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4.あたしの見たヘンな夢について

ご主人様とダーナさんが出掛けた後、あたしはひとりでお魚のサラダを食べた。


ダーナさんがくれたオモチャは光が当たるとキラキラと輝くボールで、投げたり壁に当てたりすると変な声をあげるやつ(多分、何かの魔法なんだろう)だ。


なかなかにあたしの好みを押さえたチョイスだけど、なんだかそれで遊びたいとは思えなかった。


寝床に戻ってくるんと身体を丸めてみたけど落ち着かず、ウロウロしていたらご主人様が脱いだシャツを見つけた。拾ってもう1度寝床に行き、寝転んでシャツを抱っこする。うん、いい感じ。


あたしはご主人様のシャツをガジガジと噛みながら眠りに落ちた。


眠りは浅いまま、あたしは何度も寝返りをうつ。やっぱり夜寝てるのに昼寝って無謀かなぁ。


でもあたしはご主人様以外なら、寝ることが1番好きなんだ。小さな部屋の中はご主人様の匂いがほのかにして、安全で暖かくて、なんにもしないでも過ぎていく時間は平和で幸せ。


ここにご主人様がいてくれたら、言うことないのになぁ……


そんなことを考えているうちに徐々に眠り込んでしまったらしいあたしは、また今朝見たのと同じ夢に引き込まれていた。


今朝のより鮮やかになったその夢では、同じ女の子が、絶望に満たされて崩れるように膝を折り地面に伏せる。握りしめた拳をドンドンと道路に打ちつける。あーあ、そんなに強く石畳叩いちゃ血が出ちゃうにゃ。


あたしなんかそんな固いところは、歩くのもイヤなのに。でも靴もキライだから、外に出る時はご主人様がおんぶしてくれる。


あたしはご主人様の大きくて温かい背中を思い出して、こんな時なのにちょっと顔がゆるんじゃった。


あたしはこの女の子に言いたいんだ。人生そんなに捨てたもんじゃないよ、って。


イヤなことがあったらとりあえず大好きなものを思い出しながらお昼寝でもするといいのにゃ。きっとそのうちいいこともあるはずだにゃ。


でも優しいご主人様に飼われてぬくぬく暮らしてるあたしなんかが言っても、説得力はないかなぁ。


……なんてことを考えつつ、女の子の肩をトントン叩いた。どうすれば良いかわからなかったけれど、何とかしてあげたかったから。


女の子が顔を上げた。血の色の紅い瞳があたしの目を射貫くように見た。その瞬間、あたしはその子に吸い込まれた。


吸い込まれた、っていうのは正しいか分からない。けど、どう説明したら良いんだろう。あたしが消えていく、この感覚を。


のんびり生きてきたあたしには分からない、いろんな感情があたしを支配して、溺れそうな息苦しさだ。こんなに苦しいのに、どうしてまだ生きているんだろう?


―――ご主人様―――


あたしは必死で叫んで、自分のその声で目を覚ました。


窓から差し込む光が、今はまだお昼をちょっと過ぎたあたりだって教えてくれてる。ご主人様が帰ってくるまで時間がまだありそうだ。


あたしはとりあえずあくびを3回くらいして、足で耳を掻いてみた(あたしの数少ない特技だにゃ)。それから、ダーナさんが持ってきたボールをコロコロと転がしてみた。


ボールはやる気なさそうに、時々キラッと光りながら転がった後、壁にぶつかり小さくグェッと鳴いて止まった。


―――ご主人様、早く帰ってきてくれないかにゃあ―――

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