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199話 うねうねした空間で

アルファドとアドイードのステータス修正

 やっとパトロンケイプから逃げ出せたすこと(親離れ)ができた……と思ったのにいきなりの誤算。


「お、置いていかないで坊っちゃん!」


 ぶっ飛ばしたはずのオリオが足にしがみついていた。こともあろうに腕を檻みたくしてブッ刺してるんだ。仮にも主だぞ俺。


「こ、この野郎、なんてことしやがる!」


 それに緊急用対時(対パトロンケ)空歪曲絵画反転(イプ特化型)及び侵食型脱(仕返し用リ)出用立体魔法円(ターンスペル)は、俺とアドイードの2人だけが効果の範囲にいるのが大前提。


 本当なら一瞬でパトロンケイプの外に脱出できるはずなのに、オリオという異物のせいで、なんだかよく分からない高速でうねうねする空間に囚われてしまった。


『うにゅにゅにゅ……』


 肝心のアドイードは目を回してて気持ち悪そうだ。魔法を制御するのはアドイードの役目なのに、俺から伸びる蔓の向こうでクルクルくるくる――っ!!?


「アドイード!?」


 なんてこった、アドイードが外にいる。体の(ダンジョン)外に出られるのは俺かアドイードのどちらかだけなのに、今は2人とも外にいる。


「しっかりしろアドイード! 俺だぞ! 今俺たち一緒の空間にいるぞ!!」


 頭の中でやりとりしてたとはいえ、面と向かうのは100年ぶり。ずっと抱き締めてやりたかったアドイードが目の前に、だ!


 蔓を伝ってアドイードの方へ……く、くそっ、オリオが重過ぎてちっとも進めない。この100年でさらに重たくなりやがって。


「手を離せこの馬鹿!」


「嫌に決まってるじゃん! こんなワケわかんない所で魔法の使用者と離れたらどうなるか分かったもんじゃない!」


「お前がどうなろうと知ったことか!」


「ひ、酷い! 誠心誠意100年もお世話してきたのにあんまりだ!」


 本気で言ってんのかこいつ。むしろ俺の方がお前のために、お菓子だのご飯だのをくすねて部屋に常備してやってただろうが。


「い、痛い! 止めて!」


 自由な方の足でオリオを蹴落とすべくゲシゲシしても効果がなかったから、ストックしてた偽卵でボコボコにしてやる。しかし腐ってもパトロケージ、なんてしぶとさだ。全然手を離さない。


 それどころか腕を筋肉のようにムキムキに隆起させて、より強固にしがみついてくる。なんという気持ち悪さ。


「目を覚ませアドイード! 手を繋ごう! ほら、こっちにこい!」


 もう埒があかないし、視界にいれたくないからアドイードの方からこっちにきてもらおう。たぶんそっちのが早い。オリオのことはその後で考えよう。


『うにゅ……ありゅふ様と……お手々……つなぐっ!!』


 カッと目を光らせたアドイードが蔓を体に巻き付けながらとんでもない速度で近付いて、伸ばした手を通りすぎ、そのまま胸に飛び込んできた。


 凄まじい衝撃に「おぶっ」と内臓が飛び出るかと思ったが、それすら嬉しいと感じる久々のアドイード。俺の胸に額を押し付けてぐりぐりしている。


 この瑞々しいやわやわな草や葉の感触とアドイード独特の臭み。そしてずっしりとした重さから伝わる確かな体温。涙が出てくる。


『アリュフ様泣いてりゅの? どこか痛いの?』


「違うんだアドイード。嬉しいんだよ。アドイードを抱き締められて、嬉しいんだ」


『えへへ。アドイードも嬉しいよ』


 俺とアドイードは100年ぶりのハグを心の底から喜び、感動の再会を噛み締めていた。


 しかしそれを邪魔する不届き者が1人。「そんなの後でいいからとにかく安全な場所へ」とかわめき散らすオリオだ。後回しにするべきじゃなかったか……。


「うるさい。そもそもお前がついて来たせいでこんなワケのわからない場所にいるんだ。お前がどうにかしろよ」


「てことは、坊っちゃんとアドイード坊っちゃんがそうやってられるのは私のお陰じゃん! ありがとうだ、ありがとうを要求する! それと暴力の詫びと感謝の証に私を養え!」


