9.妖精少女は旅立つ
アリラリラはバンダナを巻きゴーグルをつけた。このゴーグルは目が乾かないようにするためのアイテムだ。もともと、妖精は人間と違い空にいても問題ない体のつくりになっているがアリラリラの箒は普通の妖精が出せる速度以上の速さで飛ぶことができる。その時体には異常がないのだが、目が乾くのだ。
「さて、こんなものでいいかな」
アリラリラは箒に飛び乗り城へと向かう。城の庭に大きな魔法陣とそのそばに立つ国王がいた。もう準備はできているようで、薄っすらと金色の輝きを放っている
「お待たせ」
「アリラリラ、逃げなかったんだね」
「私を誰だと思っているんだ。羽なし妖精だぞ。私の辞書に破れるはあっても逃げるはない」
「それは、頼もしいね。向こうにはカミルとジェイゴブいう妖精が待っている。彼らの指示に従うように」「了解」
国王はアリラリラを魔法陣の中央に立たせた。そして、赤いリボンを見せる。柔らかそうな触感は
「これは?」
「お守りだ。つけておくといいよ、少し頭をかして」
アリラリラの髪の毛に赤いリボンが結ばれた。ポニーテルと一緒にゆらゆらと揺れる。なんかのマジックアイテムだろう。デザインも可愛らしい
「それではいってきます」
「行っておいで」
国王が手をかざすと魔法陣が光り景色が白く塗りつぶされた
一方そのころティティテアはその様子を窓から見下ろしていた。きっと行く前に声くらいかけてくれるだろうと思っていた自分の傲慢さに悲しくなってくる。もし、会えなかった時のために父親に赤のリボンを渡しておいたのは正解だっただろう。もうすぐ彼女の誕生日でそのお祝いにあげようかと思っていたのだが皮肉なこととにあの空の雲と同じ色のものになってしまった。これがしかたないことだとわかってはいる、でも何もできない自分が許せなくて。自分ではなくあんな関係もない小さな子のために危険を冒す。きっと自分はあの子供に嫉妬しているのだと思う
「私との約束は守ってくれないのね」
一緒に秘密基地へと行こうという約束をしたのはどうでもいいのだろうか。ティティテアはベットに寝転がり枕へと顔をうずめた。廊下の外は花吹雪となり誰も近づけなかった