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42話 コルキスは情緒不安定?

後書き修正

 この膨大な数の卵を1個1個孵化させていくのか。終わりの見えない作業って本当に辛い。


「闇の大精霊様、アルフレッド兄様の固有スキルなんですけど……」


 俺が泣きそうになりながら卵を孵化させていると、コルキスはモーブに話し掛け始めた。


「それは問題ない」


 何を話してたか分からないけど、モーブが何かを許したみたいだ。


 するとコルキスが、とことこ俺の所まで歩いて来た。


「アルフレッド兄様、兄様の孵化って固有スキルは、わざわざ1個ずつ使わなくても見える範囲なら同時に孵化できるみたいだよ」


 何だって!?


 それならあっという間に片付けられるじゃないか!


「おぉ、ありがたい……でも、前はそんな事出来なかったと思うんだけど」


「固有スキルは使えば使うほど成長していくんだよ。知らないの?」


 なんと可愛げの無い言い方なんだろうか。無表情で淡々と言われると、少し傷つく。


「ジル姉様から聞いた事は有るけど、成長したって実感がまるで無いから分からなかったんだよ」


「へー、兄様は成長を実感できないんだ」


 ……これは喧嘩を売られているのか? さっきまで泣いていたのにこの豹変っぷり。


「とりあえずやってみる」


 俺は考えるのを止めて、コルキスに言われた通り、見える範囲の卵を一斉に孵化させようと試みる。


「凄い、できた……」


 けれど、思わぬ誤算が1つ。そこそこの魔力を消費していまい、少し目眩がする。


「大丈夫? ちょっと考えれば分かりそうだけど」


 いちいち、棘のある言い方するじゃないか。そういう所、バドル兄様みたいで凄く嫌だな。


「大丈夫だ」


「なら良いけど」


 結局、孵化は数回で終わった。見えない所に有る卵も勝手に俺の近くに来れば良いのになんて考えたら、本当に近くに来て驚いた。


 癪だけどコルキスに聞くと、これも成長したかららしい。


「コルキス、鑑定しろ。これはお前の仕事だ」


「はい」


 モーブがヒストリアを使うように言うと、コルキスは満面の笑みで答えた。いや別にいいんだけどさ。その笑顔の1%でも俺と話すときにできないもんかね。


「終わりました。ほとんどは普通の物です。でも何個か珍しい物があります」


 早っ!!


 コルキスは、地面に転がっているアイテムをざっと見渡しだけで全てを鑑定し終えた。


「エボリューションハンマー、ハートボム、ジャンクソウル、ジルコニードル、ペペランの鎖、叫びの仮面、満たされた人形用試験管、あとは特大の魔石が1つと大粒の魔石が3つです」


 名前だけ聞いてもよく分からないな、何だよ満たされた人形用試験管って。


「わかった。アルフ、珍しい物以外はどうする?」


 モーブが俺には優しい声で聞いてくる。


「うーん、一応持って行こうかなぁ。放置していくのも迷惑だろうし」


「じゃあヴァロミシア、回収しといて」


 え!?


 ヴァロとミシアはモーブにそう言われて素直にアイテムを回収し始めたけど、一瞬俺を睨んだのは見間違いじゃない。後が怖いよ。


「コルキス、お前はアルフと一緒に行動しろ。クランバイア王や王妃には、不死になるた為の試練に挑戦していると伝えておく」


「分かりました」


 えー!?


 俺は気が進まなかったから、こっそりモーブに嫌だと伝えた。でも、監視し易いからと却下されてしまった。そしてコルキスに近寄り俺の現状を伝えた。


 ヒストリアがあるから分かっているだろうけど、念の為だとか。


 しばらくしてヴァロとミシアがアイテムを回収し終わると、モーブは俺に姿を変える魔法をかけて帰って行った。


「じゃあ戻るぞ。あれから2時間もたってるんだからな」

「本当に疲れた。アイテムの回収までしたのよ、減点3だわ」


 俺はひたすら2人の愚痴を聞きながら、コルキスを連れて白い砂浜亭に戻った。


 女将さんに1人追加で宿泊すると伝えると、サービスだとコルキスの分は無料にしてくれた。なんていい人なんだ、女将さん。


 コルキスは女将さんに100点の笑顔でお礼を言っている。


 幼いのにお礼が言えて偉いと、女将さんに飴を貰って嬉しそうな顔をするコルキス。こんなに表情がころころ変わるのを見たのは初めてだ。


「置いて行くぞ」

「カミルが待ってるわよ、アル」


 あ、そうか……30分したらお風呂に入ろうって約束したんだった。


 急いで最上階まで行くと、カミルが号泣していた。カミルを宥めていたキャリンが俺達に気付くと、カミルにそれを伝える。


「ア、ア、アルファドー!!」


 ぐあっ! 結構な勢いでカミルが抱きついてきた。


「僕が……僕が鬱陶しくてごめんよぉ。君の国の文化や風習、気持ちを考えずに僕の気持ちだけを押し付けてしまった。だから出ていってしまったんだよね。ごめん、本当にごめんよぉ。もうしないから突然居なくなったりしないでおくれよ。大好きな君が消えてしまうなんて耐えられない」