 こ、こいつ本当に蹴落としてやろうか。今、ミステリーエッグを発動すればオリオの魔力をすっからかんにできるかもしれない。そうすれば後は容易いだろう。


『オリィオありぃがとね』


 しかし心優しいアドイードは違った。こんな救いようのないクズ執事にお礼を言うなんて。しかも蔓を使ってよしよしまでして……。


「アドイード坊っちゃん!」


 オリオが感動している……そうか、そうだよな。アドイードがそう思うってことは俺の中にも同じ感情があるはずだ。だって俺たちは1つなんだから。


 仕方ない。何だかんだでオリオとも気心の知れた仲だ。俺もお礼を言って一緒に連れていこ――


『でも今は邪魔だかりゃどっか行ってて』


「えっ?」


 なんと、アドイードはよしよしなどしていなかった。2人きりを邪魔する異物を排除すべく蔓を使い腕の破壊を試みていたのだ。よしよしに見えたのは、一点集中攻撃の痛みを消す蔓の汁を塗りたくっていたからで……哀れ、腕の砕け散ったオリオはうねうねした空間の狭間に消えていった。


『こりぇで2人っきりぃになったかりゃ、魔法がちゃんと機能し始めりゅよ』


 と、満面の笑顔を見せるアドイードに多少の恐怖を感じつつ、「そうだな」と微笑みを返し、心の中でオリオに謝っておいた。


『ついでにこりぇ、ここに捨ててく? もういりゃないでしょ?』


 アドイードが取り出したのはアルフレッドのコア。その半分。あいつの魔眼と時魔法を利用してやろうと思って息子側に潜り込んだはいいが、危うく取り込まれそうになった原因だ。


 まあなんとか予定どおりアルストロメリア(・・・・・・・・)の魔眼は失わせたし、時魔法だってアドイードの方が上位属性の魔法を扱える。体はこのまま使わせてもらうとしても、魂だけで作ったコアなんかこれ以上持ってても邪魔なだけだ。


「念のために砕いておこう」


 アルフレッドのコアは砂のようにサラサラと散っていく。これでようやく元に戻れるし、おまけにアルフレッドも大幅に弱体化させられる。魂を半分も失うんだからな。


 それにあの国はそろそろ世代交代した方がいい。長寿なわけでも、不死でも不老でもないくせにラオデルピュラのババアから後何万年以上も続いてるとか気味が悪い。


 うねる空間は徐々に速度を落としていき、それらがちぐはぐに切り取られた景色や人物の映像だったことに気付く。やがてそれらは混じり合い一点に圧縮されていった。


『きっとあそこが出口だよ』


 教えてくれるアドイードが光ながらずずずっと体に混ざっていく。


「ちょ、なんで!?」


『大丈夫だよ。お話はいつでもできりゅし、アドイードずっと一緒だかりゃね。またねアリュフ様』


 寂しそうに笑ったアドイードは引き留める間もなく完全に混ざり、また体内ダンジョンに入ってしまった。せっかくアドイードと一緒に行動できると思ったのに……。


 悲しい気持ちでいっぱいになったのと、出口に辿り着いたのはほぼ同時で、ガツンっという衝撃と閃光に目が眩んだ。

~入手情報~


【名 前】アルファド・プロモントリー・アンドロミカ(Regain)

【種 族】幼迷宮/フェグナリア/復活の森

【職 業】大神官/復活の森

【序 列】☆

【年 齢】-

【レベル】10

【体 力】日替り

【攻撃力】日替り

【防御力】日替り

【素早さ】日替り

【精神力】日替り

〖大魔力〗日替り+5000000


【通常スキル】

 大神官++/魂割/魂融/魂砂(Regain)/夢繭(Regain)夢壊(Regain)/光合成/お祈り+/狼しっぽ/日向ぼっこ/夕焼けぼっこ/月影ぼっこ/あどいーど草/ソウルコア/ホーライアンモス++/ミックスケージ

