マキの叔父さんのうちで
学校から帰ってきて、夕飯の時は俺達兄妹はマキの家で食べさせてもらっている。
マキの家と言ってもマキの叔父さんの家だけどね。
マキの叔父さんは小料理屋をやっていて、
この近所では評判の店。ただ、サービスしすぎるのが玉にキズだけどね。
マキも俺達と同じで両親がいないのと同じ。
マキの両親は元々税理士で家で開業していたが、
そういった仕事がAIに変わる世の中に仕事がなくなり、廃業してしまった。
そして、どういうわけだか両親は家計を助ける為に、盗みをするようになり、その時父親は殺人未遂を犯してしまった。2人は刑務所に入り、その間マキは叔父さんの家に預けられた。
こんな話は珍しい話じゃない。俺の学校のクラスの中にもそんなのは何人もいる。マキは親戚はところにいれるから、まだいいほうだ。
殆どの子供は児童養護施設にいる。そんな世の中だから施設がどんどん立てられている。
おかしな世の中。
でもマキは刑務所から出てきたら両親を養う為に、叔父さんのところで料理人として修行をして
一人前になって店を開きたいと言っていた。
その為に少しづつだが、今、修行をしている。
じゃじゃ馬だけど、そういう風に目標を持って日々頑張っている。
俺はアイツに頭が上がらない。
今日の夕飯はマキの作ったお好み焼き。叔父さんところの修行でメキメキ腕が上がっているせいか、ウマイ。
だからお好み焼きをマキと取り合いになった。
「リョウ、あんた5枚もお好み焼き食べたじゃん!!アタシにも一切れくらい譲りなさいよ!!」
マキに言われても知るもんか!
俺だって18歳の食べ盛りなんだ。
この時、こんなたわいないひとときが明日からしばらく戻ってこなくなるなんて、予想もしていなかった。