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79話 優しい王子

後書き修正

 兄様はあれでいいとして、面倒なのはこのクソ鳥だよね。


「こいつどうしようかな」


 母様の吸血を強制解除してぼくの子分にしたのはいいんだけど、正直もう要らないんだよなぁ。


 ぼくの吸血を成長させる練習用にって思ってたけど、50の祝福で吸血はいい感じに成長したんだもん。おやつにもしようって思ってたけど、よく考えたらこいつを連れて歩かなきゃいけないんだよね……邪魔だし本当に捨てたい。


 でも兄様に最後まで面倒見なきゃダメって言われたしなぁ……そうだ、もう面倒臭からこいつにどうしたいか聞いちゃえばいっか。


 よく見たらなんだかくたびれてるね。吸血で回復してあげようっと。ぼくは子分に優しい王子なんだから。要らない子分だけど一応子分だもん。


「クソ鳥起きて! 今からぼくの質問に答えなきゃだよ! 何言っても怒らないからちゃんと正直に答えなきゃダメだからね! じゃあ、えーとっ……これからどうしたい?」


「わ、たしを自由にしろ。貴様を殺してやる」


 うわぁ、凄い睨んでる。生意気な奴だな。とりあえず1発殴っとこう。


「ぐっ……」


「殺すのはダメ。ぼくたちに危害を加えないなら自由にしてもいいよ」


「それはできない。ダンジョンマスターである貴様を殺せばここをより豊かな村にできる」


 むぅ、まだ睨んでくる……ん?


「ねぇダンジョンマスターってどういうこと?」


「何を今さら。しらばっくれても私には分かっているんだぞ。このダンジョン、ヘパサ川の塔にある罠や悪辣な仕掛けを自由に操作できるのはダンジョンマスターだけだ。それにこの私を圧倒したその力、それが何よりの証拠だ」


 はて……こいつバカなのかな。スジャク族は皆聡明って話だし、こいつも固有スキルに聡明があるのに何も分かってないや。


 そもそもさ、ぼくがダンジョンマスターならこの前の戦いでここにある石像を全部操ってたに決まってるじゃん。


 それに、ぼくの先天属性とアルコルの塔からちょっとだけ漏れ出てる属性は全然違うでしょ。何で分からないかな。ダンジョンの属性とダンジョンマスターの先天属性は同じって常識だよ。


「あのさ、ぼくはダンジョンマスターじゃないよ。属性が違うでしょ。あとここはアルコルの塔だからね。間違えないでよ。ヘパサ川の塔なんてクソダサい名前で呼ばないで。ぼく怒ったよ」


 もう3発くらい殴ってやろう。


「ガハッ! 貴様、怒らないと――」


「さっきのはやっぱり無し」


 ぼくと兄様の名前をくっ付けたカッコいい名前を間違えるなんてあり得ないよ。そこは譲れないんだから。まったく、塔の入口にちゃんと書いてたでしょ!


「この子の言う通りです。ダンジョンマスターはこのアルコル、アルコル・ドゥーマトラです」


 わっ、びっくりしたなぁ。


 ていうかアルコルって……あぁ、ドゥーマトラ様が名付けたのか。ドゥーマトラの部分は勝手に名乗ってるっぽいけど。しかも魔物から精霊になってる。


「急に出てこないでよ」


「それは失礼しました。ですが、私が来た方が手っ取り早いでしょう?」


「ど、どういうことだ!? 何故ダンジョンマスターが侵入者を排除しない!? こいつ等は塔の頂上にいたんだぞ」


 あーあー、これを見てもまだ分からないなんて本当に聡明が仕事してないな。


「ざっくり説明しますと、ダンジョンマスターである私とこの子たちは友人なのです。お泊まりに来た友人に敷地内で遊んで頂くのは普通でしょう? とは言え、少々居座り過ぎですがね」


 わざとらしく咳払いなんかしちゃって。言われなくたって明日には出て行くもんだ。


「ダンジョンマスターと友人だと?」


「そうです。あぁ、それと私を殺すでしたっけ? あなたごときが私を? ふふっ、1秒もかからず返り討ちにして差し上げますよ」


 あ、ちょっと、ここでその力を出さないでよ!


「くぁっ……」


「あーもう、失神しちゃったじゃないか。こいつ要らないからどうするか相談してたのに」


「おや、要らないんです? 丁度良かった、でしたら私に下さい。確かこのお馬鹿さんは地上の村を朱雀族の村にするんですよね? 有難いことです。彼らに塔のゴミ掃除とダンジョンののご飯になってもらいましょう。朱雀族は美味しそうです。Win-Winな関係と言うんでしたっけ、こういうの」


 本当にわざとらしいなぁ、ずっと見てたんでしょ。ぼくのヒストリアは何だってお見通しなんだよ。


 でもゴミ掃除か……確かドゥーマトラ様が管理してるアイテムって割りと珍しい物が多いってモーブ様が言ってたけどそれをゴミ呼ばわり?


 それにご飯ってことはダンジョン内で殺すんだよね、それって、うぃんうぃんなのかな。確か異世界語でどっちも勝ちってことで……つまり相討ちって意味だよね?


