ハーレム設定に於る各女性キャラの浅薄さについて
【主題】
所謂チーレムは異世界ファンタジー小説の王道の一つであり、異世界に渡った主人公が一夫多妻制の下で「ハーレム」を築き、複数の女性を妻や恋人としてオイシイ思いをするというのは、ネット小説のヲタク度の高い男性読者の大多数が自らを主人公に投影する事で大きな歓びを得る為、普遍的に高い人気を得る設定でありましょう。
【考察】
さて、此処で言う「ハーレム」に関しては私自身も前述の男性読者の1人である為、特に問題にはしません(笑)。今回触れたいのは、ハーレムに属する各女性キャラクター達の創り込み=人物描写について、であります。
誰がどんな特技(魔法や武技)を持ちどんな地位(王族/貴族/奴隷等)にあるか等は、大半の作品でも述べられています。しかしながら大抵は相手が好意を持つ際のストーリー展開や、その後の戦闘等で共に活躍する等の記述が精々であり、メインヒロインであってさえ単なる"チョロイン"的な設定しかありません。
ハーレムとは言え、普通は二人目・三人目・次々とハーレム人員が増えれば、誰がNo.1(正妻)で他の誰がNo.2(愛妾)で他はどうなっているのか?主に誰が仕切役で誰の発言がどんな時に重く取られるのか?相互の好悪感情はどうなっているのか?など、男性より感情的な女性ならではの動きがヒロイン同士の中で有って然るべきにも関わらず、大抵はその様な記述は存在しません。
王族や貴族ならより高位の女性が上になるのが当然であり、またどんなに主人公の寵を得ていても奴隷や下位種族が出しゃばる事は有り得ない筈であるのに、大部分の作品のハーレム人員達は何時でも平等に仲良し小良しに表現され、薄っぺらい人物描写に留まります。
【処方】
主人公不在のシチュエーションでのヒロイン相互の会話描写や、特定のシーンに於ての"順位"に従った行動の記述等でも良いでしょう。時々での1,2行程度のちょっとした描写で良いのです。きちんとヒロイン達の人物設定を行いその描写にも心掛ければ、キャラの確立と同時に作品の深みも増すかと思います。
王女枠・奴隷枠・ロリ枠・ケモナー枠など、決まり切ったパターンのキャラ設定と単なる人数枠的なキャラ表記(会話)だけでは、そのキャラの浅薄さが一層に際立ち加えて作品の軽さを目立たせてしまい、作者の構成力不足が露わになるだけでしょう!