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44話 コルキスと遊ぼう

後書き修正

 俺達はヴァロとキャリンが出かけた後リビングに戻り、昨日出てきたアイテムを幾つかテーブルに並べて相談を始めた。


「エボリューションハンマーで何を叩こうか」


「本当は使い魔なんかに使ったりする物だよね。ぼく使い魔いないけど」


「80%で失敗するって事は、かなり大幅な進化をするのかしら」


「どうなんだ、コルキス」


「そこら辺もランダムみたい」


「じゃあ、スライムの粘液とかトレントの小枝なんてどうかしら。上位種の素材になったら希少価値が跳ね上がるし、消滅したって平気でしょ」


 そういうのって進化って言うのかな。あー、でもアイテムがランクアップする訳だし進化でいいのかも。


「魔物の素材を進化させたら魔物になりました、とかならないよな」


「なるんじゃないかな、そういうのも進化だと思う」


 それだと、ちょっと室内でやるのは不味い。もっと安全で手軽な物ってないかな。


「魔石でもいいかもな。それか、昨日の珍しいアイテムを3つ選んで叩くとか」


「勿体無いよ」


「確かにねぇ、でもハラハラして楽しいかしら」


 あーでもない、こーでもないと話した結果、とりあえず特大の魔石が有るんだから、大粒の魔石は3無くなってもいいかという事になった。


「じゃあ、先ず俺から叩くな」


 エボリューションハンマーで魔石を叩くと、魔石が輝きだした。


「お、これは成功するんじゃないか?」


「なんかそんな気がする!」


「ワクワクするわね!」


 どんどん輝きが強くなっていく。俺達の期待もいっそう高まるってものだ。


 コルキスはさっきの無表情と違って、めちゃくちゃ楽しそうにはしゃいでいる……か、可愛いじゃないか。


 キンっと音が鳴り、輝きが収まると魔石は跡形もなく消えていた。


「失敗かー。演出が派手だな」


「でも凄く楽しいわこれ、3回じゃ少過ぎるわよ」


「ねえ兄様、次はぼくに叩かせて!」


 キラッキラの笑顔が眩しい、なんだこの破壊力は。勇者が弟の事を溺愛するのもちょっと分かってしまった。弟って懐くと可愛い。いや、まあコルキスが俺に懐いてるかは分からないけど。


「ちょっと重いから気を付けろよ」


「クソ弱い兄様でも持てたんなら大丈夫だよ」


 笑顔のままでそんな言い方、それにクソ弱いは余計だ。お前を可愛いと思った俺の気持ちを返せ!


「あらー、そうでもないわ。コルキス、アルフは戦うと面倒臭い相手になったわよ。可愛げが無くなったわぁ」


 え!?


「ほ、本当に!? 本当にそう思うミシア!?」


「えぇ」


「本当ですか? 敵が魔法を使わなければ雑魚のままなんじゃ……」


 おい、コルキス。雑魚とか言うなよ雑魚とか。


「それもそうね。じゃあ雑魚だけど、卵の数が増えると面倒臭いに訂正するわ。あ、それと大精霊様以外には敬語を使わなくていいわよ」


「ちょっとミシアー! 何か言い返してよ!」


「今の顔、加点5よアルフ。ふふっ」


「仕方ないよ、本当に兄様は1人じゃクソ弱いんだもん」


 2人とも酷い。


「じゃあ叩くね」


 コルキスが魔石を叩くと俺の時と同じように輝きだした。ただ、さっきと違うのは魔石がぐにゃぐにゃ、ぼこぼこと変形しようとしている事だ。


「さっきと違う反応だな」


「成功するんじゃないかしら!?」


「そういえば何になるんだろう、魔石の進化形ってぼく知らない」


 そう言われれば俺も知らないな。大粒だったから特大とか、それ以上に大きな魔石になるのかな。


「何言ってるのよ。魔石が進化したら大半は魔物になるのよ。滅多に有ることじゃないけどね」


「「えぇ!?」」


 それは駄目だ!


