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75話 要らなくなったら捨てるらしい

後書き修正

 もう、ぼく男の子なのに。


『止めてよ母様、今はぼくの身体なんだから女の子みたいな喋り方しちゃダメって言ったのに!』


「あら、そうだったわ。ごめんなさいねコルキス」


『ほらまた!』


「……悪い。これでいいかい?」


『ギリギリだからね、ぼくはもっとカッコいい男なんだから』


「そうね……あ、そうだな」


 むぅ、母様はクスクス笑ってる。


 でも母様がいなきゃ、ぼくはロンにやられちゃってたかもしれないな。ディオスを虐めたコイツは今、母様の吸血で自由を奪ってある。


 胸を貫かれてもうダメかも知れないと思ったとき、急に力が沸いてきたのはほとんど母様のお陰だった。母様はぼくが死にそうって気付いて、ヴァンパイアオーラで回復と強化をしてくれたんだ。


 それでもぼくがコイツを倒すのに手間取ってたら、母様の眷属になれって声が頭に響いてきた。眷属になれば母様が戦いを終わらせてくれるって。


 ぼくは自分でやっつけたかったから嫌だって言ったんだ。だけど、何回もその声は聞こえてきた。そのせいで、戦ってる最中に何度も集中力が途切れそうになっちゃったよ。


 でも結局、母様の眷属になることを選んだ。コイツが固有スキルの天煌炎滅陣を使うんだって分かったときにね。そしたらすぐ母様の声が聞こえてきた。


「良く頑張ったわね。後は任せなさい」


 って、凄く安心する声だった。


 母様は感覚共有でぼくからぼく自身の主導権を受けとると、ブラッドウエポンや幻術を使ってあっという間にコイツを吸血しちゃったんだ。本当に母様は凄いなぁ。


 ちなみにぼくは、天煌炎滅陣が発動したとき、どっちがどっちの方向なんだか分からなくて大混乱だったよ。


 母様には何の影響もなくて、ぼくは本当に母様の眷属になっといて良かったって本当に思った。


「それで、このクソ鳥は何なの? どうすればいいかしら?」


『……喋り方』


「あぁそうだった」


『もう、あと仕草も母様そのものになってるから気を付けて』


「はいはい」


 うーん、コイツはどうしようかなぁ。


 ディオスを虐めた代償は――


『あ、そうだ、ディオスを助けなくちゃ!』


「ディオス? ディオスは……あ、あそこで元気そうにしてるわよ」


『え? あれ、本当だ』


 ディオスはなんか一心不乱に頂上の床を行ったり来たりしてる。あそこら辺はぼくが胸を貫かれた所だよね、何やってるんだろう。


『でも、ディオスが元気そうで良かった。あ、そうだ母様。ぼく、コイツを子分にする。ねぇいいでしょ?』


「悪くないわね。じゃあ眷属化して専属執事にするわよ」


 ……もう喋り方は諦めようかな。母様ってば気を付ける気なさそうだもん。


『待って、違うの! そういう感じじゃなくて、えっと練習台とおやつっていうかその……』


「あらそういうことね。おやつにはむかないと思うけど、コルキスがいいならそれでいいわ。それに練習台もいい考えじゃないかしら。ただし、よーく気を付けるのよ」


『はーい!』


 良かった。


 美味しいおやつは何個あってもいいよね。そのうえ練習にもなるんだし。


『母様、本当にありがとね。大好き!』


「ふふっ、私も大好きよコルキス。それじゃあ、そろそろ眷属化を解くわね。試練頑張りなさいね」


『うん!』


 母様がぼくの眷属化を解くと、独りぼっちになった気分がして寂しくなっちゃった。


 兄様どこ行ったのかなぁ。早く一緒に寝たいなー。




