77話 兄弟喧嘩になるやつだ
後書き修正
はぁぁ、なぜこんな事をしないといけないんだろうか。絶対痛い思いをするだけじゃないか。
アクネアの魔法で作った卵は100個だったけど、コルキスが多すぎると文句を言ってきたから半分は隅っこにまとめて使わないことにした。
今、俺の周りには50個の卵が浮かんでいる。割と大きな卵ばかりできちゃったんだけど、なんとなく哀愁を感じる模様ばかりなのは気のせいかな。
「じゃあ、ティザーたちが止めるまで戦うんだよ。ぼく手加減しないからね」
少し離れた場所にいるディオスの後ろからコルキスが告げてきた。
「手加減してくれよ」
「やだよー。じゃあ、開始の合図をお願い」
『しっかり楽しませてくれよ! 始め!』
アクネアの開始と同時に、ディオスが分裂したかと思うとその全部が俺の姿になった。
何だ、一体何が始まるんだ?
嫌な予感がしつつも卵で防御を固め、俺の姿になったディオスの分裂体を攻撃してみた。
「ぐへぇ!」
卵が分裂体の腹を貫いた瞬間、俺の腹にも激痛が走った。分裂体は溶けるように消えてしまったけど、そんなのはどうでもいい。とにかく腹が痛い。
堪らずその場に蹲ると「そんなに痛いの?」と楽しそうなコルキスの声が聞こえてきた。
少しだけイラッとくる。
俺は卵を10個ずつのグループに分けてコルキスとディオスを攻撃することにした。
だけど、ディオス本体は身体の形状を変えたりして卵をギリギリで回避する。おまけに棘の鞭に変形させた身体で反撃してくる。
めちゃくちゃ重い攻撃じゃないか……卵で防御し続けてると割れちゃうかもしれないな。
「おわっ!?」
鞭に混ざってスカイワームの口に変形させた攻撃までしてきやがった。そのまま食べられそうだったから、卵を使って上空に避難する。
「危ね!」
でも上空には真っ黒な霧になって高速で動き回るコルキスがいた。さっきまで、ディオスの後ろにいたのに早すぎだろ。
コルキスは逃げる俺を霧で俺を覆い尽くそうとしたり、黒い何かを飛ばしてくる。それはミステリーエッグの射程に入っても卵にならなかった。
首元に微かな違和感があるけど確認する余裕がない。フラテム直伝の卵を使った立体的な回避や移動をしながらの戦闘は、気を抜くと卵を踏み外したり、操作をミスったりしてしまう。最低限の合格ラインと言われた、目をつぶっててもできるように、とか息をするように無意識で操作をなんてレベルには程遠い。
ただ、切羽詰まっているわけでもない。なんとなくコルキスの移動先というか、動きのパターンが分かるような気がする。それを踏まえて卵で攻撃すると、手応えがあるような気がしないでもない。
「よし!」
とりあえず今は、コルキスを避けつつ牽制。あとはディオスの分裂体に攻撃しないよう注意だ。自分から飛び回って当たりに来るんだから厄介なんだけども。
ディオス本体も姿を大きな翼を持った球体に変えて浮かび上がり、コルキスと連携して攻撃を仕掛けてくる。
なんであんなに姿にと思ったけど、もしかしてディオスの翼から落ちてる羽って分裂体なんじゃ……あ、やっぱり。塔の頂上に俺が一杯いる。ロンの真似だな。
あれを全部攻撃すると俺は痛みで死ぬんじゃないだろうか。
当たり前だけど、コルキスたちは魔法を使ってこないから卵が増えない。どうしよう、防戦一方だ。
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うー、ヴァロミシアも言ってたけど兄様って敵だとかなり面倒臭い。卵がないとクソ弱いけど50個でも多かったかな。
それになんなのあの動き。卵を自在に変形させてひょいひょい避けるし、絶対当たったと思っても妙な時間差ができて避けられちゃうんだよ。おまけに霧になったぼくの行きたい所へ、的確に卵を飛ばしてくるんだもん。あの卵って兄様の素早さと同じ早さで動いてるから避けるのが難しいよ。
しかも、不完全分身とオーラを使った攻撃もあっさり防いじゃうしさ。全部死角から攻撃してるのに。なんとか隙を作りたい。
でも魔法は卵が増えて兄様が有利になるだけだし、魔力を使った攻撃も同じ。地味だけど不完全投影したディオスの分裂体を使うのが1番かなぁ。えいっ。
「うぐっ!」
あ、やっぱりこれイけるね。
兄様を不完全投影したディオスの分裂体を攻撃すると、兄様にもいくらかダメージを与えられる。でもディオスを苛めてるみたいで嫌なんだよね、ディオスはもっとやれってたくさん分裂してくれてるけど……うん、今は考えないようにしよっと。
「隙だらけだよ兄様」
両腕を不完全変身させて、眠らないドラゴンの爪とミスリスローズの棘でフラつく兄様を思いっきり攻撃した。ディオスもぼくに合わせて翼を触手に変形させて兄様を滅多打ちにする。
