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ギャルの平日


 翌日のHR前――。

「なにぃぃぃっ? うついの部屋に入ったぁぁっ?」

「でっ? でっ? 入ってから?」

「あいつの部屋どうだった? 何か女っ気のあるものとかあったか?」

 朝の騒がしい教室で、まおは自身の席を囲む友人達に早速昨日の出来事を報告する。

 その報告に彼女達は色めき立つが。

「一緒にご飯食べて、ごろごろした。部屋は綺麗だったよ」

「「「……なははははっ!」」」

 まおの言葉にどっと笑い出し、頭をくしゃくしゃと撫で回す。

「よく頑張ったな、まおっ! それでいいぞっ」

「一歩、いや十歩は前進したな♪」

「にしても、うついもやばいなー……仙人か、あいつは」

「もー、やめてよ」

 友人達にくしゃくしゃにされた髪を整えながら、まおはまだ主の到着していない隣の席をちらりと見る。

 昨日、一緒に部屋でご飯を食べたり、ごろごろしたりしたことを思い出すと、こうして学校で顔を合わせるのが恥ずかしいというか、どきどきするというか……。

 そんなまおの様子を見てか、友人達はどういうわけか気遣わしげにまおの髪を整え始める。

「なぁ、まお……本当にそれでいいのかよ? ただ一緒にご飯食べるだけじゃなくてさ……もうちょっと構ってほしいとかあるだろ?

「あいつ、マジで料理バカみたいだから、あたしらでもうちょっと言ってやったりできるぞ」

「ん…………」

 友人達が何を言いたいかはまおにもわかる。

 男の子の家に女の子が遊びに行けば、ただごろごろするだけではなくて、他にいろいろな選択肢があることも。

 ――多分、食べ物のことだけじゃなくて……ということだろうけど。

「…………」

 昨日、スマホでオムライスの動画を何度も見ていた耕平を思い出す。

 もちろんオムライスはおいしそうだった――今でも思い出すとよだれが出てくる。

 でもそれ以上に、小さな画面を見つめるそらの横顔は見とれてしまうくらいにひたむきで……。

「いいんだ……私、そらが一生懸命料理作るの、見てたいから」

 その言葉に友人達が静まり返り、ひとりがまおの額に手を当てる。

「おいおい、重症ですよ、これは……」

「まさか自覚症状なしでここまで進行してるとは……」

「あたしらにはもう手がつけられないかもしれん」

 友人達がそんなことを言い始めたとき、開け放たれたままの教室の入口からひとりの男子生徒か駆け込んでくる。チャイムぎりぎりだ。

「っ!」

 その姿を見た瞬間、まおの心臓が跳ねる。

 そして彼が席にやってくるまでの数秒の間に、どんな言葉をかけようか頭の中でぐるぐる回り始めた。

 いつも通りか、昨日のことを少し言った方がいいのか、あまり変なことを言って困らせたくないし……。

 そんな自身を眺める友人達の微笑ましい視線には気づかないまま、まおはやってきた隣の男子生徒に声をかける。

「おはよ」

 悩んだ挙句、結局いつもの言葉しか出てこなかった。

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