30話 勇者は逃げだした
時系列的には24話 死の女神アニタ辺りの話です。
後書き修正
ミシアが慌てた様子で俺の部屋にやって来た。
どうやら第15王子のコルキスが予定を繰り上げて帰って来たらしい。俺はミシアをジールの元へ行かせると、計画を実行する為にアルフの元へ向かった。
まだ準備不足な部分もあるが仕方がない。
途中、アルフレッドに付けているアナザーアイからの情報で、アルフレッドがヴァロと別れこちらに向かっているのが確認できた。
バカな王子達がアルフを苛めてくれたお陰で、城の使用人達が集まって来ている。
やるなら絶好のタイミングだな。アーシャも来ている。時間稼ぎはアイツでいいだろう。
俺は光と風の複合魔法ミネルヴァを使い使用人と王子達の動きを封じる事にした。ジンジルと一部の使用人達は勘がいいのか咄嗟に各々の魔法やスキルで俺の魔法を回避していたが、まぁいい。どうとでもなる。
俺は丁度アルフが立ち上がったタイミングで首を刎ねた。それを見たジンジルは腰を抜かし、アーシャは予想通り攻撃を仕掛けてくる。
しかし、想像より攻撃が精細を欠いていて、やられるには不自然だった。チッ、使えねぇ女だな。
他の使用人達が一斉に攻撃を仕掛けてきたお陰で、やや不自然だがアーシャの攻撃を喰らってやる事が出来た。
次はジールが来てからだな。
ジールとアルフレッドには手を打ってある。流石に精霊達には効果が無かったが、死の女神アニタから俺に協力するよう指示を出してもらっている。問題ないはずだ。
対価はデカかったが、これでアルフがセイアッド帝国に来るのなら安いものだ。
ジールとの戦いは思いの外てこずった。恐らく精霊達も本音では俺に協力したくないのだろう。
まさか絶対防御が破られそうになるとは思わなかった。
痺れを切らしたアニタがアルフを殺したのには腹が立ったが、あの状況では仕方なかったか。
アルフが骨になり、集中力を欠いたたジールは黒い壁を解除してしまったようだ。お陰で逃げやすい、愚かな女め。
だが、俺がアルフの骨を回収しようとした時、ジンジルが自身の母エテリを連れて戻って来やがった。
チッ、放っておかず殺しておけばよかったな。
エテリは厄介な固有スキルを発動させ、俺に攻撃を仕掛けてきた。気を付けてはいたが、手に入れていやがったか。
ジールとの戦闘で消耗しているうえ、ハウヘトの剣が手元にない。ハウヘトは後でモーブから受け取るとしてだ、一先ずこの場から離れた方が良さそうだな。
アルフの骨は後で精霊に持ってこさせればいい。
当然だが、アルレッドとジールは俺に刺客を差し向けてきた。しかし、その中にエテリとアーシャが居るのは想定外だった。
何故エテリが出娑張って来たのかが分からない。
また、アーシャの固有スキル魔法拳も使い方次第で俺をそこそこ邪魔できるものだ。使いこなせていないアーシャは頭が悪いんだろうか。
とにかくエテリをどうにかせず、セイアッド帝国に帰るのは不味い。悔しいが俺が万全の状態でもエテリに分がある。
鑑定持ちが居ないか調べていた時に、エテリが領地の視察から帰って来たのは不運だったな。
考えなければ。エテリに対抗するために何かないだろうか。
パラメータ自体は雑魚だが、固有スキルやスキルと魔法のコンボがチート過ぎる。
今のアーシャはいつでも処分できるが、やはりエテリが……クソ!
かなり大回りをしてセイアッド帝国に向かい、その途中で叩くしかないだろう。
直ぐそこまでエテリとその眷属が迫っているのを感じ、俺は全力で逃げ出した。
~入手情報~
【名前】エテリ・クランバイア
【種族】神蜂族
【職業】王妃/付与師
【年齢】51歳
【レベル】200
【体 力】2000
【攻撃力】2
【防御力】0
【素早さ】2000
【精神力】80000
【魔 力】4000
【スキル】
詠唱破棄/魔法効果激増/魔法同時発動/結界術/飛行/高速移動/権謀術数/戦術/戦略/無限毒針/羽音
【固有スキル】
付与魔法特化/擬態/巨顎/眷属召喚/底上/精神糖蜜化/祈りの力場/消費魔力1固定/被ダメージ2固定/フェロモン/Pローヤルゼリー/メガララガルーダ
【先天属性】
風/聖
【適正魔法】
風魔法-特級/聖魔法-特級/火魔法-上級/水魔法-上級/雷魔法-上級
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【名 称】ミネルヴァ
【分 類】複合魔法
【属 性】風/光
【効 果】☆☆☆☆☆☆☆
【詠 唱】不要
【現 象】
風と光の中級魔法を組み合わせており、暴風で敵を薙ぎ払いつつ光の粒が1000回攻撃する。意味は違うが、勇者ソウタはこの魔法に千の仕事の女神と呼ばれた女神の名を付けた。勇者ソウタのオリジナル魔法である。




