85話 ディオスに罪人の如く引き摺られた
後書き修正
「本当に申し訳なかった……」
パパルは俺達の前まで来ると弱々しく頭を下げた。
ディオスはグルフナを少し向こうへ乱暴に吐き出すと、コルキスに甘えるように絡みつき始める。
グリッターソール達もパパルに近付いて行く。
「いや、まあ、何て言うか気にしなくていい」
「ん、何?」
パパルを前にカエンが歯切れ悪く答え、テリンダートにチラっと視線をやった。テリンダートは不思議そうな顔で首を傾げている。
なんとなくだけどカエンの言いたい事は分かるよ。
パパルは浮かんでいて、俺達の視線よりやや上に位置しているから、真剣に謝られた気がしないんだ。たぶんテリンダートも謝るときはそうなんだろう。
俺は高い所から何かを言われたり、謝られるのは精霊達お陰で慣れてるから別に気にならない。
特にシルフィやロポリスなんて酷い謝り方をする事があるもんなあ……いや、あれって謝ってたのかな。グルフナを拾いながら城に居たときの、あれやこれやを思い出していたけど今思えば違うような気もする。
「いいわ、私達に被害はなかったんだし。毒のせいだったけれど、あなたの事を仲間だと感じていた気持ちは少し残っているの。だからあまり責める気にならないのよ」
イアが優しく微笑みながら言う。それはもう本当に包み込むような優しさをだだ漏れさせながら。ダークエルフって駄目な異性に弱いっていうあの本の記述は真実なんだな。
「俺ももう気にしてない。それより、エメラルドサーフェイトモスの犠牲になったお前の方に同情するよ。本当の仲間も一緒だったんだろ?」
「……ああ、そうだな」
ロッシュの言葉を聞いたパパルは静かに泣き出してしまった。
エメラルドサーフェイトモスの近くにあったぼこぼこに膨らんだあれらが仲間だったんだよな。そりゃ悲しくなるよ。
「ねぇねぇ、そのエメラルドサーフェイトモスってそんなに危険な魔物なの?」
「そうだ。とりあえずお前、今は黙ってろ。な?」
「うん、分かった!」
カエンはテリンダートの保護者みたいな感じだな。苦労してそうだ。そしてフーラ以外はパパルを慰め始めた。いい奴らなんだなあ。
「私も気にしてない」
フーラはそう言って1人だけ少し離れて俺の近くに座り、水を飲み始めた。
あれ? 今水筒を取り出したあれって……
「兄様、ちょっといい?」
「うん? 何だ?」
「えと……パパルはしばらくは様子を見といた方がいいと思うんだ。でもね、一緒に居るのは鬱陶しいからロンに預けてもいい?」
コルキスもフーラが気になるようで、チラチラとフーラの方を見ながら話してくる。たまにロッシュの方も見るのは、さっきキラキラした目で見られていたから気になってるんだろう。
「いいんじゃないか?」
正直、俺にはパパルがどういう状況なのかよく分からない。
分かるのはエメラルドサーフェイトモスに執着してる様子は無さそうだって事くらいだ。
「じゃあ、あとでロンを呼ぶね。それからロッシュ、悪いんだけど今は元に戻ってくれない? フーラに聞きたい事とやってもらいたい事があるから。戻ったらロッシュは皆の所に行ってて」
「……チッ、気付いてたのか。おいフーラ、ちょっと来てくれ」
ん、んん?
コルキスはフーラをロッシュと呼んで、フーラはロッシュをフーラと呼んでいる。何だ? どういう事だ?
ロッシュと呼ばれたフーラが「いいの?」みたいな表情をしてやって来る。
「コルキス様は気付いてる。元に戻れとさ」
「そうなの? へぇー、やっぱりヴァンパイアロードの息子って凄いのね」
見た目の印象と喋り方が……特にロッシュがいきなりオネェさんみたいになったのが衝撃的だ。あ、でもこのロッシュはフーラなんだっけ。あーもうこんがらがる!
「じゃあ折角だし、コルキス様が元に戻して!」
さっきまで神妙な顔つきでパパル慰めていたのに、オネェさんロッシュは楽しそうな声を出して挑戦的な顔をする。
「嫌だよ。ぼく月魔法を解除するなんて疲れることしたくない」
「なーんだ、残念」
ああ、月魔法か。もしかしてこの2人は月魔法で何かしらしているのかな。
「なら俺がやるよ。魔法効果なら――ぐふぅ!」
「ディオスが遊んで欲しいって兄様。ディオス、遊ぶならあっちでね」
俺が2人にかかった魔法をミステリーエッグで卵にしようとしたら、突然ディオスが顔に絡みついてきた。そそまま俺は凄い力で引き摺られている。
痛い……首が、首が取れるってディオス!
『はあ。ミステリーエッグはできるだけ秘密にしなきゃいけないんだろ? なに普通に発動しようとしてんだよ』
『浅はかじゃのう。ディオスに感謝するんじゃぞ』
いや、だってグリッターソールはコルキスが支配してるんだろ?