 カミルが力一杯抱き締めてくるから、意識が危うい。


 それにしても、俺が姿を消したのをそんな風に受け止めてたのか。何とか言って落ち着かせたいけど、このままじゃ無理だなぁ。


「おい、お前! 兄様から離れろ!」


 ついさっきまで嬉しそうに貰った飴を見ていたコルキスが、叫びながらカミルの脇腹をぶん殴った。


 かなり痛そうなパンチだったけど、カミルは俺を離さない。


「麒麟獣人の癖に耳が腐ってるのかよ! 離れろ!」


 コルキスが無理矢理、俺とカミルの間に入ってくるとカミルを突き飛ばした。正直やり過ぎな気もするけど、助かったよコルキス。


「兄様はクソ弱いんだから、そんな風に抱き付いたら失神しちゃうんだよ。大好きとか言ってる割に何にも分かってないな。お前なんか兄様に相応しくない! 死ね!」


 ちょっとコルキスの情緒が心配だ。あ、モーブに誓ったからかな。俺を守ってるんだろうか。


「ね、ねえアル、この子何なの?」


 呆然とするカミルの変わりにキャリンが聞いてきた。


「あー、こいつは俺の弟なんだよ。名前は……コルだ。俺を追い掛けて来たみたいで迎えに行ってたんだ。急だったからさ、黙って行ってごめん」


「弟? 全然似てない。種族も違うみたいだし……」


「い、異母兄弟なんだ。コイツ俺にべったりだったから離れたくなかったらしくてさ」


 本当はべったりだなんて1度も無いけどね。


「兄様、こんな奴放っておいてもう寝よう。行くよ!」


 散々カミルを威嚇してたと思ったら、急にコルキスが手を引っ張って俺を部屋まで連れ込んだ。ドアの向こうでカミルが何か喚いてる。これは戻った方が良さそうだな。


「コルキス、ちょっとカミルと話してくるから離してくれないか?」


「ダメ! もう寝るの! 別にあいつと一緒だと兄様が苦しくなりそうとか思った訳じゃないからね! 闇の大精霊様と誓ったから仕方なく助けただけだよ!」


 やっぱりそうか。


「いや、でもあれを放っておくのはちょっと……」


「寝るの! シャドースリープ!」


 いきなりコルキスに魔法をかけられた俺は、微睡みの中でコルキスは我儘な一面があるといっていたアーシャのことを思い出していた。


 が、そんな事はどうでもいい。めちゃくちゃ……眠……い………。

~入手情報~


【名 称】エボリューションハンマー

【分 類】強制進化鎚

【属 性】無し

【希 少】☆☆☆☆☆☆

【価 格】クランバイア銀貨263枚

【コルキスのヒストリア手帳】

叩いたものを進化させる事が出来る特殊なハンマー。

どの様な進化をするのかは完全にらんだむ。80%の確率で失敗し叩いたものを消滅させるみたい。3回使うと壊れちゃうよ。


~~~~~~~~~


【名 称】ハートボム

【分 類】精神破壊兵器

【属 性】氷

【希 少】☆☆☆

【価 格】クランバイア木貨90枚

【コルキスのヒストリア手帳】

ハートの形をした爆弾。

この爆弾は精神面だけに作用するよ。爆発に巻き込まれたら心が粉々になっちゃうんだって。立ち直るためには強い精神力が必要らしいね。たまに誤爆するので要注意っと。


~~~~~~~~~


【名 称】ジャンクソウル

【分 類】疑似生命体

【属 性】無し

【希 少】☆☆☆☆☆☆☆☆

【価 格】グランバイア金貨105枚

【コルキスのヒストリア手帳】

ガラクタに宿る魂の様なもの。

ガラクタにしか宿る事ができないよ。一所懸命(いっしょーけんめー)生きようとする疑似生命体(ぎじせーめーたい)。宿ったガラクタが壊れると死んじゃうのかぁ。


~~~~~~~~~


【名 称】ジルコニードル

【分 類】魔物角

【属 性】風

【希 少】☆☆☆☆☆

【価 格】クランバイア銀貨300枚

【コルキスのヒストリア手帳】

ジルコの短角。

ジルコって深い森に生息するAランクの魔物のことだね。確か角から溶解波(よーかいは)を出すんだったかな。この角は槍に加工される事が多くて高価……高価? クランバイア銀貨300枚ぽっちが高価なんだって。よくわかんないけど。


~~~~~~~~~


【名 称】ペペランの鎖

【分 類】封印具

【属 性】土

【希 少】☆☆☆☆☆☆☆

【価 格】クランバイア金貨90枚

【コルキスのヒストリア手帳】

ペペランを封印していた鎖。

すごく昔の勇者が倒しきれずに封印したペペランって砂の魔物を縛りつけてた鎖と同じものだよ。土属性に対して絶大な束縛効果を発揮するんだって。砂を鎖で縛りつけるって……もっと別の方法があったんじゃないかなぁ。


~~~~~~~~~


【名 称】叫びの仮面

【分 類】怖いお面

【属 性】氷/影

【希 少】☆☆☆

【価 格】クランバイア銅貨50枚

【コルキスのヒストリア手帳】

恐怖に叫ぶ表情の仮面。

この仮面を付けて目を合わせた者を恐慌(きょーこー)状態にするよ。すごく強力な状態異常効果で、防ぐことも解除することも難しいみたい。これ怖いかな。ぼくは可愛いお面だと思うんだけど。


~~~~~~~~~


【名 称】満たされた人形用試験管

【分 類】謎の液体

【属 性】無し

【希 少】☆☆☆☆☆☆☆

【価 格】クランバイア金貨600枚

【コルキスのヒストリア手帳】

緑色の液体が入った試験管。

人形にだけ使うことができるよ。人形をこの液体に浸して1晩放置すると、何かしらの異変が現れるんだって。大きさは浸す人形に合わせて伸縮するみたい。こんなのが金貨600枚ってすごく気になるね。どこかに人形落ちてないかな~。

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