秋祭りの計画
息苦しい社会の時間はやっと終わり
6時間目の始まる前の休み時間になった。
青波の周りには2人の女子が集まってきた。
「だる~あと1時間もあんねんで!帰りたいわー」
青波の肩にもたれかかってくるのは
さっきも一緒に話していた
赤崎柚麻。
肩までかかるきれいに染まった茶色の髪にすらっとした
大人びた顔立ち。
ねずみ色のカーディガンの上に黒いブレザーから
ブラウスの襟を出して、少し短めの黒いスカート。
そして先生は知らないが片方の耳にはピアスの穴が開いてある。
「ほんま~てか社会の時間寝れへんから嫌やわ」
もう1人は浅井杏。
前髪を顔の真ん中で分けて青波よりは長い黒髪に
モデル顔負けの身長と足の長さ。
黒いカーディガンの上にやはり黒いブレザーからは
ブラウスの襟を出している黒い少し短めのスカート。
どちらとも同じ部活仲間で仲のいい友達。
外見は今時だが内面は2人とも優しくて面白く
部活も真面目にやっているしいい仲間だ。
(柚麻のピアスは空けるギリギリまで反対したのだが)
青波も2人の様にスカートは短いのだがブラウスの襟を
ブレザーから出すのはしていない。
(一度2人にされたのだが童顔なのであんまり似合わなかった)
別に青波は太くもなく足も短くないのでスカートが短いだけで
襟を出さなくても可愛いらしいし今時言うインキャラの様な
服装にはならないのでよしとしている。
「でもあともうちょっとで秋祭りだからいっか~」
ふと柚麻が言う。
秋祭りとは青波達がすんでいる地域で行う祭りだ。
近くの商店街の方に屋台が出たり地域ごとの学校の
吹奏楽などが舞台で演奏する恒例行事だ。
その日だけは学校も午前中だけの授業で生徒たちも
昼から存分に祭りを楽しめることができて最高だ。
「メッチャ楽しみやわ~」
「やんな!屋台とか食いまくったるわ」
「ごちになりますー笑」
「いらんわ!!」
青波達は3人ともそれぞれ違う小学校出身で一緒に
秋祭りに行ったことはなくよけいに楽しみだった。
ふと今年は3人で秋祭りをまわれる事を楽しみに話していた
青波達に急に男子が話かけてきた。
「お前らもやっぱ秋祭り行くん?」
「行くにきまってるやん!!」
男子の1人新庄一磨。
クラスの中心的な明るい少年。
黒い髪にかっこよく着崩した制服に整った顔立ちで
女子に結構人気がある。
一磨の質問に元気よく柚麻が答える。
それを聞いた一磨は少し黙るとすぐに何かを提案した様に
口を開いた。
「じゃあオレらと一緒に周らへん?」
「え?うーん・・どうする~」
急の一磨の言葉に柚麻は少し戸惑いながら
青波と杏に聞いてくる。
「別にいいな~」
「うん!いいよ」
杏と青波は顔を向き合わせ互いに確認しあって答える。
それを聞くと一磨が嬉しそうに言った。
「んじゃ決まり!!オレと直樹と後誰かでいい?」
「いいよいいよ~早くあと1人決めといてな!」
「おう!今説得中の奴おるから決まったらまた言うわ」
柚麻と一磨を中心に事が決まっていった。
別に男子と一緒に行っても楽しくなりそうとしか
考えていなかった青波はもう1人のメンバーなんて
考えもしなかった。