星川さんはそらを推す
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ある日の放課後――。
まおは友人達とファーストフード店でたむろをしていた。
彼女の前にはセットで頼んでハンバーガーや、友人達から供出されたポテトが山になっていて、それらを夢中でぱくついている。
「相変わらずよく食べるなー、まおは」
「最近付き合い悪いからダイエットでもしてるのかと思ったぞ、んー?」
言いながら友人はまおの首や顎をこちょこちょ撫でる。
「別にダイエットなんかしてないよ。そらのうちでご飯食べてるだけ」
そんな友人達をあしらいながらまおはポテトを口に放り込む。
別に付き合いが悪くなったつもりはない。今はそらのご飯がもっと食べたいだけで、今日はお店が休みだからからこうしているだけだ。
が、その言葉に友人達が静まり返る。
「そら? ……あー、もしかしてうついんち?」
「あいつの家、洋食屋さんなんだっけ」
「そっかぁ、まさかうついの家に餌もらいに行ってるとは盲点だったなぁ」
「餌とかやめてよ、そらの作るごはん、おいしいんだから。私の超推し」
その言葉に今度は友人たちが『おぉ~』とどよめき始める。
「??? 私、変なこと言った?」
が、まおの言葉を聞いているのか聞いていないのか、友人達は何やら顔を寄せてひそひそ話し始める。
「あいつ……まおを餌付けするなんて、おとなしい顔して結構大胆だな。これはもしかして――」
「いやいや、さすがにうついはないっしょ。大穴すぎるって」
「でも飲食だから清潔感あるし、力仕事で身体引き締まってるし、これで胃袋掴んだらワンチャンあるのでは?」
「「「うーむ……」」」
友人達は腕を組んで一斉にまおに視線を向けてくる。
「これはなかなか面白くなってきましたな」
「ま、あたしらに任せておけば悪いようにはしないから、安心したまえよ」
「????」
友人達が何を言っているのか何となくわかる。けれども、それよりもまおの思考を支配しているのは胃袋だ。結局またポテトを口に放り込み始めるのだった。




