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38話 ご飯を食べよう

後書き修正

「いいの? あんな事しちゃってさ」


「いいに決まってるだろ」

「そうよ、早くメネメス国へ行けるのよ。最高じゃない」


 キャリンがカミルを呼びに行っている間、俺達は役所の向かいにあるキャリンが教えてくれた、中央都市で1番高級な宿の食堂に来ていた。


 ミシアがご飯ご飯と煩かったから、ここで待ち合わせる事になったのだ。


「それは本当に良かったんだけど、キャリンってばヴァロと両想いだって思ってるよ」


 特に、今の姿のヴァロにあんな事されちゃ誰でもそうだろうけど。


 修羅場とかになるのは御免だからな。


「俺は初対面の相手にもっと君の事を知りたいって言っただけだ、そんなの普通だろ」

「普通ね。アルフと私達は仲間でしょ。キャリンはその仲間の知り合いなんだから、私達が知ろうとしない方が不自然じゃないかしら」


 そういう感じでいくのか、修羅場臭がぷんぷんするな。


 まあでもキャリン、君の犠牲に心から感謝するよ。直ぐにマイナス2されたけど、加点を5も貰えたしね。


「分かった、俺は穏便に済ませてくればそれでいいよ」


「んー? それだけかよ」

「本当、信じられないわね。減点1よ」


 2人が溜め息を付きながら、テーブルの下で氷の粒をぶつけてくる。地味に痛いやつだ。


「な、何するんだよ」


「頑張った俺に労いの言葉も無しか?いい身分になったなぁ、アルフ」

「ヴァロが可哀想だわ。あんなにも滑稽な姿を晒していたのに」


 ぷっ……確かに滑稽な姿だったよ。まさか、ヴァロのあんな表情が見られるなんて思いもしなかった。


「そ、そうだね。ありがとうヴァロ。それと、あの残念って顔、いつでもしていいんだよ」


「減点3だ」

「じゃあ私は加点4よ、くっ……」


 俺もミシアもあの表情を思い出して、プルプル震えながら言葉を発する。


 ヴァロは面白くないって顔で、ゲインジュースを一気に飲み干した。俺が注文したゲインジュースを。



#########



「ごめんなさい、少しお待たせしてしまったかしら?」


 再び頼んだゲインジュースを半分くらい飲んだ所で、キャリンとカミルがやって来た。


「いいや、キャリンが来るって分かってたから一瞬だったよ」

「そうね、ヴァロったらあなたの事ばっかり話してたわ」


 嘘は言っていないかな、たぶん。


 恥ずかしそうに頬を染めるキャリンは気の毒で仕方ない。俺も共犯だから何も言えないけどさ。


「や、やぁ。久しぶりだね。元気だったかい?」


 カミルが挙動不審気味に声をかけてきた。俺とヴァロ、俺とミシアをチラチラ交互に見ている。


「うん、色々あったけど何とかね」


「そ、そうか。あ、隣に座っても?」


 キャリンはさっさとヴァロの隣に座って、お薦めの料理をヴァロとミシアに……主にヴァロに教えている。


 椅子の数から考えて、もう俺の隣しか空いていないのにわざわざ聞いてくるのは何でだ。


「もちろん、カミルは何を食べるか決めてるのか?」


「え!? あ、あぁ僕は木葉の盛り合わせと、レッドバニーカクタスの串焼きにするよ」


 へぇ、バニーカクタスって植物系の魔物だったよな。レッドって事はたぶん上位種か何かだと思う。植物系の魔物は食べたことないなぁ。


「そのレッドバニーカクタスって人間が食べても美味しいのかな?」


 シップルの焼いた草の例もあるし、獣人が好きだからって人間もって安易に考えるのは危険だ。


「僕は凄く美味しいと思う。人間が食べてるのを見た事もあるよ」


「じゃあ、俺もそれにしよう。それとエイルの祝福スープも。キャリン達は決まった?」


 高級店らしい革と紙で作られたメニューから、キャリン達に目を移すと、キャリンが信じられないという顔で俺を見ていた。


「俺達は決まってるよ」

「えぇ、ヴァロはミュルペンのステーキ、キャリンはキキカクのシチュー、私はガイラカンの3種盛り。あとはアイスリフリフのサラダをシェアするわ。飲み物は氷精霊の溜め息を3本。あなた達も飲むでしょ?」


 キャリンが来て好青年モードになったヴァロが微笑み、ミシアが注文内容をすべて教えてくれる。


 これは俺が注文しろって事だよな。


「分かった。カミルも飲み物は一緒でいい?」


 ミシアの発言は決定事項だけど、一応横に居るカミルに確認する。


「あ、あぁもちろん!」


 何だか妙にキラキラした笑顔で頷いてる。そんなに氷精霊の溜め息が好きなのかな。


 俺は絶妙のタイミングで注文を取りに来たウェイターに注文した。全員の注文内容を1回で覚えた俺は、どうだとミシアを見る。


 でも何故かミシアはニヤニヤしていた。ヴァロも俺と目が合うと一瞬だけニヤっとしてまたキャリンと話し始めた。


 キャリンは俺に何か言いたそうだったけど、ヴァロに話かけられるとすぐにお喋りに夢中になった。


「何だよミシア」


「何でもないわ。でもそうね、私達は今とっても楽しいから加点5よ」


 どういうことだ!?


