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15話 胴体が千切れそう

後書き修正

 次から次へと卵ができていく。


 意外なのは卵に像達が放った魔法や魔力で作られた武器が当たっても割れないことだ。ひょっとしたら防御にも使えるんじゃないかな。


 ジル姉様も卵が割れないことに驚いてる。


 最初は怖くて姉様姉様って連呼してたけど、自分に全くダメージが無いって分かると段々冷静になってきた。


「待ちなさいアルフ。私から離れないで。でもそれ以上私に近づいても駄目」


 周りが卵だらけになってきたから移動しようとしたら姉様に止められた。


「え、何で近づいちゃ駄目なの?」


 ちょっと傷付くよ姉様。


「あなた今勇者の張ってくれた防御結界が外れてるわよね。ミステリーエッグのせいなの?」


「うんそうだよ。俺にかけられた魔法も卵になっちゃうみたいだよ」


 ……あれ? ちょっと待て。


 今の状況ってミステリーエッグを解除したら即死じゃないか!


 しまったぁぁぁ!!


 姉様の迫力に負けて言う通りにしたけど、これってかなり危険だよね。


「ごめんなさいアルフ。まさかあなたに掛けられた魔法まで卵になるなんて。ソウタが戻るまでそこでミステリーエッグを使い続けて。魔力は余裕あるわよね?」


 姉様少しだけ焦った顔してる。


「魔力は問題ないよ。でも物理攻撃されたら……どうしよう姉様、ねぇどうしたらいいですか姉様!?」


 さっきまでは冷静でいられたけど、一気に恐怖が襲ってきた。


 すぐにでも姉様に近づきたいけどそんなことしたら姉様が死んじゃう。


 どうしよう、どうしよう!!


 勇者、早く戻ってきてくれ!!


『グギャァァァァ!』

『ギェァァァァァ!』


 何だ!? 魔法を放ってた像達が攻撃を止めて叫び始めた。


 すっごい怖いしすっごい煩い。


 相変わらず槍や矢なんかが雨のように降り注いでるけど、魔法が無いぶん視界がクリアになってよく見える。


 魔法を放っていた像が3体ずつ集まって合体し始めた。


 まず2体がくっつくと手が4本のケンタウロスみたいな形になっていく。


 さらに1体が変形と分離をして4つの武器になっていく……こ、これはマズイ。


「姉様どうしよう! あの合体したのが来たら俺、ブッたぎられちゃうよ!」


「仕方ないわね」


 仕方ないの!?


「今から私の固有スキルを使うけど、絶対誰にも言うんじゃないわよ!」


 あ、そういうことか。見捨てられたのかと思った。


「うん、絶対言わない!」


「ならこのロープをアルフの身体に巻き付けて。死にたくなかったら絶対にほどけないようにキツく結ぶのよ」


 どこから出したのか、姉様が半透明のロープを投げてきた。


 言われた通りキツく結んだけど何の意味があるんだろうか。


「結んだ!」


 合体した像は武器を打ち鳴らしながらこっちに走ってくる。


「パープルノヴァ!!」

 

 姉様が叫ぶと天井付近の空間がグニャリと歪み始め、そこから小さな光の粒が無数に飛び出してきた。


 綺麗な紫色の光の粒がバラバラに集り、それぞれがビッグスライムくらいの大きさの球体になっていく。全部で40個くらいありそうだな。


『ギュガァァァァ!』


 ハッとして正面を見るとすぐそこに4本腕のケンタウロスがいて俺を殺そうとしてた。


「わぁぁぁぁぁ!!!」


 とっさに目をつぶり両手で防ごうとしたけど、意味ないよな。死んじゃうな俺、なんて思ったけど全然襲ってこない。


 代わりにとんでもない勢いで空中に引っ張られていく。


「痛たたたたた!」


 身体に巻き付けたロープが伸びきって食い込んできた。


 何がどうなってるのかと目を開けると、姉様が下で何かしてるのが見えた。


 ロープの先は姉様と繋がってるみたいだな。


 辺りを見回すと、さっきの紫色の球体に像達がどんどん引き寄せられていっている。


 ぶつかり合ったり互いに押し潰されたりして、像がグシャグシャになりながら球体の周りを高速で飛び回っている。


 紫色の光もどんどん強くなっていく。


「あぁ、俺の卵も吸い寄せられてる」


 卵も姉様が出した球体の周りを高速で飛び回ってて、ぶつかった像を貫通していく。


「…………!!!」


 姉様が呪文か何かを叫ぶと球体の周りで爆発が起こりはじめた。


「俺の卵……」


 卵が消えていくと思ったら何だか悲しくなってくるな。


 おまけにさっきから食い込んでくるロープのせいで意識が飛びそう。


 チラッと勇者が出ていった通路の方に視線をやると、勇者が真っ赤な顔して壁にしがみついてるのが見えた。


「………………!!」


 勇者が何か叫んでるけど、爆発音にかき消されてよく聞こえない。


 爆発はどんどん激しくなっていく。爆風に煽られたり、球体に引き寄せられたりで俺の胴体が千切れそうだ。


 最後はそれぞれ離れていた40個の球体が1ヶ所に集合して凄まじい光を放ちながら大爆発を起こした。


 俺は姉様の方に向かって吹き飛ばされながら意識を失ってしまった。

~入手情報~


【名 称】パープルノヴァ

【発 現】ジル・クランバイア

【属 性】無し

【分 類】不明/固有スキル

【希 少】☆☆☆☆☆☆☆

【効 果】

①体力を消費し発動させた場合

 任意の場所に紫色の球体を作り出せ、ジル以外のものが球体に吸い寄せられその周りを高速で回り続けたのちに無限に圧縮されていく。さらに体力を消費すれば、球体を大爆発させることも可能。巻き込みたくない物にはさらに体力を消費してジルと繋がるロープを渡すことができる。

②魔力を消費し発動させた場合

 任意の場所に紫色の球体を作り出せ、球体から放たれる紫の光を浴びたジル以外のものはステータスが減少する。さらに魔力を消費すれば、減少させたスターテスの総合から一部分をジルのステータスに上乗せ可能になる。

③精神力を消費し発動させた場合

 任意の場所に紫色の球体を作り出せ、その中に魔眼で見たものを閉じ込めることができる。さらに精神力を消費すればそのものを洗脳することもできなくはない。

④制限等

①~③における球体数や威力等はすべてジルのレベルに依存する。

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