 スイートルームなんて壊したら、女将さんに迷惑がかかるじゃないか。それに部屋や調度品の賠償で高額請求されるに決まってる。


「ちょ、コルキス! 戦う準備だ!」


「うん」


「そんなに慌てなくてもいいわよ。魔石から生まれたばかりの魔物は大人しいし、近くの生き物に懐くのよ」


 そうは言っても魔物だ。用心するに濾したことない。魔石はどんどん形を変えていき、最後に激しく光を放った。


「何だこれ」


「うわぁ、可愛い!」


 光が収まってそこに居たのは、魔石とスライムが合体したような少しグロテスクな生き物だった。


「見た事ない魔物ね、新種かしら」


「可愛いなぁ。あ、こら、そんなに引っ付いちゃダメだよ。もう、くすぐったいよ」


 謎の魔物はコルキスに引っ付きグニュグニュ蠢いている。あんなのが可愛いなんてコルキスの美的感覚は信用ならないな。


「懐かれたわねコルキス」


「兄様、この子ぼくが貰っていい?使い魔にする」


「いいけど……大丈夫なのか?」


「うん! ヒストリアで確認したけど、ぼくの事お母さんだと思ってるよ。リキッドマナストーンっていう魔物なんだって」


 初めて聞く魔物だ。まあ安全ならいいけど。


「リキッドマナストーン!? 珍しい魔物に進化したわねー! 先天属性は?」


 なんだかミシアがはしゃぎ始めた。そんなテンションになるくらい珍しい魔物なのかな、このリキッドマナストーンって。


「無しってなってる」


 あ、俺と一緒だ。ちょっと親近感湧いたな。


「無し? 無じゃなくて?」


「え、あ! 本当だ! 無しじゃなくて無だ!」


 何だ、俺と一緒じゃないのか。それにしても先天属性が無だなんて羨ましいな。


「凄いじゃない!! 無属性のリキッドマナストーンなんてどこ探してもいないってくらい数が少ないのよ!」


 そんなに凄い魔物なのか……なんか俺も欲しくなってきたな。


「ちょっと俺も触っていいか?」


 そう言ってリキッドマナストーンに手を伸ばすと、グニュグニュっと動いて俺を避ける。


「兄様は苦手みたい」


「残念ねアルフ、あなたも欲しくなったんでしょ」


 バレてる。


「え、ダメだよ兄様。この子はぼくの使い魔なんだからね」


 そんなに警戒しなくても無理矢理奪ったりしないよ。


 コルキスがリキッドマナストーンを抱き締めて睨んでくる。見ようによっては捕食されてるようにも見える。


「弟の物を奪ったりなんかしないから安心しろ」


 そう言うとコルキスは嬉しそうに「良かった」と言って、リキッドマナストーンの名前を考え始めた。


「じゃあ最後は私が叩くわね。もし成功したら今度はアルフにあげるわよ」


 ミシアが優しくしてくれる。ああは言ったけど本当は俺もリキッドマナストーンがめちゃくちゃ欲しいって気付いてるんだろうな。ちょっと恥ずかしい。


「それっ!」


 ミシアが俺の願いと共に魔石を叩いたけど、結局失敗に終わった。


 エボリューションハンマーは役目は果たしたと言わんばかりに、仰々しい輝きを放って壊れてしまった。


「残念だったわねアルフ」


「いや、しょうがないよ」


 ミシアが肩を叩いて慰めてくれる。


 俺は壊れたエボリューションハンマーをテーブルに置くと、ミシアに感じの悪い人形を出して貰った。手に持った人形は酷い表情だ。


「コルキス、次はこの満たされた人形用試験管を使おう」


「うん」


 満たされた人形用試験管には、物凄く怪しい緑色の液体が入っている。感じの悪い人形を近付けると大きくなり、遠ざけると元に戻る。


「不思議だなー」


「早く入れようよ」


 俺が遊んでいるとコルキスが急かしてきた。


 ミシアがテーブルの上に氷で管立てを作ってくれ、俺は感じの悪い人形を試験管に入れた。


「使い方あってるんだよな?」


「うん……」


「なんて言うか、罪悪感が湧いてくるわね」


