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 猫的によく考えれば、あやまる必要などないのだ。逆に自分達のプライべートな生活に介入され、いい迷惑くらいのものだ。だが、そこはそれ、二匹とも飼われている立場である。収入面で小次郎は里山をやしなう立場だが、生活の世話はしてもらっているのだ。猫がドラッグストアで猫缶を買う訳にはいかない。まあ、持ちつ持たれつ…といった共生関係にある・・と小次郎は認識していた。

 最近、小次郎は里山の書斎の本を時折り読んでいる。いつやら始めた人間観察が芸能界デビュー以降、等閑なおざりになっていたのだが、ようやくそのひまが出来るようになったためだ。もちろん、書棚の本を自分の力で取り出すことは出来ないから、里山にそのむねを言っておく・・という手段を取る訳だ。

「…? ああ、あの本か。よし!」

 里山は訳なく了解し、書棚から取り出して机の上へ置いてくれた。本をめくるくらいの力は小次郎にもあるから、あとは、少しずつ読むだけだった。別に知識をみぃ~ちゃんに、ひけらかすつもりは毛頭、小次郎にはなかった。ただ人間学を極めたい・・という一念である。

 式場が騒々しくなり、これはまずいと、ともかく、小次郎とみぃ~ちゃんは元のテーブル椅子へヒョイ! と昇り、何事もなかったかのように悠然ゆうぜんと腰を下ろした。ざわつきながら集中していた来賓の目が里山達から遠退とおのいたのを見届け、ホテルの司会進行がせき払いを一つした。メンツをつぶされた部長の蘇我だけが不機嫌っぽく里山のテーブルを見ている。里山は、ざまぁ~みろ…という気分で蘇我を見返した。

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