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呪術?

「だけど、女の子があんな夜遅くに、一人で公園にいるなんて危ないよ」

「あ. . .そうですよね。ごめんなさい. . .」


直樹の言葉に、華子は消え入りそうな声で応えた。

直樹は首をかしげた。

落雷のあった大木がある場所は、鏡池と言う池の近くだ。

鏡池とは、古代人が池に鏡を投げ入れ、呪術を行っていたのが、その名前の由来だそうだ。

外苑公園は東京ドーム2個分ほどの広さがある、帝の恩賜公園だ。

鏡池は、鬱蒼とした森の中にあり、有名な心霊スポットとして知られているため、日中でも人気がない。

今夜は雷雨だった。心霊スポット巡りが趣味の者さえ立ち入らないだろう。

高僧直伝の武術の心得のある直樹でさえ、雨を避けるための近道としてでなければ、通ることはなかった。

なぜ、華子は一人、あんな場所にいたのだろうか?

フツーの女の子なら、昼でも行かないような場所だ。


「あんなところで、何してたの?」


直樹は華子に聞きたかったが、華子のミステリアスな風貌が、その質問をすることをためらわせている。

直樹は、自分と入れ替わってしまった華子の風貌をみやる。

目を覆うがごときの前髪。腰まである黒髪。細い目。ぼんやりとふっくらした輪郭。赤い小さな唇。雪のように白い肌。

直樹はオカルト風な華子の顔を見ながらぞっとした。呪術でもしていたんじゃないだろうな?

魂が入れ替わるなんて、めったにないことだし、原因を追及するのは、良い暇潰しになると思って面白がっていたが. . .

直樹は高校三年生だが、全国模試で10番以下を取ったことはない。最難関大学の医学部受験とは言え、焦りはない。

だが、華子との件は、さっさとけりをつけた方が良いと、本能が告げていた。

華子は悪いやつじゃなさそうだが、フツーの女の子じゃなさそうだ。

瀬田病院が見えてきた。

病院のエントランスには、直樹の祖父である院長の権蔵(ごんぞう)以下、病院のスタッフ達が直樹を待ち構えていた。


「全く、大げさなんだから」


直樹は小さくため息をついた。


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