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「500円です」

作者: 翠蓮
掲載日:2026/06/23

「500円です」

音声案内に従って端末をかざし、今月分を支払った。


家と会社を往復する代わり映えのない日々。

恋人がいたのはいつだっけか。

1…2…いやもう3年か。別れてからもう3年たっていたことに自分で驚く。



「500円です」

今月も同じ金額。

そうだろう、何も変化はないからな。


「おい!金額がおかしいぞ!」

隣の列でおっさんが大声をあげていた。

「急にこんな高くなるなんておかしい!俺のじゃない!」

怒鳴り続けているがバカだな、騒いだって金額は変わらないし、なんなら上がりかねないのに。

問題を起こすなんて。



「500円です」

今月分を支払って、ふと今日会社で聞こえてきた噂話を思い出す。


「不祥事起こしたA部さん、維持費上がって大変なんだって」

「いくら上がったのかしら。怖いわねぇ」



「500円です」

支払いを済ませ外に出ると、ポスターが目に入った。


『生命維持費の上昇を抑える10のコツ 再販入荷!』


こんなの書いてあることなんて同じだろうに、わざわざ買うやつの気がしれんな。

流れてきた広告でいくつか動画も見たが、どれも代わり映えのしない内容だった。そんなもんだろ。



「500円です」

帰宅して、特に目的もなく動画サイトを見る。


『生命維持費が100万円になった俺が生きている限り暴露します!』

あのお騒がせ配信者、とうとう100万円超えたのか。

俺なら3ヶ月ももたないな。


払えなくなったら終わりだ。




今日は天気があやしい。

降り出す前に支払いを済ませてさっさと帰ろう。


「600円です」




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