 感じの悪い人形は、いつも俺の手を離れた瞬間に可愛いらしい顔に戻る。


 なのに今、俺の手を離れ試験管に入れられた人形は非常に苦しそうな顔をしている。


「これって、溺れてる?」


 それくらい何かを我慢する苦しそうな顔だ。これで1晩放置って事だから、明日の朝までこの顔何度も見るのか。


「ヒストリアでは、謎の液体に浸されているってなってるから溺れてはいないと思うけど。そもそも人形だし」


「やだ! 白目剥いたわよ!」


 ミシアが悲鳴をあげる。


 この人形の首と胴体を切り離した精霊の癖に、なんでそんな……


「あ、口をパクパク動かしてる」


「やっぱり、溺れてるのよこれ!」


 俺は居たたまれなくなって、試験管から人形を取り出そうとした。しかし、コルキスが俺を止める。


「ダメだよ兄様。今取り出すと、たぶんこの人形消えちゃうよ」


 こんな顔をさせておいてなんだけど、俺はこの人形に思い入れと愛着がある。消えるのは嫌だ。


「それは困る」


「じゃあ明日までこのままにしとかないと」


「イヤァァ! 手足をバタバタさせ始めたわ! 見てられない、下の遊戯室へ行くわよ!」


 俺達はミシアに連れられて部屋を後にした。


 夕方、部屋に帰って来ると、テーブルの上は荒れており試験管の回りには緑色の液体が飛び散っていた。今は無表情で試験管の中を漂っているけど、一体何があったんだろうか。


 誰となく、無言でテーブルの上を片付始めるのだった。

~入手情報~


【種族名】リキッドマナストーン

【形 状】液状型

【危険度】A~

【進化率】☆☆

【変異率】☆☆☆☆☆☆☆


【魔力結晶体】全個体に発生

【棲息地情報】-


【先天属性】必発:元の魔石と同じ/偶発:-

【適正魔法】必発:元の魔石と同じ/偶発:-

【魔物図鑑抜粋】

魔石に意志と魂が宿った液状の魔物。

大変珍しい魔物で見かけると幸運になると言われている。魔石が魔物になるのは命の女神の気紛れとされ、国によっては崇拝の対象となっている。成長につれ周囲の魔素を取り込むようになり自身を強化、強力な魔法を使うようになる。また、物理攻撃を無効化し先天属性の魔力は吸収する。あるていど成長すると先天属性と同じ魔石を産み出すようになる。先天属性が無の場合は色々と特殊であり、上位種と考えられている。


~~~~~~~~~


【名前】なし

【種族】リキッドマナストーン

【職業】使い魔

【年齢】0日


【レベル】1

【体 力】1

【攻撃力】1

【防御力】1

【素早さ】1

【精神力】1

【魔 力】1000


【スキル】

甘える

【固有スキル】

無属性吸収/自然界魔素吸収/物理ダメージ吸収


【先天属性】無

【適正魔法】無魔法-下級


~~~~~~~~~


【名 称】スライムの粘液

【分 類】魔粘液

【属 性】植物/スライムの先天属性と同じ属性

【希 少】-

【価 格】共通木貨1枚

【コルキスのヒストリア手帳】

スライムが吐き出す粘液だよ。

これは通常種のスライムの粘液だからどこでも簡単に手に入るかな。加工して装飾(そーしょく)にしたり、魔道具や錬金術師の材料になったりするけど凄く安いよ。


~~~~~~~~~


【名 称】トレント小枝

【分 類】魔枝

【属 性】植物/トレントの先天属性と同じ属性

【希 少】-

【価 格】共通木貨3枚

【コルキスのヒストリア手帳】

トレントの細い枝だよ。

通常の木材よりも丈夫で、安い武器なんかに加工されるね。特に簡易な作りのスタッフやロッドはだいたいトレントの小枝から作られてるよ。先天属性が火のトレントの小枝は長時間燃え続けるから、魔法王国以外の平民家庭では燃料としても重宝(ちょーほー)されるんだって。

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