 うーん、でもいっか。要らないクソ鳥を引き取ってくれるって言うんだし、ちゃんとクソ鳥の居場所や仕事もあるから最後まで責任ってのは守ったことになるよね。


「よし、分かった。好きにしていいよ。吸血は解除するね」


「あ、いえいえ。吸血のそのままで結構ですよ。私に従えとこの朱雀族に命令して頂ければ問題ありません。自分の手駒は多いに越したことはないですよ」


 えー、ぼく要らないんだけど。手駒が多くて嬉しいなら自分で支配すればいいのに。


「要らない」


「まぁそう言わずに。きっとあなたの大好きな兄様も、放り出さず偉かったと誉めてくれますよ」


 そうかなぁ、でも兄様に誉めてもらえるならそうしようかな。


「じゃあ、そうする。クソ鳥、いつまでも寝てないでさっさと起きて」


 ぼくの声に反応しやクソ鳥が辛そうに目を開ける。可哀想、あんな属性の力に当てられたら誰だってしんどいよね。仕方ないから気休めだけどもう1回吸血してあげようかな。


「貴様、何度私の血を吸えば――」


 本当に生意気だねこのクソ鳥。せっかく優しいぼくが回復してあげてるのに。


「あーはいはい。クソ鳥……じゃないや、ロン・タイヤン。君の扱いが決まったよ。これからぼくがいいって言うまでアルコル・ドゥーマトラに従うこと。分かった?」


「なっ!? 貴様……クッ……か、畏まりました」


「そうそう。でもぼくは貴様じゃなくてコルキス・ウィルベオ・クランバイアだよ。子分なんだからちゃんと名前で呼んでよね。コルキスでいいから」


「え、いいんですか?」


 ん、何がだろう? アルコルが少し困った顔をしてる。


「クランバイア!? きさ……いや、コルキス。クランバイアの王族がこんなことをして許されると思っているのか!?」


 こんなことがって、吸血なんて母様はいつもやってることだし問題なんて無いと思うな……あ、主人のぼくを呼び捨てはダメだよね。ぼくはあんまり気にしないけど、しめし? とかいうのが付かないんだっけ?


「ごめんごめん、ちゃんと様を付けなきゃダメだよ。コルキス様って呼んでね」


「そうじゃないんですけどね。まぁ、コルキスの吸血が解けることはまず無いですから良しとしましょうか。ロン、私たちに関することは必ず秘匿するように」


 あぁ、そっちか。それもそうだよね。


「アルコルの言う通り。約束だよ、内緒にしててね」


「畏まり……ました」


 そんなに嫌そうな顔しなくてもいいのに。ぼくは本当に子分に優しいんだよ、嘘じゃないよ。


「じゃあぼくは兄様の所に行く……ね、ねぇ、ロン。もう1回吸血してもいい? いいよね?」


 兄様ほどじゃないけどロンの血もそこそこ美味しいんだもん。しばらく吸血できないんだし最後にちょっとくらい、ね。


「兄様だと? じゃあ奴も……」


「はぁ、コルキス。あなたも中々のうっかりさんですね」


 そうかな? 


 ロンは吸血してるし言ってもいいと思うんだけど。ま、そんなことより吸血吸血。


「けぷっ。それじゃあ行くね。またロンの血が飲みたくなったら言うから。その時はアルコルに飛ばしてもらってね。バイバイ、またね」


 よーし、早く兄様と一緒に寝てあげなくちゃ。


「ではロン、初仕事ですよ。地上で騒いでる者たちを静めて来なさい。あなたが姿を消して5日、随分と騒がしいんですよ? 彼等にはダンジョンマスターを討伐したとでも言っておくと良いでしょう。もちろん、朱雀族も呼び寄せるように」


「承知しました」


「ハハハハ、そんな顔をしなくても配慮はしますよ。大丈夫、食事は老人で構いません」


「……承知しました」


 ペロリと舌舐めずりをするアルコルは、まさに皆が恐怖するダンジョンマスターのそれだった。

~入手情報~


【名称】ダークドリーム

【分類】下級闇魔法

【効果】☆☆☆☆☆

【詠唱】モドリブチック魔法言語/乱文不可。

【現象】

影魔法シャドースリープの上位互換であり、対象を眠らせることができる。ショック死するほどの強烈な悪夢を見させたり、許可するまで目覚めなくすることもでき、現実で起こったその日の出来事を夢と錯覚させ闇に葬る事も可能。その場合、消費魔力が多くなる。


~~~~~~~~~


【名称】吸血

【発現】コルキス・ウィルベオ・クランバイア

【属性】闇

【分類】ヴァンパイア型/固有スキル

【希少】☆☆☆☆☆

【効果】

血を吸った相手を意のままに操ることができ、そのまま自らの眷属とする事も可能。吸血することによって自身を大幅に強化できるだけでなく、自身や吸血した相手の体力や魔力の回復、怪我の治癒、軽い状態異常の解除も可能。また、魔力と体力を消費すれば1度でも見たことのある他のヴァンパイアが施した吸血状態と眷属化を強制解除することもできる。その際に消費する魔力と体力はその元々吸血していたヴァンパイアの強さに比例して多くなるが、そのヴァンパイアが吸血した者に執着がなければ負担は極僅かで済む。成長の可能性を強く秘めている固有スキルである。

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