 ただ食事が出来て楽しいからってだけで、あのミシアが5点もくれるはずない。


 おかしい、何か裏が有るはずだ。


「あ、あのさ、君達はどこに泊まるか決めてるのかい?」


 ミシアの思惑を探っていたらカミルが遮ってきた。


「まだ決めてないな。早く騎獣の申請をしたかったからさ」


「それなら僕達が泊まっている宿にしないかい? お風呂もあるしベッドもふかふかなんだよ」


 お風呂か、それはいいじゃないか。野宿する時は精霊達に魔法で綺麗にしてもらってたけど、お風呂に入るのはまた違った良さがあるんだよな。


「お風呂が有るなんて最高じゃないか。なぁ、ヴァロとミシアもそこでいいかな?」

 

 ヴァロとミシアは今、人間に化けてるから一応相談してる(てい)をとらないといけない。


「そうだな、良いと思う」

「私もよ」


 なんて胡散臭い笑顔なんだ2人共。


「本当ですか!? 宿には小さな庭があるんですけど、とっても素敵なんです。一緒にお茶しましょうヴァロさん」


 キャリンがとんでもなく嬉しそうだ。ヴァロも俺に見せた表情と打って変わって、爽やかな笑顔で頷いてる。


「なら僕達は屋根の上で日向ぼっこしようよ」


 カミルもキャリンと同じ様に、凄く嬉しそうな顔で日向ぼっこに誘ってきた。


 日向ぼっこか、そうえばクランバイアを出発してからそんな暢然(ゆったり)した事してないな。


「いいね。俺もそうしたいと思ってたんだ」


「本当に!? そうか……そうか、嬉しいよ。あ、そうだ! 改めて、僕は麒麟獣人のカミルというんだ。これからもよろしく」


 弾けるような笑顔のカミルが輝いて見える。あとよく考えたらカミルには自己紹介してなかった。まあ伝えるのは偽名だけども。


「俺も改めまして、アルファドだ。皆からはアルやルファって呼ばれてる」


「アル、日向ぼっこするのかい?」

「まぁ、アルもそんな年齢になったのね! お祝いに加点1よ」


 こっちの2人も何だかとっても楽しそうな笑顔で言ってくる。一瞬だけ戸惑いのような顔に見えたけど、きっと見間違いかな。


 ていうか日向ぼっこに年齢なんて関係無いだろ、何言ってるんだミシアは。


 いや、でも待て。さっきからやたらミシアが加点してくる……てことは2人が面白がっているって事だ。ただ、いったい何がそんなに面白いのかさっぱり分からない。


「僕は他の人と同じは嫌だな。うーん、そうだアルフって呼んでもいいかい?」


 それは良くない。俺は死んだことになってるし……あーでも、案外堂々としてた方がいいのかなぁ。アルフなんてありふれた名前なんだし。


「カミル、それはダメなんだ」

「そうなの、アルはその呼び方にトラウマがあるのよ」


 2人がフォローしてくれる。何だかんだで、こういうところ有るよな。うんうん、俺大事にされてる。


「そうなんだ、ごめんなカミル」


「そんな……僕の方こそ悪かったよ。それじゃあ僕もアルって呼ばせてもらうよ」


 ここに来た時の挙動不審さはどこへ行ったのか、カミルがグイグイ喋りかけてくるようになった。やっぱり自己紹介って大切だな。


 暫くして出てきた料理は、さすが中央都市1番の高級宿の食堂というだけあって、どれも凄く美味しかった。ちなみに、お会計はキャリンが席を外した時にヴァロが済ませるというスマート振りを見せた。


 もう1つちなんでみると、俺とミシアがちょくちょく笑いを堪えるのに苦労したのは言うまでもない。

~入手情報~


【種族名】バニーカクタス

【形 状】兎仙人掌(ウサギサボテン)

【危険度】C

【進化率】☆☆☆

【変異率】☆☆☆


【魔力結晶体】変異体に発生がみられる

【棲息地情報】乾燥地帯・砂漠地帯


【先天属性】必発『植物・水・土』/偶発『風・火・光・影』

【適正魔法】必発『植物』/偶発『水・土・風・火・光・影』

【魔物図鑑抜粋】

主に乾燥地帯に生息しており、鋭いトゲだらけである。個体によって形は様々。動きは鈍いが遠距離から体のトゲを飛ばしてくる攻撃は大変危険である。水魔法の使える個体は、同族の近くでこれ見よがしに魔法で水浴びをするため、キレた同族によって殺されることがよくあるらしい。そこそこ強いが、味が良いので食用として採取依頼が絶えない。


~~~~~~~~~


【種族名】アイスリフリフ

【形 状】花人型

【危険度】B

【進化率】☆☆☆☆

【変異率】☆☆☆☆☆☆


【魔力結晶体】半数以上の個体に発生がみとめられる

【棲息地情報】高山地帯


【先天属性】必発『植物・氷』/偶発『土・雷・火』

【適正魔法】必発『植物・氷・土』/偶発『雷・火』

【魔物図鑑抜粋】

標高が高く険しい山にしか生息していない変異しやすい植物系の魔物。氷魔法で身を守り、植物魔法で攻撃してくる。花を咲かせている場合は土魔法も使ってくるだろう。根に絡め取られるとそのまま養分にされてしまうので注意が必要。ランクBと大変危険な魔物である。足代わりの根には毒が含まれるが、他の部位は美味しくいただける。


