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84話 2回も睨まれた

後書き修正

 コルキス達を追っては慈悲の部屋の前まで戻って来た。


 そこで目にしたのは小さなディオスに拘束されながらディオス本体に何かされている、さっき死んだ筈のパパルだった。おまけにグルフナがパパルをからかうように揺れている。


「パパルがいるぞ! どうなってんだコルキス!?」


 俺が驚いて慈悲の部屋に駆け込むと、グリッターソールの面々が跪ていた。しかもヴァンパイアの眷属が主に忠誠を誓うときにする特徴的な体勢でだ。


「おい、まさか皆が珍しい種族だから吸血して無理矢理……」


「そんな目で見ないでよ。皆を助けるためにやっただけだもん。そもそも兄様が助けようとか吸血しろって言ったんでしょ。あとパパルはディオスに任せとけばいいから」


 え、俺? 


 あー、確かに両方とも言ったけど……ただ助けようってのは誰かが魔物に襲われてると思ったからで……でも魔物は俺達を連れてきた小さな手の事で……それに吸血はコルキスが血を奪って動けなくしたから回復を……あ、でも実はエメラルドサーフェイトモスに襲われてて……えーと……


『本当にアルフはダメダメだな』


 人形に入り込んで俺に付いてきていたアクネアが鼻で笑っている。


「はぁ、説明するから皆も楽にしていいよ。あのね――」


 コルキスはグリッターソールの皆にそう言うと、少し赤くなっている首を掻きながら説明し始めた。


 コルキスが言うには、俺に言われて小さな手の群れから出たとき、先ずパパルが目に入ってきたらしい。すぐさまヒストリアで確認すると、パパルだけがエメラルドサーフェイトモスの偽幼虫に寄生された他人であり、グリッターソールの皆に毒を吐きかけた後だってのが分かった。


 で、俺が助けてやろうって言っていたからそうしようと思ったんだと。


 全員を行動不能にしてパパルを遠ざけたあとで他の人達を解毒するつもりだったのに、俺が余計な事を言ってパパルにブラッドパインを食べさせたから、吸血で全員を回復したときにパパル以外には予定を変更して支配もプラスした。


 この時にヒストリアで過去を見て、パパルがピポルの兄だと知ったらしい。


 結果的に俺は良い仕事をしたんじゃないかと思ったけど、何も言わない事にした。


 最初コルキスは寄生されたパパルを放っておくつもりだったけど、ピポルの兄だからと助ける方法をディオスと相談し、確証は無いができるだろうと話していた方法を試すと決めた。


 そしてコルキスが密かにグリッターソールの皆に、慈悲の部屋から出ない事、1時間はパパルを慈悲の部屋に留まらせる事、パパルに怪しまれない事という3つの指示をしたらしい。


 グリッターソールの面々も頷いている。


 さらにパパルを吸血したときに取り出しておいた偽幼虫も吸血で支配下におき、ディオスの分裂体を使ってこっそり慈悲の部屋から出しながら偽幼虫にパパルを不完全投影した。


 そんなときに俺がダンジョンから脱出しようとか言い出したもんだから相当苛ついたと睨まれた。


 俺に詳細を話さなかったのは、パパルからエメラルドサーフェイトモスに情報が伝わるのを阻止する為。パパルには餌の調達が上手くいっていると思わせておく必要があったんだってさ。


 パパルから離れたときに教えてくれれば良かったじゃないかと言ったら、助けろって言い出したくせに邪魔ばかりする俺には言いたくなかったと、また睨まれた。


 エメラルドサーフェイトモスの事なんて知らなかったんだ、という言葉をグッと我慢した俺は偉い。


 あと、偽幼虫を取り出しても偽幼虫が毒を吐いたあとの宿主は、ほぼ魔物化していてエメラルドサーフェイトモスに異常なほど執着するようになってると聞いたときはゾッとしたよ。


 途中でパパルを蹴ったりしていたのはそれが偽幼虫だったからで、不完全投影の影響でパパルにも少し痛みが届き、それで休憩を長引かせるようにする考えもあったとか。


 急いでいたのも毒を吐いた偽幼虫は数時間で死んでしまう為。


 それとエメラルドサーフェイトモスを一掃するときコルキスが少し悲しそうだったのは何でだと聞いたら、卵を産み付けられたパパルの本当の仲間達は手遅れだったからだと答えた。


「そういえばアクネアはパパルは駄目だったかって真面目な声で言ってなかったっけ? あれが本当はパパルじゃないって知ってたんだよな?」


『ん? ああ、あれはちょっとアルフをからかって遊んでただけだ。ポカンとした間抜け面は最高だったぜ』


「おい、あの変な人形に話しかけたぞ」


 箱族のロッシュが呟いたのをきっかけにフーラ以外のグリッターソールがヒソヒソと話始めたけれど、コルキスが視線をやると静かになった。


「ぼくもアクネアに合わせたんだよ。自爆しちゃってって言ったときの兄様の顔は傑作だったなぁ。でもそのせいで不完全投影を解除するの遅れちゃった。パパルの体内がちょっとだけぐちゃってなってたけど、さっき戻って来たときに吸血で回復してあげたし、ドラゴンブレスが当たるときには解除してたから問題ないよね」


