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小さいほうの足跡は、人間の足跡のように見えます。きっと誰かが、事情があって冬の王国へ向かったのでしょう。あなたは馬のたづなをしっかりにぎって、足跡を注意深くたどっていきます。
「……おかしい。あのあたりだけ、雪が解けている……?」
やがてあなたは、不思議な光景を目にします。足跡が消えて、代わりに降り積もっている雪が溶けて、道のように地面が続いていたのです。さらに、その先には小屋があったのですが、その小屋のまわりも雪が溶けてなくなっていたのです。いったいこれはどういうことなのでしょうか?
「邪魔するぞ」
馬を降り、小屋へ入るあなた。するとそこには、一人の男がうなだれていたのです。この雪のなか、男は半そで姿でした。しかしその召し物は、ずいぶんと高価な布が使われていることにあなたは気がつきました。
「まさか、そなたは……」
「その声は、もしや、秋の王国の若き王では?」
やはりそうでした。その男は、夏の王国の王子だったのです。首元に、王子のあかしである黄色い宝玉のネックレスを下げています。
「夏の王国の王子が、なぜこんな小屋に?」
「ああ、秋の王国の若き王よ、こたびはわたしの過ちにより、あなたの国にまで迷惑をかけてしまいました」
「いったいなにがあったのだ?」
夏の王国の王子は語り始めました。冬の王国に旅行へ出かけた際に出会った、美しい女性のことを。女性は宝石のような青いひとみで、すぐに王子と恋に落ちました。しかしその女性が冬の王国の王女と知り、他国の王族との婚姻を禁止するおきてのため、泣く泣く二人は離れ離れになったことを……。
「そのようなことがあったのか……。掟とはいえ、酷なことだ。もう一度その王女と話はできないのか?」
「それは無理でございます。王女は禁じられた恋をした罰として、南の地へ追放されてしまったのですから。だからわたしも、こうして王女を探しているのです。この宝玉のおかげで、からだは温かく保たれているのですが、わたしの心は冷たいままです」
あなたはその残酷な運命に涙を禁じえませんでした。しかし、今は魔女を追っている最中です。あなたは王子と別れ、再び魔女捜索に戻るのでした。
①魔女を追って、南の地へ向かおう →5ページへ
②巨大な足跡はなにか危険なにおいがする。東の地へ向かおう →4ページへ