~~~~~~~~~


【名 称】ゲインジュース

【分 類】果汁100%ジュース

【属 性】植物/水/火

【希 少】☆☆

【価 格】テラテキュラ銅貨60枚

【シェフのオススメ】

さっぱりした甘味と上品な香りのゲインの実を生搾りしております。どんな料理にもマリアージュしてくれます。一口飲めば虜になること間違いなしでしょう。


~~~~~~~~~


【名 称】レッドバニーカクタスの串焼き

【分 類】魔物肉料理

【属 性】メイン食材の先天属性と同じ属性

【希 少】☆☆☆

【価 格】テラテキュラ銅貨450枚

【シェフのオススメ】

バニーカクタスの上位種のレッドバニーカクタスの皮を剥き、中心部分だけを使った高級串焼きです。そこら辺の肉より遥かに美味しいと裕福な肉食獣人にも非常に人気があります。


~~~~~~~~~


【名 称】エイルの祝福スープ

【分 類】草料理

【属 性】植物/光

【希 少】☆☆☆☆

【価 格】テラテキュラ銀貨2枚

【シェフのオススメ】

様々な効果の薬草や茸を丁寧に下拵えし、リニテオナ教会の神官様にご用意いただいた聖水で煮詰めております。それぞれの旨味が絡み合い大変美味しゅうございます。また、定期的に食べると健康な体質になると大評判です。


~~~~~~~~~


【名 称】ミュルペンステーキ

【分 類】氷料理

【属 性】氷

【希 少】☆☆☆☆☆

【価 格】テラテキュラ金貨1枚

【シェフのオススメ】

ミュルペンという温かい魔氷に味を着け、表面が軽く溶けるまで炙っております。魔力を大量に含んでいる為、魔力の多いお客様以外が召し上がると泥酔に似た状態とりますが味には自信があります。


~~~~~~~~~


【名 称】キキカクのシチュー

【分 類】魚料理

【属 性】雷

【希 少】☆

【価 格】テラテキュラ銅貨190枚

【シェフのオススメ】

キキカクという赤い淡水魚をメインに貝や木の実を一緒に煮込んでいき、最後にキキカクの鱗を削り入れ、風味豊かな香りに仕上げた逸品。深紅に揺れるスープの深いコクとキキカクの旨味が存分に味わえるでしょう。


~~~~~~~~~


【名 称】ガイラカンの3種盛り

【分 類】魔物料理

【属 性】メイン食材の先天属性と同じ属性

【希 少】☆☆☆

【価 格】テラテキュラ銀貨1枚

【シェフのオススメ】

極寒地の上空をフワフワ飛んでいる不定形の魔物ガイラカンを、塩、ネネルバター、ゾイゲルソース3つの味付けでお楽しみください。それぞれが全く違う味わいですが、一緒に召し上がっても絶品です。人間族の方が召し上がると体温が一気に下がってしまい、そのまま凍死してしまいますのでご注文の際はご自分の種族をしっかり確認なさってください。


~~~~~~~~~


【名 称】アイスリフリフのサラダ

【分 類】魔物の湯通しサラダ

【属 性】メイン食材の先天属性と同じ属性

【希 少】☆☆☆☆

【価 格】テラテキュラ銀貨25枚

【シェフのオススメ】

アイスリフリフはさっと湯通しされております。そうする事で半透明になり食感もいっそうシャキシャキとなります。また、アイスリフリフの花部分をすり潰したドレッシングが、ほのかな苦味と爽やかな酸味、奥深い旨味をもたらす大人気のサラダです。


~~~~~~~~~


【名 称】氷精霊の溜め息

【分 類】精霊酒

【属 性】氷

【希 少】☆☆☆☆☆

【価 格】テラテキュラ金貨51枚

【ソムリエの解説】

冷たくてさっぱりしたお酒です。酒精は弱く様々な料理に合うほのかなフルーティーさが特徴です。また、氷の魔力が溶け込んでいる効果で薄紫色に発色した液体には、甘い氷の粒が発生し優しい光を残して溶けていきます。その繰り返す様子が美しいと大変評判です。国際酒造コンクールで、1口飲めば氷精霊も溜め息をつくほどの美味しさと評された逸品でございます。


~~~~~~~~~


【日向ぼっこ】

陽の光で身体を温める行為。

麒麟獣人の間では「屋根の上で日向ぼっこ」という言葉には特別な意味があるらしい。

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