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93話 ウォーターペイロン

後書き修正

「うーん、どうしてなのかな?」

 

 ちゃんとヒストリアで見たから平気だと思ったんだけど……あ、こら、ディオス。突ついちゃダメだよ。


 兄様が倒れたのがそんなに楽しいの? ほら、ぼくの方に戻って来て。


『コルキスもまだまだね』


 寝ると言ってたのにロポリスが兄様の鞄から這い出してきた。


 少しだけ可愛くなった感じの悪い人形に入っているからかな、前に会ったときみたく緊張しない。


「そんな事ないもん。兄様の事はぼくが1番分かってるよ。兄様本人よりずっとね」


『でもアルフは倒れちゃったわよ。どうしてかしら?』


「それは……」


 むぅ、そうなんだよね。今ヒストリアで確認してもなんで倒れちゃったのか分かんない。


『ふふ、ごめんごめん。そんなに悩ませたかった訳じゃないの。アルフが倒れたのは私が原因だからよ。ただねコルキス、ヒストリアで確認するならもっと魔力を使った方が良いわよ。そうすれば今よりも便利になるから。聖光の大精霊からのアドバイス』


「……どうしてなの?」


『寝てたらウォーターペイロンが現れたのよ。面白そうな状況だからアルフを招待したの。ちょうどプレゼントを持ってたみたいだし』


 ウォーターペイロン!? それも凄く気になるけど、ぼくが聞いたのはそういう意味じゃない。


「えっと、どうしてぼくにアドバイスしてくれるの?」


『ああ、そっちね。決まってるわ、モーブが常闇の大精霊になれば私にもメリットがあるからよ。さてと、アルフ達を覗き見するから私も寝るわ』


 あ、まだ聞きたいことがあったんだけど……ロポリスが兄様の上で転がると動かなくなっちゃった。


「うう、モーブ様に会いたくなっちゃったな。それに兄様達をどうしよう」


 この螺旋階段はまだまだ先が長そうだもん。


 もう、ラズマはどこまで行っちゃたの? もう1回ヒストリアでここの過去を見て……あれ? そういえば何でぼくはグルフナとラズマが一緒だって分かったんだろう。


 ぼくはここまで、その場その場の過去を見ながらラズマを追いかけて来た。


 今のぼくじゃ特級精霊以上の精霊の過去は見えないのに。それは誰かや物の過去にそういった精霊が一緒にいたとしても同じで、精霊に関する情報は何にも見えない。


「もしかして魔力をもっとって……」


 ロポリスに言われた通り、ヒストリアを発動して魔力を多めに使って過去を見てみた。


「わあ、ラズマがグルフナと一緒にいるのが見える」


 そうか、ヒストリアも成長してたんだ。やっぱりこのネックレスのお陰なのかなあ。兄様、ありがとね。くふふふ。


 そうだ! 


 アグアテスの時みたいに兄様はディオスに運んでもらおう。


 ラズマは1番上に行ったみたいだから、兄様が起きるの待ってたらいつ追い付けるか分からないもんね。ん、あれれ? でもおかしいな。じゃあどうしてあの時は……あ、待ってディオス、もっと優しく運んであげて。







 #########






 おかしいな。コルキス達と一緒に謎のダンジョンにいた筈なんだけど……。


 俺は、いつの間にか大きなトンネルの前に1人で立っていた。不思議と足が勝手に動いてトンネル内に進んでい行く。


 短めのトンネルなのか、向こう側が見えている。もし見えなかったら相当怖かっただろうなあ。


「う、嘘だろ!?」


 このままトンネルを出ていくのかと思っていたら、真ん中辺りが十字路になっていて、左右のどちらにも少し進んだ辺りに大きなお店がある。


 俺は右側にあるお店の看板を見て声を上げてしまった。


 少しの間、信じられなくてぼけーっとしていたら、左側のお店から女の人が出て来て手招きしてきた。


 あー、何かよく分からないけど左側のお店も気になってきたな。

 