 ##########




「ふぅ、ヴァンパイアオーラの眷属化と感覚共有での戦闘。久し振りに同時使用したけれど、何だか疲れたわ。私も歳かしらね」


「ヴァンパイアが歳とは、面白い冗談ですねメファイザ義母上」


「良かった。無事、コルキスを助けられたのですね。新しいお茶を用意してきます」


 目を開けた私の言葉を聞いて、シュナウザーとミラが安心したように警戒を解き、ミラは気を利かせてお茶を入れ直しに隣室へ向かった。


「相手は強かったのですか?」


「いいえ。ただコルキスにはまだ荷が重い相手かしらね。エルフとスジャク族の混血だったもの」


「あぁ……それはコルキスも不運でしたね」


 シュナウザーはコルキスの話をすると本当に表情豊かになるわね。あの子の味方がいてくれるのは嬉しいことだわ。


「確かにコルキスには不運だったわね。でも、私には良いこともあったわ。ケラーミスタ神に祈りを捧げようかしら」


「良いことですか? それはわざわざ、モリナディ式転移装置を犠牲にして私たちを訪ねて来たことと関係が?」


 ミラが新しいお茶を持って戻って来た。


「ふふふっ、どうかしら。300年後に教えてもいいわ」


「それは、長生きしなければいけませんね」


「長生き? ハハハ、珍しいなミラが冗談を言うなんて」


 ミラの持って来た深紅月茶は、さきほどのよりもスッキリした味わいだった。




 ##########




 アクネアに運ばれた塔の上空にはティザーとモーブ、それにドゥーマトラがいた。


「あれ? 何やってんの?」


「ティザーからコルキスがヴォルキリオの分身と戦えなかったと聞いてね。代わりを考えていたら丁度良いのが近くにいたからちょっとね」


 モーブは俺の頭を微笑んみながら撫でてくれた。


「そっか。じゃあコルキスは大丈夫か」


 どういうわけか、モーブはコルキスを強く育てたいらしい。


 コルキスとヴォルキリオの分身を戦わせるって地下でティザーとアクネアに聞いたときは猛反対したけど、モーブが付いてくれると聞いてそれならと許可した。


「わ、私の大切なゴミ捨て場が燃えているじゃない! モーブ、あなたちょっと遊ぶだけだって言ってたわよね!? これはちょっとなのかしら!? どうなのよ、答えなさいよ!」


 ドゥーマトラがキーキーわめいてて煩い。


「あの程度の炎が塔に影響を及ぼすはずないよ。ドゥーマトラは心配性だな。でももし、何か問題があったら僕が直してあげるよ」


「言ったわね! 必ずよ! それにしてもあの男……朱雀族とエルフが塔に入ったらもっと危険になるように改造してやるんだから」


 ドゥーマトラって気が弱い大精霊って聞いてたんだけど、どこらへんがそうなんだろう。会うのは2回目だけど、そんな気配は微塵もない。


『今はヒステリー中だからね。いつもはもっとオドオドしてるよ』


 俺の考えを読み取ったのか、モーブがこっそり教えてくれた。


「あ、決着がついたね」


 モーブに言われてコルキスを見ると、何だか様子がおかしい。なんか女の人みたいな仕草をしてる。


「思った通りメファイザが助けたね。それにしてもコルキスは不完全変身でアレになれるんだろ? 何でならなかったんだろうね」


「知らないわよ! 終わったなら塔の警戒を元に戻すわよ! またっくもう……」


「君に聞いたわけじゃないんだけどな……」


 ぶつぶつ文句を言いながら塔へ入っていったドゥーマトラを見てモーブがボソッとこぼした。その瞬間、塔から物が飛んで来たけど、「ドゥーマトラったら仕方ない奴だな」とモーブは笑っていた。


 ていうかメファイザ義母上が助けたってどういうことだ?