「むぅ、何であんなに固いのかなあの卵」
兄様は攻撃に使っていた卵を一瞬で自分の周りに戻して防御してる。きっと今の攻撃じゃダメージを与えられないな。
ディオスも同じ考えだったっぽいね。兄様への攻撃を止て自分の分裂体はを攻撃し始めたよ。
「ぐぁっ、げはぁ」
自分の卵に囲まれた兄様が苦痛の声をあげてる。ぼく、もっとカッコ良く勝ちたかったな。でもこれ以上に良い手も思い付かなくて、ダークネスミストを解いて強めの魔法でディオスの分裂体を攻撃していく。
「……ト」
「え?」
今、兄様が何か言ったような……
「hブースト!!!」
「うわわわわっ!?」
兄様の叫び声と同時に卵が一斉にぼくを狙ってきた。しかも、卵の数が桁違いに増えてるし大きくなってる。
ディオスが咄嗟にぼくを覆ってくれて卵から守ってくれた。
でも、避けきれない卵がぶつかった衝撃がかなり伝わってくる。そのせいか首もちょっと痛い。
ディオスは物理ダメージを吸収できるのに、この衝撃ってことは兄様の卵攻撃は魔法攻撃になるのかな……あ? えー物理でも魔法でもない攻撃ってなんなの?
ヒストリアで確認したから確実なんだけど、どうすればいいか分からない。ズルいよ。
「避けるよディオス」
飛び交う卵の隙間からティザーとアクネアが興奮したようにお酒をゴクゴク飲んでいるのがチラッと見えた。
『のほー! アルフめ、本当にhブーストを使いおったわい』
『あーあ、コルリルが可哀想だぁら!』
もう、兄様! hブーストはズルいから使っちゃダメって言ったのに!
「ズルだー! 反則負けだよ!」
ぼくが大声で抗議したのに兄様はズブズブ卵の中に入っていった。そしたら隅っこにまとめてた卵も動き始めた。
兄様を不完全投影したディオスの分裂体も卵にぶつかって飛び散ってるのに、兄様が入っていった卵は止まる素振りも見せないよ。
うー、ぼくダメって言ったのに。怒るよって言ったのに。
「兄様のばかーー!!」
兄様に対抗するためにアレに不完全変身しようとした。けど、ディオスが任せろって。見るといつの間にかディオスは真っ赤な血みたいな色になってたんだ。
ディオスは分裂体を集めてぼくを守らせると、兄様の入った卵に襲いかかっていった。
「あー、ディオスはアブソリュートトレジャーを使ってたのか。全然気付かなかったよ」
ぼくは少しだけ血が出てる首を擦りながら、この後の兄様をどうやって慰めてあげようか考える事にした。
~入手情報~
【名称】不完全投影
【発現】コルキス・ウィルベオ・クランバイア
【属性】闇
【分類】不完全型/固有スキル
【希少】☆☆☆☆☆☆☆☆
【効果】
任意の対象にコルキスがヒストリアで確認したものを投影することができる。生き物を投影した場合、投影されたものはその生き物の能力を一切使用できないが、投影された対象に起こった出来事の5%~15%程度を元の生き物に反映させることができる。生物以外を投影した場合、それは元の半分の性能を持ち、投影された対象に起こった出来事の70%程度が元のものに反映される。成長の可能性を高く秘めている固有スキルである。
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【名称】不完全分身
【発現】コルキス・ウィルベオ・クランバイア
【属性】闇
【分類】不完全型/固有スキル
【希少】☆
【効果】
分身できる。分身は本体から離れるとコルキスのレベル秒で消えてしまう。また、身体の一部だけの分身を作ることもできる。成長の可能性を高く秘めている固有スキルである。
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【名称】ダークネスミスト
【発現】コルキス・ウィルベオ・クランバイア
【属性】闇
【分類】闇霧型/固有スキル
【希少】☆☆☆☆☆☆
【効果】
自身を闇色の霧状にし、そのまま行動できる。また、霧状態で触れた者の血を根こそぎ奪うこともでき、奪った血を溶解液に変えて攻撃することも可能。触れた物を10人までなら霧にすることもでき、その者の自由を奪うことも可能。コルキスが使用した魔法や固有スキル等と同じ効果を霧に宿すこともできる。また、霧状態で触れた先天属性が影や闇のものの強化もできる。成長するとさらに強力な固有スキルとなるだろう。
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【名称】hブースト
【発現】アルフレッド・ジール・クランバイア
【属性】-
【分類】異常強化型/固有スキル
【希少】★★★
【効果】
アルフが選択した自身に関することが一定時間だけh状態に強化される。大変な負荷がかかる為、多用しない方がよい。