【固有スキル】

 孵化++/復元++/偽純潔/復活の森/ミステリーエッグ(托卵・偽卵・魂卵・盗卵・夢卵)/イエローアイリスの魔眼/サングイスコヌル/ブラックリリー++/クォーターオルゲルタコア/ドリムシード(Regain)/クロノスゴロク

【迷宮スキル】

 浸食+/侵食/不滅/迷宮管理/魔物彫刻/魔力咆哮/凝視/能力値喰い/食道楽/魔物飼育/自然界魔素吸収/撒き餌生成/お留守番/お出かけ/ハートゲート/Gブースト/ポスト・アポカリプス/アドイルファードヴァイン/アドイード++


【先天属性】

 夢(Regain)/靈(Regain)/植物/月/時空/死

【適正魔法】

 無し

〖変異固定〗

 対なる眼球/死の眷属/夢の祈り手(Regain)

【異常固定】

 ルトル足らず


~~~~~~~~~~


【名 前】アドイード・プロモントリー・アンドロミカ(Regain)

【種 族】幼迷宮/復活の森/フェグナリア

【職 業】復活の森/大神官

【序 列】☆

【年 齢】-

【レベル】日替り+アルファドのレベル

【体 力】日替り

【攻撃力】日替り

【防御力】日替り

【素早さ】日替り

【精神力】日替り

〖大魔力〗日替り+5000000


【通常スキル】

 歌う++/踊り++/交信-/お祈り/浮遊/感知+/状態異常反射500%/無限攻撃/時縛り+/魔法威力激増+/ありゅふ様草/日向ぼっこ/夕焼けぼっこ/月影ぼっこ/ミックスケージ

【固有スキル】

 復活の森++/大神官/光合成+/植物愛/無邪気/微臭気/殲滅/同族超越/同化+/すり抜け/魔眼の種/大蝶々畑/うっかり/自然界魔素吸収++/吸収魔素ステータス化+/フォレストアアル+/オシリスプラント+/トゥールスチャムーン+/クォーターオルゲルタコア/クレプシドラ+/ドリムシード(New)

【迷宮スキル】

 浸食+/侵食/日々成長/魔物お絵描き/魔物飼育/撒き餌生成/凝視/能力値喰い/食道楽/不滅/被ダメージ0.00001固定/迷宮管理/大森林/お留守番++/お出かけ/キラキラ星/ナノディミニッシュ/アドイルファードヴァイン/アルファド++


【先天属性】

 植物/時空/月/死/靈(New)/夢(New)/日替り

【適正魔法】

 植物-極級/時空-超級/月-特級

〖変異固定〗

 対なる香気/死の眷属/森の祈り手(New)

【異常固定】

 ルトル足らず


~~~~~~~~~


【名 前】アルフレッド・デロス・クランバイア

【種 族】魔法族

【職 業】国王/時魔法使い

【性 別】男

【年 齢】76歳

【レベル】499  (1/2 Lost)

【体 力】499  (1/2 Lost)

【攻撃力】5414 (1/2 Lost)

【防御力】36401(1/2 Lost)

【素早さ】19087(1/2 Lost)

【精神力】23593(1/2 Lost)

〖大魔力〗499  (1/2 Lost)


【通常スキル】

 詠唱破棄/連続詠唱/同時展開/全威力増(Rank↓)/魔法効果増(Rank↓)/消費魔力減(Rank↓)/統治/威厳/権謀術数/修羅場回避/時の常識(Rank↓)

【固有スキル】

 加速(Rank↓)/圧縮--/子煩悩/大性欲/時探し(Rank↓)/愛の重圧/瞬き--/ラオデルピュラベル(Rank↓)/レベルアップ--/スローリピート(Rank↓)/パーマネントロッド(Rank↓)/マナジェット(Rank↓)

【先天属性】

 時

【適正魔法】

 時魔法-特級

【異常固定】

 ハーフソウル(New)


~~~~~~~~~


【ハーフアルフレッドコア】

アルフレッド・ジール・クランバイアの魂の結晶であり、アルフレッド・デロス・クランバイアの魂の結晶でもある。アルファドとアドイードが砕いたことで、アルフレッド・ジール・クランバイアは肉体を残して消滅。アルフレッド・デロス・クランバイアの大幅な弱体化に成功した。

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