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182話 コルキスくんとパトロンケイプのモデルたち

後書きと本文のミス修正

 ん? なんだろう。


「どうしたの!?」


「おいコルキス! きょろきょろする暇があったら早く描きあげろよ!」


 手を止めたぼくにコラスホルトとランペルが文句を言ってきた。かなり切羽詰まった感じだね。


 まぁそれも仕方ないか。


 だって2人は今お絵かきのモデルになってるんだもん。魔物と一緒にね。


 パトロンケイプに入ってすぐに、ぼくは兄様たちから離れてコラスホルトとランペルと一緒にお絵かきに適したエリアへ来たわけだけど……なかなかピンとくるものがなかったんだよね。


 いくつかのエリアを巡って、今は絵獣の回廊ってエリアなんだけど、ようやくぼくの求める魔物と巡り会えたんだ。


 コラスホルトはお寝坊ランタン(パトロンパン)かぼちゃ(プキン)の口の中から、ランペルはオディロングリフォンの額に埋もれてギャーギャー叫んでる。


 最高の構図だよ。傑作の予感がするね。


「なんだか兄様の間抜けな声が聞こえたような気がしたんだ」


「オイラには聞こえなかった!」


「俺もだ! どうでもいいから早くしてくれよ! 頼む!」


 あんなに慌てちゃってもう、心配しなくて平気なのに。魔物は吸血して完全にぼくの支配下にあるから安心なんだから。まあ伝えるとリアルさが無くなるから2人には言ってないんだけど。


 別に面白がってるわけじゃない。こういう演出も傑作のためには必要ってだけだもん……くふふ、でもやっぱり慌てふためく様子って可笑しいよね。


「クソッ、抜け出せねぇ」


「も~、あんまり動くと初めからやり直しだよランペル。ぼくお絵かきにはこわだり(・・・・)を持ってるんだからね」


 ずっと文句を言ってくるんだもん。ちょっと意地悪しちゃおう。


「ふざけんじゃねぇぞコルキス!」


「勘弁してよぉ~!」


 わぁ、文句がもっと大きな声になったね。こういうのを無礼な態度っていうんだよ。


 でもコラスホルトとランペル、あとここにはいないけどノシャの3人は特別に許してあげることにしたんだ。


 だって血が美味しいからね。あと友達でもあるし。


 よく考えたらぼくって同年代の友達が少ないんだよ。いるにはいるけど、蝙蝠だったりレイスだったりなんだ。価値観が違いすぎて一緒にいてもあんまり面白くないんだよね。


「あ、あとどれくらいで終わるの!? オイラ生きた心地がしないよ!」


 あ、いいね。今の表情いただきだよ。コラスホルトってば本当に半べそが似合うんだなぁ。発見発見。


「おい、なんとか言いやがれ! あと鼻歌も止めろ!」


 も~、いいところなのに。


「お絵かきのモデルなんて楽勝だって言ってたよね?」


「こんなことになるなんて誰が思うかよ!」


「止めてもいいけど、お絵かきで稼いだら3人で山分けってのもなしだよ」


「オ、オイラもうちょっと頑張る……」


「クッ……」


 よしよし。これで静かになりそうだね。


 そこそこ高かったけどこのお絵かきセットは凄いんだよ。本当、買ってよかった。


「あ、ランペル! もっと足をかき分けて目に顔を近付けて! そう、コラスホルトはかぼちゃの牙を持って檻に閉じ込められらようにしてみて!」


 兄様のことはちょっぴり気になったけど、きっと大丈夫だよね。だって今の兄様すっごく強いんだもん。ちゃんと頭を使えればの話だけどさ。


 だから間抜けな兄様にはずっとぼくが付いててあげなきゃ。お絵描きが終わったらすぐ行くからね。


 きっとさっきの声は、しょうもない罠にでも引っ掛かって身動きとれなくなったんだよ。モーブ様たちも一緒だろうけど、ぜったい面白がって放置してそうだなぁ。


 くふふふ、誰かきくれよぉなんて泣きべそかいてたりして。

お寝坊ランタン(パトロンパン)かぼちゃ(プキン)

かぼちゃ型の魔物。

パトロンケイプの絵獣の回廊にのみ棲息する魔物である。最大で80メートルの大きさになるというが、大変大人しい性格でピクリとも動かない。また、名前にランタンとあるとおり照明の役割を果たしており、先天属性の魔力と同じ色の光を発している。とはいえ魔物ランクはA。不用意に攻撃して怒らせると酷い目にあうだろう。


【オディロングリフォン】

絵画の魔物。

パトロンケイプの絵獣の回廊にのみ棲息する魔物である。ツルツルした顔とその大部分を占める大きな1つ目、頭髪か睫毛なのか針金のような無数の足が目のすぐ上に生えている。また、リラックスするとその顔が浮かび上がり、代わりに胴体からこれまで食べた生き物の顔をごちゃ混ぜにした何かが見え隠れするようになる。大きな目で見たものの動きを完全に封じることも可能。性格は極めて温厚だがランクはSであり、怒らせるとその実力を目の当たりにすることとなる。それはすなわち、死を意味している。

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