「そうだアルフ。勇者からの伝言だよ。ミュトリアーレで一旦合流しようってさ。どうする?」


「勇者……忘れてた。どっちでもいいかな」


「うん、そう伝えとくよ。コルキスもだけどアルフもだいぶ成長してるよね。今度暇なときに僕が相手してあげるよ。じゃあまた」


 聞きたいことがあったのに、モーブは言いたいことだけ言うと消えてしまった。自分ばっかりずるいぞ。


『それじゃ儂等も行こうかの。眠くて仕方ないわい』


『俺もだぜ』


 ティザーたちに促されて塔の頂上へ戻ったらコルキスが満面の笑みで迎えてくれた。


「見て見て。コイツぼくの子分にするんだ。要らなくなったら捨てるからさ、いいでしょー?」


 コルキスが俺に抱き付いて上目遣いで許可を求めてくる。


 ちょっとあざといけど可愛いなと思う俺は、もしかして勇者みたくなりかけているんじゃ……気を付けよう。


 それと要らなくなったら捨てるっていうのはどうかと思ったから、最後まで責任を持つようにと言っておいた。


 コルキスが子分と決めたってことは専属執事か近衛兵みたいなものだろう。一応エルフィンスジャクに声をかけたけど、虚ろな目をしたまま微動だにしない。


 あれ、もしかして吸血で言うことを聞かせてるのかな。


 はぁ……これはコルキスに色々聞かなきゃいけないけど、なんか凄く眠い。もう明日でいっか。

~入手情報~


【名称】ブラッドウェポン

【発現】メファイザ・オ・クランバイア

【属性】闇

【分類】血液変形強化型/固有スキル

【希少】☆☆☆☆☆☆☆☆

【効果】

血液を武器に変じさせる事ができ意のままに操れる。目視したものの血液を体内にあるまま武器にすることも可能だが、その場合は魔力を消費する。メファイザ自身もつまらないからとあまりそのような使い方はしない。また、単純な効果や性能であれば付与することも可能である。


~~~~~~~~~


【名称】ヴァンパイアオーラ

【発現】メファイザ・オ・クランバイア

【属性】闇

【分類】頂点型/固有スキル

【希少】★★★★★

【効果】

基本的には通常のオーラと同じであるが、一度でもこのオーラに触れたことのあるヴァンパイアとヴァンパイアハーフ、及びすべてのヴァンパイアの眷属から強制的に力を集め自身のものにできる。逆に強制的にその者らを強化、治癒、回復をさせることも可能。さらにそれらのいる場所や状態もある程度把握できる。また、上記の条件に加え自身の魔力を分け与えたものには、強制的に一時的な眷属とすることで、自らの能力を一定時間だけ授けることも可能。その場合メファイザには眷属が増える以外の影響はない。なお、暴走と併用時、集めた力や授ける能力等は暴走の効果とは別に自身のレベル倍となる。この固有スキルには場所の制約が無く、ヴァンパイアの王にのみ発現する固有スキルでもある。


~~~~~~~~~


【名称】モリナディ式転移装置

【分類】小型転移装置

【属性】無

【希少】☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【価格】-

【効果】

モリナディという不死者が開発した転移装置。1300年ほど前に100歳という若さで開発した小型転移装置である。自身の扱う魔法を元にしており、他人には製造不可。また、モリナディがある時期から研究発表をしなくなった為、現在では出回っておらず大変貴重なもの。2~3回の使用で壊れてしまうのが難点。


~~~~~~~~~


【名称】深紅月茶

【分類】月茶

【属性】植物/月/闇

【希少】☆☆☆☆☆☆☆☆

【価格】クランバイア金貨900枚/1g

【効果】

超高級茶。

月神の神域にのみに存在する深紅月樹の葉を加工して作られており、疲労回復と魔力回復及び最大魔力値微増効果がある。市場に出回ることはほぼなく、もしそうなったとしても中級貴族の豪邸の建築費よりも高い値段になる。ティーカップに注ぐと、極薄い黒色のお茶に深紅の月模様が浮かび上がる。淹れ方が下手だと模様は浮かばず、なんの効果も無いえぐ味しか感じない物になってしまう。

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