表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君に。  作者:
11/15

少年の主張は










中学1年生の秋、陸也は初めて告白をされた。


告白してきたのは同じクラスの車谷青波。



陸也の記憶の中には同じクラスの女子でも


名前さえ覚えていないのだが青波の名前は覚えていた。


それは春に一度だけ話したからだと思う。


青波と初めて話した時、第一印象は“変わった奴”



身長は平均より低く童顔で女子からは何をしても「可愛い~」と


おちょくられている。


そんないじられ役だが皆青波の性格を知っているので


自然と青波の元にやってくる。


悪口が多い女子の中でも青波の悪口は聞いたことがない。



男子からもよく『可愛い』と陰で言われている。


それに青波と話すと話すほど青波に好意を寄せる男子は多くなる。



それは誰にでも平等に接していつも素直な青波の性格だからだろう。



そんな青波から告白をされた。


ある日机の中に4つに折りたたんでいる紙が入っていた。


それには長々と文章は書かれてはいなく、シンプルに


『前から好きでした、よかったら付き合ってください』


そう書かれてあった。


前から好きでしたの後の文章は後から書き直したに違いない。


鉛筆の濃さが違っていたし、何度も消した後がうっすら残っていた。



その手紙を見た時、一瞬信じられなかった。


まず青波の周りの女子は彼氏がいるとか男子の中でも聞いたことがあるが


青波自身彼氏の話や恋愛の話は聞いたことがない。


そんな青波がクラスでも全然目立たない自分に告白してきたのだ。



陸也自身自分の性格は分かっているつもりだ。


女子とはしゃべる理由もないので入学してから青波を除いて


必要以外のことは話したことがない。


男子ともよく一緒にいるが特定に一緒にいる男子などいない。


同じ小学校だった一磨や直樹がやたらと構ってくるぐらいだった。



別にそれでよかった。


中学なんでただ勉強して3年後には進学するだけ。


それまで自分が熱心になれることは今までと同じ


クラブのサッカーぐらいだろうと思っていた。



それが違っていた。



たまに何で自分みたいなのがいいのか自分のことながら


青波の趣味を疑う。


話したのも一度きりだしそれ以外関わりはない。



そう思っているのだが、気になってしまう。


告白の返事を普通ならしなければいけないと思うが


初めてのことだからいつどうやって言えばいいのか分からない。


それにまだ返事さえ決まっていない・・考えていない。


たまに考えることもあるのだが、どうしても分けが分からなくなってしまう。



青波のことを嫌いではない。むしろ女子の中では好きなほうだ。


だけどそれが恋愛なのかは陸也自身が分からない。


だから返事なんてできない。



この前行った秋祭りももしかしたら直接返事はまだかと聞かれるかもしれない。


そう思っていたのだが青波はそんなことを聞くこともなく、ただ黙って


横を陸也の歩くペースにあわせて早歩きで歩いていた。


ペースを落とした方が青波がもしかしたら話しかけてくれるかもしれないと


思ったが、ペースを落としたところで何も話しかけてくれなかったりしたら


少しへこみそうになってしまいそうな気がした。



それに青波の真横で歩くのはどんな顔をしてどんなことを思って


歩けばいいか、考えるだけで分からなくなった。


恥ずかしくなった。



そんな色々なことを考えていたら結局秋祭りは何も話すことはなかった。


その後は前の様に何の関わりもなく、時が過ぎた頃


1年最後の席替えがあった。



別に席替えしも何の変化もないのに・・と思いながら


担任が席順を書く黒板を見る。



窓際の3列目の右側だった。


めんどくさそうに机を持って移動する。


ふと自分が向かうほうへ目を向けると、青波がこちらを


きょとんとした目で見ていた。



_____まさか、な・・・。



と思いながら自分の席のところへ移動する。


まさかだった。


横が青波だった。





「え・・」





小さく聞こえた青波の声。


青波も驚いていたのだろう。



青波に自分が何を思っているのか知られたくはなかったので


顔に力を入れて無表情を保ちながら静かに机を置いて座る。



それからの時間、陸也も青波もお互いを見ることはなかった。



陸也はずっと目線を下にしながら横の青波の行動を気配で


感じ取る。



_____なんか、授業が長く感じる・・・。



そう思っていた。


この時はもう、陸也の気持ちは変化いしていたのかもしれない。











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