5,妖精少女は約束する
医務室のベットに寝かせた後医者に任せて会議室に行った。椅子に腰かけると冷たさが伝わってくるがそれも気にならないほどに体は熱くなっている。考えがまとまらないままに叫ぶ
「国王、カイタンタの呪いは!呪いは何だったんだ」
「そう興奮しないほうがいいよ。心配なのはわかる、でもそれでは解決しないよ」
「心配なんかしてない」
アリラリラはそっぽを向いて言った。確かに未知の呪いに興奮していたかもしれないが、原因がわかれば落ち着けるだろう。だからこそ早く知って落ち着きたい。そんなアリラリラの代わりにティティテアが口を開いた
「あれは何でしたの?」
「あれは、私と同等かそれ以上の魔力で呪いがかけられたために反発したんだ」
「反発…それではお父様でも解くことはできないのですか?」
「できなくないよ。しかし無理にやるとよくない」
「よくないというのは」
「最悪消滅に至る」
消滅は人間でいうとこの死だ、顔が思わずこわばってしまう。ティティテアの顔も険しい。国王の力でも呪いを解くことのできないほど強力な魔術師。どうすればいいのだろうか
「何とかできないでしょうか」
「何とかね…直接原因を解決できれば」
「直接人間の住む森の外に行って原因を叩く」
アリラリラはため息をついた。妖精が外に行けば捕まり羽をとられることは間違えない。今も空にうごめき続けている雲は妖精たちの心も曇らせている。またいつ雲が形を変えて妖精を捕まえだすかわからない。沈黙した部屋の中にノックの音が響く
「失礼します、患者の意識が戻りました。それで興奮して暴れだして」
「すぐ行く」
アリラリラは部屋を勢いよく飛び出して医務室に飛び込んだ。部屋の中ではカイタンタが叫び声をあげて看護妖精にかみついていた。看護妖精の腕からは血が出てしまっている、無我夢中で腕を振り乱しうなり声をあげた。アリラリラはカイタンタの頭をつかむ
「おい、カイタンタ。よく寝たか」
「はね…アリラリラねぇちゃんこれどうなってるんだ。俺の羽動かなくて。赤くて。飛べなくて。俺どうなってるんだ、あの手のせいか?」
「落ち着け、そうだあの手のせいで羽は呪いにかけられた」
「俺もう飛べないのか?」
絶望的な表情をしてカイタンタはアリラリラの腕を掴む。アリラリラは沈黙で返した。その分カイタンタの表情は曇っていく。その姿にアリラリラは目をそらし閉じてしまった。気休めは絶対に通じないそれならば
「なーんてな、冗談だよ。原因はわかっているの。時間はかかってしまうけれども直すことはできる。私が直してあげる」
「本当か!?」
「嘘はつかないでもちゃんと待てる?」
「もちろん、よかったぁ」
気休めでなく約束を交わす。カイタンタが眠るまで見届けて一度だけ頭を撫でた。病室から出ると国王とティティテアが立っていた。ティティテアはアリラリラの考えることがわかっているのか顔が強張っている。
「私が森の外に行く」