頃城の前には物凄い数の市民が立っていた。手枷を付けられたアランは俯いたまま市民の前に晒される。

「皆の者、聞くがよい。我が愛しの息子カルヴァンを攫ったこの娘を処刑することとなった。王子を攫い、隠した場所も言わず、反省の素振りも見せないこの娘を私は許さない! 今後このようなことをする者はこの娘のように処刑することとなった」

王は今の気持ちとこれからの対処を市民に示す。群がる市民は困惑する。

「アランちゃんがそんなことを…」

「俺は信じない! アランがそんなことをするとは思えない」

「でも王子を攫ったって…」

アランを信じる人や王の新たな法令に戸惑う人いろんな人がいた。今の王に何を言っても聞き入れてくれない。楯突いたところでアランを助けられない。皆そう思っていた。

 人々が困惑してる間にアランは処刑台に連れて行かれる。アランは無理やり膝を折り、その場に膝まつかせる。そして革袋を頭に被せられる。

―もうだめ…。

アランはそう思ったその時。

「アランはそんなことする人ではありません!」

アランにとって聞き慣れた声を耳にする。革袋を被っているため確認はできないがアランは確信する。

「誰だ!?」

「俺はただの配達員だ! アランは人を助けることはあっても人を悲しませることは絶対にしません!」

「お前に何がわかる!? 王子を、息子を拐かされる気持ちを!」

「俺には子供はいません! だがアランのことは誰よりも知っています。アランはそんなことしません! 何かの間違いです」

「ならばどうして王子は帰ってこない!? それは既に殺したか、仲間に託したか、そのどちらかだろう?」

「王様! アランを信じてやってください。お願いします」

「…土下座したって私の気持ちは変わらないぞ!」

―土下座!?

アランは驚く。配達員の必死の訴えにアランは気持ちを持ち直し、

「私は王子を攫ってません!? 信じてください王様!」

アランは訴え始める。

「なら王子はどこにいる!? お前の知ってる限りのことを言え!」

「私は王子様のことを傭兵だと思って外にいきました。そのあとははぐれてしまってどこにいるのか私にも分かりません!」

「王子を外にだと!?魔物に襲われたらどうするんだ!」


 すると処刑台から誰かが登ってきた。

それは…。

「王様! ただいま戻りました!?」

ボロボロの姿のカインがでてきた。

「おぉ! カルヴァンよ、無事だったか?」

カインことカルヴァン王子はアランの革袋をとる。

「僕なら大丈夫です! これは僕が招いたことです。彼女は関係ありません!」

「そうであったか…すまないアラン。」

「いいえ、私がいけなかったのです。確認もせず傭兵だと思って連れてってしまって申し訳ございません」

アランはその場で土下座をする。するとカルヴァン王子はアランを起こす。

「僕がいけなかったのです。それに…」

「それに?」

「僕はアランの護衛として雇われた傭兵のカインです。アランが無事でよかった」

「よかったですって!? あなたがいなくなってから私がどれだけひどい目にあったかわかる?」

「え…っとその…」

「おかげでアザだらけよ! どうしてくれるのよ!?」

「あのアラン…」

「気安く呼ばないでくれる?」

「アラン…周りみて」

カルヴァン王子の言葉にハッと我に返ると、王様や配達員、集まった市民が2人のやりとりをみていた。

「わわ! ごめんなさい王子様!? 王様!?」

顔から火が出るほど赤くしながら謝るアランに王は軽く咳払いして、

「まぁ無事王子が帰ってきたんだ。アランの処刑は取りやめとする」

「ありがとうございます王様」

王はそう言うと次に市民に向き直す。

「愛する民よ、多大な迷惑をかけて申し訳なかった。お詫びに明日は街全体でパレードを開催しようと思う。王子よ、城へ帰るぞ」

「はい…」

王はそう言ってカルヴァンとともに城へ帰っていった。集まった人々も解散する。アランは緊張が解け、その場で座り込むと配達員が駆け寄ってくる。

「大丈夫か? アラン」

「大丈夫だけど…なんであんたがここに?」

「俺は仕事で来たまでだ。家にいなかったし、ついでに街にも配達があるから行ってみたらこの騒ぎだったから助けに来たんだよ」

「そう、ありがと」

「それだけかよ!」

「だって頼んでないもん」

「お前というやつは…」

「でも喧嘩相手がいなくなるのは寂しいかも」

「なんだって?」

「何でもないわ! やっぱりあんたが来るとろくな目にあわないわ。どこまで私を不幸に堕とすつもり?」

「知るか!? 助けてやったのに損した気分だ。俺はもういくから問題事起こすんじゃねえぞ?」

「そっちが招いてるようなもんでしょ!?」

「はいはいそうですね。それじゃ!」

2人はいつものように喧嘩して、そして終わる。

「あ〜あ、せっかくの服が台無しじゃない。もう最悪だったわ…」

アランはボロボロになった服をみて気分を悪くする。

「これ王様に言えばなんとかしてくれるわよね?」

少し淡い期待をしてアランは帰っていった。

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