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74話 ロン・タイヤンとコルキスたち

後書き修正

 私はダンジョンマスターと戦いながら、今朝からの事を思い返していた。


 メネメッサで行われたテラテキュラ族長会議のついでにマクルリアの町へ従姉に会いに来たのだが、まさか新しいダンジョンを発見するとは思わなかった。


 宿で会議の疲れを癒した翌朝、従姉が働く冒険者ギルドへ向かう途中に遠見をしていて気が付いた。


 ダンジョンが出現するのは良いことだ。ダンジョン目当てで冒険者が集まり、彼ら目当てで商人も集まる。結果、その周辺は発展していく。当然デモリットもあるが、それを上回るメリットの方が多いと私は思う。


「あら、ロンじゃない! 100年ぶりくらいかしら、大きくなったわね」


 人が込み合う冒険者ギルドに入ると、受付嬢している従姉が声をかけてきた。


「ああ。メアリー、ギルドマスターに話がある。ヘパサ川の近くに、昨日は無かった塔が出現していた。壁面に魔物像が大量にある。恐らく新しいダンジョンだろう」


 私の言葉を聞いた近くに居た冒険者たちが騒ぎ始める。


「ちょっとロン!? 詳しいことはギルドマスターの部屋で話して! あと皆さん、勝手に塔へ行かないで下さいね!」


 メアリーは忠告しているが、半分くらいの冒険者は行動するだろう。冒険者とはそういうものだ。


 マクルリアの冒険者ギルドマスターは上品そうな老婆だったが、頭が固く私の提案を頑なに拒んできた。何度も話をしたが「勝手をするな」しか言わない。もう2時間は繰り返している。


「もういい。族長会議ではメネメス国の好きな場所に朱雀族の村を作って良いと決まっている。これはテラテキュラ連邦王国の決定事項なのだ。礼儀として話をしたが、本来わざわざ地方のギルドマスターに許可を貰う必要はない」


「ちょっとロン! 待ちなさいよ!」


 ギルドマスターとメアリーを振り切り塔へ向かった。内部も気になるが私は飛べる。先ずは塔の最上階を目指す。すると塔からは糸が飛び出してきたり、壁面の像が魔物に変わり襲ってきた。


 魔物を倒しても塔の壁には一瞬で魔物の像が作られる。さらに、ある高さまで行くとそこからは見えない壁によって進めなくなっていた。塔のダンジョンによくある仕掛けだ。


 ただ、これでここがマスターダンジョンだと分かった。コアダンジョンではダンジョン外に干渉するようなことは決して無い。こういった仕掛けもスタンピードも、ダンジョンマスターのいるマスターダンジョンでしか起きない現象なのだ。


 マスターダンジョンなのも都合が良い。コアダンジョンと違い、ダンジョンマスターを殺せば消滅せずダンジョン外に被害を出さなくなる。成長は止まるがダンジョンの機能を保ったまま2000年~3000年は存在し続けるからだ。


 頂上は諦めて塔の内部に入るとそこは気味の悪い景色だった。不気味な目の絵画や理解不能な形状の置物などが乱雑に配置されている。


 探査自体は難なく進んだ。1階の時点で魔物の強さはそこそこで、恐らくCランク以上しか出ないのだろう。作りも非常に複雑で罠は狡猾な物ばかり。まさか入り口で霧状に降り注ぐ水が、ステータスダウンやスキル封印の罠だとは誰も思うまい。


 いくぶんかダメージを負いつつ、たまに迷いながらも隠された転移装置を使い何とか20階まで来ることができたのだが、これは酷い。ボスがSランクの魔物だったのだ。


 さすがに一人でSランクは無理だ。ボスから逃げリターンスペルを使い塔を脱出した。リターンスペルを使うとき、かなりの魔力を消費したのは気になったが使えるならば問題は少ないだろう。


「攻略させる気が全く無いようなダンジョンだが、ある程度の探索して脱出すれば……」


 ここは他のダンジョンと違い宝箱が非常に多い。床にアイテムが転がっているのも特徴的だ。


 常にそうなっているのかは後々確認するとして、Bランク以上の冒険者専用かつ、探索は原則19階までとすれば犠牲も少なく、実入りの良いダンジョンとして運用できそうだな。


「気に入った。やはりここを朱雀族の村にしよう。すぐに大きな町となるだろうな」


 そうと決まれば植物魔法を使い家などを作る。もう少し調べたら仲間を呼び寄せよう。


 家を作り終えた昼下がり頃、マクルリアの町からようやく冒険者たちが到着し始めた。恐らく私より先にマクルリアの町を出発したのだろうが、飛べないとは不便だな。


 彼等は私の忠告を話し半分で聞き、次々とダンジョンへ入って行った。ほとんどがBランクに満たない冒険者だろう。案の定、帰還する者は少なかった。


 しかし帰還者たちは皆、危険だが想像以上に稼げると話していた。そういった話しはすぐに広まる。夜になっても冒険者や商人が続々と集まって来た。


 私はここが朱雀族の村であると納得した者には、一時的に家を貸すことにした。まぁ、反対する者はいなかったがな。


 周囲に魔物避けの結界を張り、そろそろ寝ようかと考えていたとき、塔の頂上に人影が見えた。


「まさか……ダンジョンマスターか?」


 罠かもしれないがチャンスだと判断した。大抵の場合、ダンジョンを作り出した後のダンジョンマスターは疲弊しているのだ。


 見えなくなった人影を追うと先ほど同様に壁面の像が魔物となり襲ってきたが、見えない壁は無くなっていた。


「やはり罠だったか?」


 魔物を振り切って一気に頂上まで駆け抜ける。するとそこにはニュクテリススライムの様な魔物がいた。


 間髪いれず攻撃を仕掛けたが、見た目に反してかなり頑丈だった。ただし、私の敵ではない。炎纏体術を使うと呆気なく動きを止めた。


 そこからだ。こいつが現れたのは。


 初めは生意気そうな子供の姿をしていたが、胸を貫かれると正体を見せ始めた。


 子供の身体から繰り出される攻撃と思えない程の威力、また頑丈さだ。炎纏体術二ノ型を喰らわせ吹っ飛ばすと、遂に正体を露にした。


 ドラゴン!