だったら別にいいじゃないか。コルキスが黙ってろって言えばいいだけなのに、何でこんな仕打ちを。
『用が済んだら眷属化は解除するじゃろ』
『フーラを眷属にしたままじゃ色々ヤバそうだからな』
まただ。またこれだよまったく。コルキスはヒストリアがあるし、特級精霊は鑑定に似た能力があるから色んな事がすぐに把握できるんだろうけど、俺にはそういうの無いんだからちゃんと教えてくれよ。
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「ねぇ、いいの? あれお兄さんなんでしょ?」
「別にいいよ。ディオスも力加減は分かってるから」
「そういう事じゃないんだけどなー」
「もう、その話はいいから。それで、ロッシュも向こうに行ったし聞きたいんだけど、フーラ……ううん、叔父上にはエメラルドサーフェイトモスの毒なんて効かないでしょ。どうして何もしなかったの?」
「……何だ、知ってたのか。月神族の振りをしてたのに意味がなかったか。別に何もしなかった訳じゃない。お前が助けなければ俺が助けてた。尤も、俺ならパパルの仲間も助けてたやれたけどな」
コルキスを小馬鹿にするようにフーラは笑った。
~入手情報~
【名前】パパル
【種族】エメラルド=ピクシー
【職業】冒険者/ドルイド
【年齢】37歳
【レベル】52
【体 力】971
【攻撃力】70
【防御力】126
【素早さ】510
【精神力】901
【魔 力】1728
【魔 核】2
【通常スキル】
踊り/飛行/結界術/魔力成長増/短縮詠唱/連続魔法
【固有スキル】
童顔/執着心/ガリトラップ/ピクシーダンス/エメラルドコア/グリーンストロー/ラブリースレイショー
【先天属性】
水/風
【適正魔法】
水魔法-上級/風魔法-中級/火魔法-下級
【異常固定】
半魔物
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【名前】イア・テーベル
【種族】ダークエルフ
【職業】冒険者/黒巫女
【年齢】729歳
【レベル】91
【体 力】411
【攻撃力】1204
【防御力】399
【素早さ】1067
【精神力】1909
【魔 力】3209
【通常スキル】
黒き波動/消費魔力減/気配遮断/鬼体術/呪術/呪弓術/呪歌/解呪
【固有スキル】
血の祈り/呪詛返し封じ/式鬼神/禁忌呪術/摧魔怨敵法/ダメンズラブ/ローリングインザディープ
【先天属性】
水/植物
【適正魔法】
水魔力-上級/植物魔法-下級/光魔法-下級限定
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【名前】カエン・ニーズ
【種族】マシュルム
【職業】冒険者/毒拳闘士
【年齢】252歳
【レベル】92
【体 力】2711
【攻撃力】2277
【防御力】510
【素早さ】1521
【精神力】988
【魔 力】343
【通常スキル】
茸の里/毒手/硬化/カエンタケ流体術/ハイクイック
【固有スキル】
茸の祈り/再生/菌糸/胞子/弱毒耐性/マシュルムトキシン/トキシックカーテン
【先天属性】
毒/植物
【適正魔法】
植物魔法-下級/土魔法-下級
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【名前】テリンダート・ラヴィア
【種族】エテールメイド
【職業】冒険者/スリープハンター
【年齢】78歳
【レベル】88
【体 力】1111
【攻撃力】1002
【防御力】799
【素早さ】2222
【精神力】3304
【魔 力】1616
【通常スキル】
空の祈り/過眠/不眠/熟睡/短剣術/槍術/魔法威力激増
【固有スキル】
凍えし瞳/空色鱗/飛行/雷属性吸収/雷雲寝具化/イートスリープ/エンチャントスリープ/スカイスケッチ/クライペリーネ
【先天属性】
雷
【適正魔法】
雷魔法-上級/風魔法-上級
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【名前】ロッシュ・ボクスター
【種族】箱族
【職業】冒険者/ラースアベンジャー
【年齢】194歳
【レベル】150
【体 力】2210
【攻撃力】4185
【防御力】4333
【素早さ】1109
【精神力】7890
【魔 力】181
【通常スキル】
武具の知識/感知/気配遮断/一撃必殺/ゲルタ体術
【固有スキル】
正義の証文/親愛の記憶/憤怒の祈り/箱化/他種族不信/ラースティアー/ブラックボックス
【先天属性】
氷
【適正魔法】
氷魔法-特級(条件付き)
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【名前】ピト=フーラ・アンドロミカ
【種族】セレネヴァンパイア
【職業】脱走者/冒険者/ワンダーネクロマンサー
【年齢】1500歳
【レベル】169
【体 力】1061
【攻撃力】6109
【防御力】6214
【素早さ】4310
【精神力】90123
【魔 力】302839
【スキル】
水運び/荷運び/編み物/餅つき/祈り/創薬/読書/飼育/料理/消費魔力減少/詠唱不要/苦痛耐性/多重結界術
【固有スキル】
月神の呪縛/不死/渇望/吸血/飛行/不完全変身/暗黒強化/霊滅月煕陣/闇属性吸収/聖属性吸収/統合/ネクロマンシー/フェガロフォスオーラ/ルナティックレゴリス/ダミームーン/シネスティア
【先天属性】
月
【適正魔法】
月魔法-特級
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【月魔法】
先天属性が月属性かつ適正魔法に月魔法が発現したもののみ使用できる非常に強力な魔法。元々は一部の月神族や月神の加護や祝福を得たものしか扱えなかったが、神域を逃げ出した月神族の子孫も極稀に先天属性と適正魔法が発現する為、現在は前述のもの以外で使用できるものが存在する。ただ、使用できるものが極端に少ない事に変わりはなく、巷では幻の魔法と囁かれている。また、全ての月魔法は本来の魔法効果に加えて、極めて強力な錯乱効果や魔力減少効果を魔力消費無しに付与できる事も大きな特徴である。