『だなだな!』


 2人とも酷いな。体内がぐちゃって想像しただけでも……ううう、お腹が痛くなってきそうだ。


「あと、アクネアは知り合いの兄貴を殺したって言ってたけどあれも俺をからかったのか?」


『殺したとは言ってないぜ。殺しかけたから優しくしてたって言おうとしたんだ』


 なんだよもう。俺はてっきりコルキスが罪悪感に苛まれてないかって心配したのに何の問題もなかった……いや待てよ。


「なあ、パパルってほぼ魔物化してるんだよな? しかもエメラルドサーフェイトモスに異常なほど執着してるんだろ? 今の話じゃ結局パパルは助からないんじゃないか?」


「それはディオスが何とかしてくれるよ。兄様のお陰で色々理解できたからきっと大丈夫だよ」


 カエンとイアが「凄いな」とか「そんな事ができるの!?」と驚き、テリンダートはよく分かっていない顔をした。ロッシュはキラキラした目でコルキスを見つめているな。


 箱族って他種族が大嫌いって本に書いてあったけど違うのかな。どうでもよさそうにしているフーラの方がよっぽど箱族のイメージに近い。


『俺もそれで何とかなると思うぜ。ま、駄目でも最悪ドゥーマトラに頼めば何とかしてくれるって』


 ドゥーマトラにお願いか……本当、ドゥーマトラって何の大精霊なんだろ。アクネア達も言いたがらないし気になるなあ。


『儂は1つだけ分からん事があるんじゃがのう。コルキスはエメラルドサーフェイトモスが全部風属性でがっかりしておったじゃろ。何故じゃ?』


 今まで1人でグビグビお酒を飲んでいたティザーが急に話に割り込んできた。


「あ、それ俺も知りたい」


「んーとね、エメラルドサーフェイトモスのフェロモンが使えたらゾンビビートルとかスカルバタフライみたいなカッコ良くて可愛い虫を簡単に捕まえられるでしょ。ぼく虫取りは下手なんだよね」


 ああ、吸血して不完全変身したかったのか。


 うーん、ちょっと想像したけどエメラルドサーフェイトモスみたいなコルキスは嫌だな。グリンホーンフェンリルの不完全変身で想像し直ししよう。


『アハハハ! 虫取りにそんな強力な固有スキル使おうなんて恐ろしい発想だな』


『思った以上にどうでもいい……いや、何も言うまい』


「そんなに変かな?」


 こてん、と首を傾げたコルキスは可愛いが尻尾と耳が足りない。ここを出たらまた触らせてもらおう。


「あ、ディオスのアブソリュートトレジャーが終わったみたいだよ」


 アブソリュートトレジャーって確かディオスの固有スキルだったよな。どんな固有スキルか教えてもらったような気がするんだけど、よく覚えていない。思い出そうとすると、何だか悲しい気持ちがしてきたので止めることにした。

 

 慈悲の部屋の出入り口を見ると、ディオスに連れられてパパルが中に入って来こようとしている。


 グルフナはディオスの中に閉じ込められていて落ち込んでいるように見える。きっとディオスは鬱陶しかったんだろう。あとでグルフナを慰めてやらなきゃな。

~入手情報~


【種族名】ゾンビビートル

【形 状】甲虫型

【危険度】G

【進化率】☆☆☆☆☆

【変異率】☆☆☆☆☆


【先天属性】

 必発:土

 偶発:風/水/氷/火/雷/光/影/植物/毒/聖/闇

【適正魔法】

 必発:-

 偶発:土/風/水/氷/火/雷/光/影/植物/毒/聖/闇

【魔力結晶体】

 琥珀をもつ個体にのみ発生

【棲息地情報】

 エデスタッツ樹海/カオカオ洞窟/森林地帯等

【魔物図鑑抜粋】

甲虫型の魔物。

一般的に虫と呼ばれているが歴とした魔物である。大人の握り拳2つ分の大きさで動きが鈍く、腐った身体を持つ。稀に琥珀の角を持った個体が見つかる為、見かけると冒険者でなくとも近付いて確認する。墓地や死体の近くに発生しやすく子供でも倒せるほどの弱さだが、大量に発生した場合は対処しきれずに喰われてしまう場合もある。進化や変異しやすい特徴をもつ。観賞用に飼う者は少ない。


~~~~~~~~~


【種族名】スカルバタフライ

【形 状】骨蝶々型

【危険度】C

【進化率】☆☆

【変異率】☆☆☆☆☆☆


【先天属性】

 必発:影

 偶発:風/水/氷/火/雷/毒/聖/闇

【適正魔法】

 必発:影/風

 偶発:火/水/氷/雷/毒/聖/闇


【魔力結晶体】

 生後3年目以降の個体にのみ発生

【棲息地情報】

 ブラッドフォレスト/イロリネ墓地/他、森林や墓地等

【魔物図鑑抜粋】

蝶々型の魔物。

全身の骨が剥き出しになっており、とても不気味。大きさにはバラつきがある。大抵は50センチから1メートルほどだが、過去には6メートルもの巨体が目撃されたこともある。ランクはCと強めの魔物であり風魔法や影魔法を多用してくる。変異しやすい特徴をもつ。観賞用に捕まえる者はまずいない。

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