いい加減な現代知識による内政チートについて
【主題】
主人公が現代知識により内政チートや武器技術チートをする作品を頻繁に目にします。
・輪裁式農業(輪作)
・砂糖の生成
・紙の作製
・火薬の生成 etc.
書き手自身もよく知りもしない知識を元にして書いている為、限定的でいい加減な記述しかなされず、作者の無知と無恥を曝け出してしまっています。
せめて知識チートを題材としたり設定利用するなら、最低限でもWikipedia位は確認しましょう!!
【考察】
まず一番多いのが農法の改善として「輪作」が挙げられます。所謂"クローバー"とか"蕪"ってやつですね。物語の中では、土地が瘠せ収穫量が減る事の対策として休耕地を設ける三圃式農業に対して、クローバーや蕪を植えろ! といったもの。
これは間違いではありませんが、そもそもが元からの休耕地にしてもクローバーにしても只放置するだけでは余り意味は無く(土中の窒素固定の意味はありますが)、其処に家畜を放牧し草を餌としつつ糞尿が肥料となるから成立します。であるのに多くの場合は家畜は非在なり殆ど無関係な形で描かれていて、それで内政チート!に繋がる訳もありません。
また砂糖の生成にしても、原料となる甜菜を育てて煮出して砂糖を抽出しウハウハ!程度の描かれ方に留まるのが常であり、輪作の際の蕪の代わりに植える事が出来、加えて搾り滓も家畜の飼料となったり製紙原料への転用も可能であったりする事は触れられすらしません。この製紙原料についても、わざわざ樹木を伐採し樹皮から植物繊維を得る描き方が殆どですが、通常のファンタジーならば農村の主作物は麦であり収穫後の麦藁が立派な製紙原料となりますし(藁半紙!ですね)、伐採後の再成長の早い竹なども同様です。
最後の武器技術チート=火薬にしても、木炭と硫黄と硝石で黒色火薬生成→ヤッハーイ! とだけ書かれるのが殆どです。まあその配分比はともかくとして、導火線は?雷管は?との疑問すら生じる事も無く、恰も出来た火薬に火を点ければ単純にドカンといきそうな感じすらしてしまいます。
【処方】
まあ精々主人公のトリビア-無駄知識を基にするんだから見逃せよという意見もありますが、内政チートを主題とした作品では主人公がたまたま知っているというより「俺は知っているゼ!」的な形が散見され、だったらきちんとした知識を少し位は確認してから書けよとツッコンでしまいます。
確りとした作者はきちんとした描き方をされますし、また良く分かった作者は主人公の知識がうろ覚えのものであると触れられていたりします。
そのどちらもせずに、他のネット小説を読んだり聞きかじりの知識だけで誇らしげに迂闊な書き方をすると、自分の新たな黒歴史を作りかねないので注意しましょう!