休み時間の楽しみ
授業中、時計を何度も見ながら青波は
胸を弾ませながらチャイムが鳴るのを待つ。
_____早く、早く。
キーンコーン
カーンコーン
待ち続けていたチャイムが鳴ると同時に
学級委員が号令を言う。
号令が終わった後青波はすぐに杏に声を掛ける。
「杏、3階行こー!!」
「はいはい~」
そう言うともう教室のドアの前に立っていた青波の元
杏は走って行き一緒に教室を出る。
3階に向かい階段を上がっていき
歩きながらも階段を2段飛ばしに上がる。
_____いるかな・・・?
そう思いながら階段を上り続けた後は廊下を
少し早歩きで歩いていた足を2組の前で遅める。
目線は下を向きながら歩き続けて2組の前を
ゆっくりと通る。
ふと廊下側の窓が開いている所でちらっと
中をみる。
_____いた・・!
ある人を教室で見つけた後、青波はすぐに早足になり
2組の横の教室の前の方へ歩いていく。
そして2組の横の1組の教室へ入る。
その同時にこぼれそうな笑みを堪えながら
もう1つの目的だった柚麻の名前を呼ぶ。
「柚麻ー!!」
「あ!青波、杏~」
2人に気づくと柚麻は走って青波達の元へ来る。
新学期が始まってから毎日この繰り返しだ。
2階の3組から青波と杏は休み時間になると3階の1組の
クラスへと柚麻に会いに来る。
青波はいつもそれが楽しみだ。
それは柚麻に会えるからというのは絶対でもう1つは
そこへ向かう途中に通る2組の中に陸也の姿を見つけることだ。
ただ一瞬見るだけという些細な事に青波はいつも胸を弾ませる。
青波達は立ったまま話しているとご機嫌な青波に気づいた
柚麻がニヤニヤしながら言う。
「どうしたんそんなに嬉しそうに~?」
「あ!分かった。どうせ志貴に会えたーって感じでしょ」
柚麻の言葉に杏は青波の心境を当てる。
図星だった青波は顔を赤くして下を向く。
「可愛い奴だな~(笑)でも返事は来てないんやろ?」
「え?やっぱまだなん!?」
柚麻の言葉に杏が驚いて青波に聞く。
青波は告白の返事のことをすっかり忘れていたので
「そうだった」と曖昧な返事を返す。
「そうだったって忘れてたんかい!どっちもどっちやな~」
「てかもう一回告ったら?」
青波の言葉にすかさず杏が突っ込みを入れる。
それを見ながら柚麻は青波に提案する。
その言葉に青波は顔を赤くして首を横に振る。
「駄目駄目!・・だってもう一回告ったし・・・・」
「でも前は手紙で告ってんやろ?もしかしたらどう返事
返していいか分からんのちゃうん?」
「そうかもしれんな~じゃあ次は直接言ってみたら?」
柚麻と杏の言葉に「そうかな~」と悩む青波。
そう考えたら納得することはできるが直接となると
上手く言える自信がない。
青波が悩み始めると柚麻たちも横で一緒に考え始めた。
結局その時間は何も結論はでず、ただ青波の中で
もう一回告白し様かという選択ができたくらいだった。