20歳の告白
僕の20歳の誕生日、大事な話があると父親に呼び出された。
「これは、お前が20歳になったら話そうと決めていた事だ。実は、お前が、ずっと母さんだと思っていたのは、父さんだ。」
「え?どういうこと?」
「母さんは、昔、男性だった。」
「性転換したってこと?」
「そうだ。そして私も昔、女性だった。」
「・・・ということは、お母さんがお父さんで、お父さんがお母さんになったということ?訳が分からないよ。」
「混乱するのはわかる。だが、これだけじゃない。」
「他に何が・・・。」
「お前がお爺さんと思っているのは、スクラップ工場で拾ってきたロボットだ。」
「どうりで、動きがカクカクしていると思った。」
「妹と思っていたのは、パンダだ。」
「だから、あんなに毛深かったのか。」
「家だと思っていたのは、公園だ。」
「だから、いつも、近所の子供が遊んでいたのか。」
突然父から語られた家族の真実。私は混乱した。
「・・・お父さんとお母さんが入れ替わって、おじいさんがロボットで、妹がパンダの家族が、公園で暮らしてたってことか・・・。いや、果たして、これが本当に家族と呼べるのか?」
突然告げられた父の様々な告白に、頭の回転がついていかず、気が付くと、僕は涙を流していた。
その姿を見て、父がゆっくりと語りだした。
「私たちの家族は他の家族と比べれば、ほんの少し変わった家族かもしれない。でも家族の形は一つじゃない。どんな家庭も、日々様々な悩みや苦しみを抱きながらも、明日の幸せを願って生きている。お父さんとお母さんも、ずっと、家族の幸せを願って、お前の幸せを願って、今まで一生懸命頑張ってきた。それだけは、誰にも曲げられない真実なんだよ。」
父の目にも涙があふれていた。
「あともう一つだけ、お前に言わなければならないことがある。」
「まだあるのかよ。」
「今日、私たち家族は引っ越しをする。」
「どうして・・・。」
「公園に住んではいけないそうだ。」
「だろうね。」