 またもや足が勝手に動き始め、左側に向かい始めた。


「あれ? ウルファス……いやアルファスかな? ウォーターペイロンはこっちだよ」


 もう少しで女の人の所に着きそうだったのに、肩を掴まれ止められた。


 それにしても、すぐ上の双子兄様達と間違えるなんて心外だな。俺はあんなに陰湿じゃないぞ。


「チッ!」


 俺が来ないと察したのか、女の人はお店に戻ると入口のドアを勢いよく閉めた。


「危ないところだったね。えーと、アルファス……で合ってる?」


 いや、アルファス兄様でもウルファス兄様でもないっての。まったく、失礼だな。この眠そうな声は……


「ハイラル兄様! 間違えないで下さい、私はアルフレッドです!」


 振り返って気分の悪い間違いを正すと、心底驚いた顔のハイラル兄様が相変わらず子供向けの寝間着を――あっ!!


 しまった……俺って死んだ事になってるんじゃないか。なのに思いっきりハイラル兄様とか呼んでしまった。


「ア、アルフレッド……なの?」


 不味い不味い、これはとんでもなく不味い気がする。


「あ、えと、その……」


「そっか、今回はアルフレッドか……生きている間は気に食わなかったけど、そうだな、夢の中なら。よし、一緒にウォーターペイロンで食事をしよう。代金は持ってる?」


 夢の中?


 ああ! そうか、そうだった。ウォーターペイロンは夢の中にしか現れないお店だ。


 ハイラル兄様はいい具合に勘違いしてくれたようだな。危なかった、今度から気を付けなくちゃ。


 それと代金か……俺は手に持ったコルキスがくれた真っ黒な食べ物に目をやった。


「アハハ、まさかアルフレッドがメファイザ義母上のおやつを持ってるだなんて。やっぱり夢はおもしろい! 問題なさそうだね。行こうか」


 何だろう、夢だからかな? ハイラル兄様が妙に子供っぽい。見た目の話じゃなくて喋り方がね。

 

「やあヂァン! 今日は死んだ弟と一緒なんだよ」


「いらっしゃいハイラル。死んだ弟君は初めてね、何を出すか決めるから、あなたはこっちへお願い」


 ハイラル兄様に手を引かれウォーターペイロンのドアをくぐり抜けると、可愛い女の子が出迎えてくれた。


 両手にも顔があるけど、可愛い顔してる……うん、やっぱり両手にも顔がある、見間違いじゃなかった。

~入手情報~


【ウォーターペイロン】

夢の中に出てくる大きな料理屋。

夢の世界に存在しており、運が良ければ辿り着ける。幅広いトンネルの十字路を右側に曲がると、細く光る文字の看板が目に入るだろう。それには拒絶感情を刺激する効果があり、代金となる他人から貰ったプレゼントを持っていなければその感情のまま通り過ぎる事になる。勇者ソウタの世界でいう中華風のお店であり、絶品の料理と必ず当たると噂される占いが密かな評判。間違って十字路の左側にあるお店に入ると、夢の世界の食材にされてしまうので要注意。


~~~~~~~~~


【名称】ドロームフラグメント

【発現】ハイラル・クランバイア

【属性】夢

【分類】具現化型/固有スキル

【希少】☆☆☆☆☆☆☆☆

【アルフのうろ覚え知識】

夢で見た事を現実に具現化、又はそれと同じ夢を何度も見る事ができる。ただし、具現化出来る夢は目覚めた後も覚えている内容のみ、かつ1日に3つまでという制限がある。また、ストックしておける夢の数は自身のレベル1/2個までであり、具現化した夢は、夢によって引き起こされた結果だけを残し自身のレベル秒で消滅後ストックからも消去される。


~~~~~~~~~


【名称】トランスエフェクト

【発現】ハイラル・クランバイア

【属性】夢

【分類】儀式型/固有スキル

【希少】☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【アルフのうろ覚え知識】

歌唱、舞踏、祈祷の3つのスキルを使用後に自動で発動する。自身又は他者1名に対してハイラルが思い描いた効果を付与できる。ただし死者を生き返らせたり、命を奪う事はできない。効果の持続期間や再現度は前述のスキル3つの完成度により大幅に異なる。最長持続時間は、(ハイラルの総睡眠時間÷ハイラルの攻撃力)×1/2時間であり、1回の発動で付与できる効果は1つだけである。

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