妖精少年カイタンタ
眠い
その女の子は、羽がなかった。カイタンタには生まれる前に兄がいたらしい。らしいというのは兄は羽なしで赤ん坊の時王様に引き取られていった。だから、会ったこともないしそれどころか生きているかさえわからない。両親は決まってこういうのだ
『お前だけでも立派に産めてよかった。お兄ちゃんの分まで生きるんだよ』
カイタンタはその言葉を素直に受け入れた。
ある日新しい家に引っ越した、その隣の家には羽のない女の子がいた。不思議なことに箒で空を飛んでいて羽もないのに誰よりも早くて誰よりも自由に飛んでいた。カイタンタは自分も箒に乗ってみたいと思って隣の家に突撃した
『羽なしのねぇちゃん!俺をその箒に乗せてくれよ』
『君隣のうちの子ね。良い君だけの羽があるのだからそれで飛べれば十分だろ』
羽なしは羽をあることをうらやましそうにするわけでなく諭すように言った。そのまま箒に乗って飛んで行ってしまった、金の髪をなびかせて飛んでいく姿は流れ星のようだとだけ覚えている。アリラリラねぇちゃんは口うるさいが本気で怒ることもない。どこか距離を置かれて、近づけば近づくほど後ろに下がっていく。いままでそんなことはなかったから面白くて仕方なかった
そのあとちょこちょこ遊びに行った。迷惑がっているが怒られたことはないので、本気で嫌われているわけではないようだ。そのうちに羽なしねぇちゃんと呼ぶようになっていった。たまに空をボーと見上げているときはどこまでも透明で消えてしまいそうな時がある。だから、赤い雲に一人で行こうとしていることを知って引き留めようとした。心配のままについていって逆に迷惑をかけてしまった。それでもそのままほおっておいたら本当に消滅していただろう、あの手はそれくらい恐ろしいものだった。病室のドアが静かに開いた。国王が怪しげな笑みを浮かべて立っていた
「やあ、調子はどうだい」
「王様か!えっと体へ元気だ」
「そうかよかったよ。ところで君とアリラリラ関係は何かな」
「ご近所さんだ」
国王は苦笑いを浮かべて、ご近所という理由だけで命を懸けるとは思えないなといった。そんなことは言っていなかった。た、だ絶対に治すと約束しただけなのに
「待てよ。羽治すだけなのに何で命とかそういう話になるんだ?」
「聞いていないのかい。治す術は森の外、人間の住んでいるところにしかないんだ。彼女はもう旅立ったよ」
「そんな!俺のせいでアリラリラねぇちゃんが」
「そうだね。君の自分の実力を顧みない愚かな行動によってあの子は追い詰められ」た
「っ俺も人間界に行く」
「まだそんな愚かなことをいうのかい。君が行ったところで足を引っ張ることにしかならないよ」
「俺にできることはないのか?」
「あるけど協力してくれるかい」
カイタンタは内容を確かめることもなく王の提案に乗った
第一章は終了です。二章は来週の月曜日当たり投稿します




