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始まりの始まり ~裁定式~

「さあ、クラウさん、次はあなたの番ですわ、クラスを受けていらっしゃい」


エイダの言葉にクラウは頷いた。


「行ってきます。」


クラウは、戒壇の方へ歩いていく。クラウは、自然と、笑みを浮かべていた。


『きっと、薬草摘みとか農民だよ。もし、万が一にもないけど、薬師だったら嬉しいな。おばばのところに早く帰って、伝えて正式に弟子にしてもらおう。もっといろいろなこと教えてもらおう。

うん、それ以外ないし、早く終わらせよう』


クラウは、戒壇へ上がり、促されるままに、膝まづき、手を前に組み祈りの姿勢を取る。


「それでは、クラウのクラス裁定を行う」


クラウに神官が問いかけてくる。


「はい、お願いします」


クラウはその声に、応え静かに目を閉じる。


『薬草摘みや農民だといいです。この村にいたいです。神様、いらっしゃるのでしたら、私のささやかな願いを聞き入れてください』


「始めますぞ」


神官の声が聞こえ終わり、すぐに結果が出るはずだった。






「?」


クラウは、いつまでも、言葉がかけられないのを不思議に思いながらも、身じろきもせずに待っていた。


「今代の名は、■■クラウ■■■」


不意に呼ばれた。


『あ、終わったんだ。農民かな?薬草摘みかな?結果は何だったんだろう?』


クラウはそっと目を開ける。そこは、見知った教会ではなかった。


荒野だ・・・誰いない、声のした方へ目を向けると、聖印にも似た柱が立っている。柱の下の地面が黒く染まっている・・・まるで血でも流れたあとのようだった。

いや、目の前にいた。柱の根元にいる。


「さあ、こちらへ」


クラウは、言われるままに立ち上がると、歩き始める。記憶にない場所のはずが、なぜか、ひどく懐かしい気がしていた。ふと自分の姿を見る。ドレスのような服に着替えている。


白地に青と翠、よく話に上がるあの服だった。


やがて、クラウは、その人物の前に立つ。逆光でもないのに、顔がわからずに、その服装から女性だと思うが、背の高さすらあいまいだった。


「クラウ、これからが大変だと思うけど、あなたならできると思うわ。%&’(とこれからは仲良くするの、これは、お願いね。」


「?・・・あの、おっしゃっていることが・・・?」


「%!”#$’と%)(~’が連れ添って、会いに来てくれるって私は信じているわ。本当は祝福をしてあげたいけど、もう、瀬戸際の限界っていう感じで・・・あなたに言葉を伝えることが精一杯。だから、■■■■■■■■■・・・だからこそ、私はあなたを信じます。信じて待っています」




その言葉を最後に、すべての景色がぐずぐずと崩れ始める。クラウは、気が付いたときには、黒い色の海の上に立っていた。そこは、上空には紅い稲妻が縦横無尽に走り、海は荒れているように波立っている。


「さっきから、何なんだろう?裁定の儀式ってこんなのなのかな?」


『・・クラウ・・・を・知、・・・・強・・・動。・・・・・イ・・に・・・・・・り。修・・・・。シ・・・・・・5・・・・・・、・・クラ・・・・・・』


「あの、どうしたんですか?どこか悪いですか?」


聞こえてくる、ノイズ交じりの声に、クラウは不安そうに問いかけた。


『・・の・・・・・・ご・・かけて・し・ないです・・・・・・の・・により、・・・・・が・・です・・・・・に・・・・ほどかかります。こ・・・・・あ・・を、・・に・・で・・・・。』


「体調が悪いのに、私に全力を掛けなくていいです。・・・いいんです。私は、受け入れますから・・・」


クラウは、笑みを浮かべ、声にこたえる。驚くような、息を吸うような声が一瞬聞こえた。


『もっとも、この・・に・・・・・・・・・ご・・・・えず・・・ござい・・ん。』


「いいんです。受け入れます」


『 を、 ・・・・ ・・・・・ 環・にて・動・・・・・・・・の の・  ・・・・ 生 ・・・・ ・定システムに回避、システム起動・・・・ の近似値を作成・・・検索・・・確認・・・承認』


『 ・・・あなたを・・・ w ・・『剣聖』と・んえいnします。の、祭二ん定・・・、/・・・・©  r以上のKA・・・・・A?????N要・・・縺吶$縺ォ螟画峩繧偵♀鬘倥>縺励∪繝サ繝サ縺・・・私はそれを願います』


無理をしてとクラウはまるで他人事のように思った。剣聖?という言葉が、一瞬引っ掛かり、口を開こうとした時だった。




「クラウ」


「お前を、『剣聖』とする」


一瞬、教会、いや、村全体が静寂に包まれた。


「剣聖?」


「クラウが・・・剣聖?」


「剣聖・・・剣聖がこの村から出たぞ!!」


クラウは呆然と、騒ぎを聞いていた。剣聖?だれ?え、私が?

驚きが、体を包み込まれる。


「剣聖って?ええ?わたし、そんなことを考えてないよ・・・」


主役不在で盛り上がる村の中でクラウは、ただ一人と思っていた・・・だから、気が付かなかった。


「クラウさん・・・」


「エイダ・・・様」


エイダが戒壇に上がってきていたことに。


「クラウ・・・あなたも、何か、したんですか?」


クラウは、何のことかわからなかった。首を横に千切れるほどの勢いで振る。


「私は、何もしてません、信じてください、エイダ様。」


「とりあえず、戒壇からは降りましょう。ここで長話もできそうにないからね」


気が付けば、神官補佐が周りを囲んでいる。エイダが間に立っていなかったら、もう2、3歩近いところにいたのかもしれない。


エイダに支えられてクラウは長椅子に座りなおす。


「剣聖おめでとう・・・クラウ・・・」


「エイダさん・・・わた、私、剣聖になんてなりたくないです、そんなの無理です」


剣なんて触ったことなんてなかった、剣を打ち合わせるなんて嫌だった。痛みを知ってしまった今、砕くなんて嫌だ・・・


「こんなの嫌です・・・こんなの、私が剣聖になるなんて・・・嫌です!!」



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