0話 俺の人生どうなるんだろう
俺はクランバイア魔法王国の王子。巷では顔だけ王子なんて呼ばれている。平民の皆様方は知らないだろうが、王公貴族連中にはアルフレッド・ジール・クランバイアとも呼ばれている。
魔法王国の第13王子というなんとも中途半端な位置にいる俺は、魔法王国の王子のくせに魔法が使えない。
現国王の父アルフレッド・デロス・クランバイアは元最強の魔法使い、母ジール・イヌア・クランバイアは稀代の召喚師という最高の血統。産まれたときから魔力と素早さのステータスが異常に高く、次期国王にと大切に育てられたらしい。
しかし、それも数年のこと……。
15歳になっても初級魔法はおろか、この国では幼子でも使える基礎魔法さえ使えないのだ。昔とは違い、王位継承権も最下位にされていた。父上に代わってこの魔法王国を思いのままに支配するつもりだったのに、これじゃあそれも夢のまた夢。
素早い魔法使いなんて最強じゃないか、と言っていた父上のあの笑顔はもう長いこと見ていない。こうなったのは父上たちの責任でもあるっていうのになぁ。
魔法が駄目ならせめて素早さを活かして武術をと鍛練に励んだこともあった。でも魔力と素早さ以外のステータスが極端に低いせいで、剣を持てばヨロヨロ、拳を突けば筋を痛めるという有り様で全然上達しなかった。
9人いる義理の母だけでなく腹違いの兄弟までもが俺をバカにしている……いや、国中で馬鹿にされている。
繰り上げ第1王子のバドルは特に酷く、魔法が使えない俺は王子の資格無し、名を奪い放逐すべきだと父上に進言したこともあるくらいだ。いやいやいや……。
さすがに父上もバドルをきつく叱ったらしいけど、なんとかせねばと呟いていたとか。
母上はとうの昔に諦めていて、孫には才能が受け継がれるはずだ、と結婚話ばかり持ってくる。
女は怖い。俺の容姿に食い付きはするけど本当に魔法が1つも使えないと分かると一瞬蔑んだ目をした後はろくに口も聞いてくれなくなる。ていうか俺は既に生涯のパートナーを手に入れてるから結婚なんてする気はさらさらない。
とはいえ、今の状態でもせめてステータスが普通ならこんな苦労をすることもなかったのに。
俺の人生これからどうなるのやら……。