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シルフの書  作者: 松田 飛呂
第一章
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スーリカ防衛戦2

機械兵が前に出たところで指揮官の防御が薄くなり兵の隊形も崩れる。


ノークスはそこを見逃さなかった。


「行くぞ!! 突撃だ!!」


騎馬隊は敵陣に突っ込むと簡単に奥まで入っていける。


しかし指揮官に近づくと急に兵が強くなる。


「撤退!!」


ノークスは馬を反転させるとすぐに離脱する。


それでも被害は出ており20名ほどが戻らなかった。


反対側ではハリスも突撃をかけ離脱するが彼は離脱するときに弓矢を使い敵を倒していく。


「本当に頼りになる」


しかし両方の突撃を合わせても敵兵は100人くらいしか被害が出ていないだろう。


2度めの突撃は更にこちらの犠牲が増すことになる。


しかし他に手はない。


「いいか、次は最深部まで突撃する!! 魔女も次はいるだろう!! 無理にぶつからず弓矢を使いすぐに離脱を繰り返す。 被害は最小にとどめろ!! 行くぞ!!」


ノークスは再度突撃をかけるがすでに敵兵は盾を前に置いている。


「放て!!」


矢が射られると敵兵の中に被害が出る。


そこへ火の玉が飛んでくる。


「離脱!!」


もうこれ以上突撃は出来ないだろう。


ハリスも同じ考えの様で彼らの馬の進行方向が変わった。


「砦に戻り素日に着くように。 私はシルフを真似してみるよ」


皆を砦に帰らせると、ノークスも馬を降りる。


「よく頑張ったね。 ありがとう」


馬にお礼を言うと自らは剣を抜き歩き出す。


敵兵まですぐの距離だった。


「敵が1人で来ます。 ノークス=アレフドールです!!」


「何、なら魔法兵を向かわせろ」


「それが、魔力切れで少しの間休まないと魔法が使えないとのことでして……」


「機械兵は!?」


「前線で攻防中です」


前線にいるシルフは機械兵に苦戦していた。


「こいつら切れねぇじゃねぇかよ」


剣を地面に差すと思いっきり殴る。


ゴーンと低い音がして弾かれる。


「何でできてるんだ!?」


また剣を握ると居合で斬ってみるが全くの無傷だった。


「クソ!!」


シルフは知らないが機械兵は体内にランダムに隠されている魔石を破壊しない限り永遠に再生し続ける。


もしくは魔力をすべて使い切らせればよいが彼らの魔石は空気中の魔素を取り込める為半永久的に動き続ける。


シルフは剣を構える。


「突技・滅界」


高速の突きの壁により機械兵は塵と化す。


この時魔石も壊れ完全に破壊された。


「これならいける!!」


シルフは残りの3体にも同じ技を繰り出し破壊に成功するも足に力が入らない。


剣もいつもより重く感じる。


相手兵はシルフを恐れてかほとんど前進しようとはしない。


「相手は疲れ切っている!! 矢で狙え!!」


共和国の指揮官は弓隊にシルフを狙わせる。


そこへ帝国兵が20人盾を持って走ってくるとシルフの周りを囲む。


「大丈夫ですか?」


「あぁ、体力切れだ」


「このまま撤退します」


盾を構えながら徐々に下がり始める。


それでも1人が矢に当たり倒れる。


「行くぞ!! 下がれ!!」


「でもまだ生きてる!!」


「2人は無理です!!」


「なら俺を置いていけ!!」


「彼よりシルフさんの方が強いので」


「そんな……」


シルフはそれでも彼を助けようと手を伸ばす。


しかし更に彼に矢が刺さり確実に死んでいるのがわかった。


撤退は続くが矢の雨は収まる気配がない。


共和国はなにがなんでもシルフをここで仕留めたいらしい。


更にもう1人矢を受け倒れる。


「数が足りん!! 各自死ぬまで守り切れ!!」


皆何本も矢を背中や肩に受けながらもシルフには1本も当たらずに鉄亀の中まで撤退した。


20人いた彼らの内、鉄亀に戻ったのは15名。


その中で生きのこったのはわずかに1人だった。


「シルフさんが戻った!! 後は共和国の奴らをぶっ飛ばすだけだ!!」


シルフが戻ったことにより更に士気が上がる。


「指揮権は誰にあるんだ?」


シルフは水が入ったコップを受け取りながら聞くとみんながシルフを見る。


「なんだ?」


「ノークス様、ハリスさんの次はシルフさんあなたですよ。 今回は白狼軍の指揮下に我々が入ったのですから」


いきなり言わてもここの罠の半分も把握していない。


「あの、これをハリスさんが。 もしシルフさんが指揮を執るならこれを見せろとおっしゃっていました」


「ありがと」


そこには罠の詳細と発動させるタイミングまで細かく書かれていた。


「流石としか言いようがないな……敵兵を20メートルのところにおびき寄せたら一斉に矢で応戦。 5メートルで岩雪崩を起こすように」


「了解しました」


兵たちは伝言を伝えると持ち場に着く。


シルフはそれまでに体力を回復させる必要があった。



ノークスは敵兵の前に立つと盾兵と盾兵の距離が近いことに気が付く。


するとノークスの周りにはパチパチと音を立てて電気が集まる。


「しまった!! 盾を投げ捨てろ!!」


その時にはすでに遅く、鉄でできた盾に電気が走り、隣の盾にも感電する。


もちろん盾を持っている兵は感電死である。


ノークスに槍兵が長さを生かして攻撃するが、体を回転させながらすべて斬り落とす。


矢が飛んでくるが急に向きを変え、鉄の盾に当たる。


「矢じりを鉄にしたのは間違いだったな」


ノークスが前に歩くと兵は引く。


その時共和国側に伝令が走ってくる。


「食料が焼かれ金が盗まれました」


「なんだと!? すべてか!?」


「はい、すべての食料が使い物にならなくなりました」


「なんだと……買いに走らせろ。 後払いでも構わん」


「かしこまりました」


そこへ更に伝令が入ってくる。


「騎馬隊となぜか牛が突撃してきます!!」


「なんとしても押さえろ!! 前の部隊は砦の攻略、側面はノークスに対応、後ろは盾と弓矢、槍で応戦、伝令は援軍を要請するんだ」


「しかし相手はたった3000ですよ?」


「わかっている、だがアレフドール家が出てこれば話は別だ!!」


伝令は走って出て行く。


「ここで共和国が勝てなくて何が自由だ!! 何が平等だ!! 俺たちが未来を切り開くぞ!!」


指揮官の男は皆の士気を上げようと鼓舞する。


しかし、食料も何もない状態では士気は上がらない。


そのころ共和国本部にはスーリカで戦っている部隊からの援軍要請がとどいていた。


「アレフドール家が出てきたのは意外だね」


椅子に座り報告を聞いているのはシン=レミオアールという男で彼は常に微笑んでいる優男というイメージだが共和国ではナンバー2の地位にいる。


「それで? 食料を焼くという発想をしたのはハリスかな? 残りの犠牲は?」


「シルフ=ベルーサという男です」


「ほぉ、シルフねぇ……まぁ、いいや。 人員は足りないから僕が行くよ。 それでいいだろ?」


「シン様がいらしていただけるのでしたら」


伝令兵は嬉しそうな顔をしている。


「じゃあ、さっそく行こうか」


あっさりと決まると自慢の大きな刀を背中に担ぎ馬に乗り走り出す。







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