 身体が霧になっているということはミストドラゴン……いや、ミストドラゴンはブレスを使えない下級のドラゴン。さっきの黒い攻撃は間違いなくドラゴンブレスだった。


 それにもう1人敵が現れた。これは不味い。コロナペトゥルス使い一旦距離をとった方がいいだろう。だが、私の予想に反してドラゴンは火柱に焼かれる自分に構うことなく、絶えず攻撃をしてきた。


 私も全魔力を使い聖焰画影剣と裂影風火輪を大量に作りだし応戦するが、ドラゴンから無数に放たれる黒く禍々しい刃がそれらを相殺していく。ただ、いくつかは間違いなくダメージを与えている。もちろんコロナペトゥルスもだ。


それなのに、まるで手応えが無い。


 ん、どうした?


 私はドラゴンが見せた一瞬の隙を逃さず、コロナペトゥルスの火柱を取り込み魔力を回復させた。続けてドラゴンが再び見せた隙を付いて、七星連撃やキリオズファイアを放つが、霧散するように躱される。その間に魔方陣を描いていた聖焰画影剣や裂影風火輪から複合魔法を放つも、霧に包まれて消滅してしまう。


 即座に手に持った聖焰画影剣で実体化している顔と翼を狙ってみるが、またも瞬時に霧となり躱された。


「霧というのがここまで厄介なものだとは。だが、全身を霧にすることはできないようだな。必ずどこかが実体化している」


 なんとかそこだけを攻撃できれば……仕方がない、魔力の回復が追い付かなくなるがコロナペトゥルスの威力を上げる。そしてやるしかない。このまま長引けば不利になるのは目に見えている。


 コロナペトゥルスの威力を上げ、攻撃と回避を繰り返す。至る所で青く輝く火柱が上がり、聖焰画影剣や裂影風火輪も飛び交っている。


「今だ!」 

 

 何度も見せる隙に最高のタイミングで合わせ、実体化している頭に聖焰とキリオズファイアを放つ。すぐさまコロナペトゥルスの花びらを風魔法で集め、 実体化が移り変わった場所へぶつけ――何!?


 ドラゴンは私の攻撃を躱さず、大きく口を開けドラゴンブレスを放ってきた。今までより早く強い!


「くっ!」


 なんとかギリギリで回避したが、既に黒い霧が目の前に迫っていた。霧に包まれる寸でのところで結界を展開し防御する。が、すぐに破られ黒い刃と赤い刃が飛んでくる。


「ぐあっ!」


 クソッ、防ぎきれなかった――不味い、来る! これまでとは違いインターバル無しにドラゴンブレスを放つ。


 ギリギリの魔力を残し結界を何重にも展開させたが、数秒と持たずに結界は破られるだろう。だが覚悟は決めている!


 集めた花びらをドラゴンにぶつけながら奥の手の固有スキルを発動させる。


「天煌炎滅陣!!」


 夜空一面に灼熱の炎が広がり、結界を突き破って襲いかかってくるドラゴンブレスが僅かに軌道を変え私の翼を掠めていった。


「……勝った」


 翼を抉られた痛みでバランスを崩しながらも勝利を確信する。


『残念、私の勝ちよ』


 首に走る小さな痛みと同時に声が聞こえた。そのまま視界が真っ赤に染まる寸前、あの生意気そうな子供が妖艶な笑みを浮かべているのが見えた。

~入手情報~


【名称】キリオズファイア

【分類】等級複合魔法

【効果】☆☆☆☆☆☆☆☆

【詠唱】不要

【現象】

ロン・タイヤンのオリジナル複合魔法。

ロンが若い頃に火精霊ヴォルキリオの話を聞き、憧れを抱いて作り上げた魔法。特級火魔法と上級火魔法を組み合わせており、想像を絶する威力を誇る青白い鳥を模した火魔法である。魔法の対象から魔力を奪い吸収することも大きな特徴である。なお、ヴォルキリオファイアにしなかったのはロンの羞恥心が働いた為らしい。


~~~~~~~~~


【名称】七星連撃

【発現】ロン・タイヤン

【属性】無

【分類】星魔力型/固有スキル

【希少】☆☆☆☆☆☆☆☆

【効果】

井宿・鬼宿・柳宿・星宿・張宿・翼宿・軫宿の力を集め、1発の打撃が56発になり、7回打撃を繰り出すまで効果が持続する。身体にかかる負担が大きい為、連続使用には向かないが不可能ではない。また、魔力を最大魔力値の1/3を消費すればどんな攻撃も56倍の威力にできるが、自身のレベル分動けなくなる。


~~~~~~~~~


【名称】天煌炎滅陣

【発現】ロン・タイヤン

【属性】火/星

【分類】型/固有スキル

【希少】☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【効果】

空一面を灼熱の炎で埋め尽くし、その中から火の玉が流星の如く対象に降り注ぐ。また、ロンが敵と認識したものは空に落ちて行くようになる。更に敵の方向感覚だけがランダムに上下左右入れ替わる為、混乱を極めたまま炎に包まれるだろう。発動させるには最大魔力値の1/5の魔力を必要とする。

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