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13話 固有をスキルを使いまくった結果

後書き修正

 あれから俺の固有スキルを詳しく知るために何回も魔法を卵にした。


 勇者とジル姉様が交互に様々な魔法を使ってくれたけど、魔法の強さや消費魔力と卵から出てくるアイテムの関係性は全然分からなかった。


 勇者が使える1番強い魔法で出来た卵からは毒消し草が、ジル姉様の初級魔法で出来た卵からは茜色の魔笛が出てきた。


 その他にもロングソードや革靴、薬草や魔物の皮といったごく普通のアイテムもたくさん出てきた。


 中には大粒の魔石やミスリルの鎧みたいな貴重な物もあったけど、そういうのはなかなか出てこない。死の女神アニタの指輪みたいな激レア品はもっと出てこない。


 ちなみに卵の殻は孵化させ終わると数秒で消えてしまうみたいだ。


「もう止めない?」


「そうね……詳しい事はあまり分からなかったけど、もういいかしら。特別な固有スキルだってことは判明したもの」


 マジックポーションをグビグビ飲みながら姉様が俺を見てくる。


「だな。あ、アルフもマジックポーション飲むだろ? 結構魔力を使ったもんな」

 

 勇者が姉様に渡した物より効果の高いマジックポーションを差し出してきた。


「これ、魔力が全快するやつだよね? まだ余裕あるから俺はいいよ」


「何言ってるんだよ。余裕があるうちに飲まなきゃ駄目だ」


 そうかもしれないけど、まだまだ余裕なんだけどなぁ。


 放っとくと俺が飲ませてやるからって言い出しそうだし、飲んどくか。


「分かったよ。ありがとう」


 う!!?


 不味い……これまで魔力を消費することがほぼ無かったからマジックポーションなんて飲んだことなかったけど、こんな味なんだ。


「そんな顔してないでさっさと全部飲み干せ」


 ドリアードが出す樹液に比べたら、まだましな方だと自分に言い聞かせて飲み干した……吐きそう。


「たくさん作ったけど、使えそうな物は大粒の土の魔石とミスリルの鎧くらいね。次点でディナーツリーと茜色の魔笛と鬼のしゃれこうべかしら」


「そうだな。で、問題はこのデカイ鍋だな」


 勇者が高さが3メートル、幅が5メートルもある巨大な鍋をパシパシ叩く。


「凄い物なんだよね?」


「ああ。この鍋に入れたものをそのまま10日放置すると、それが純度の高い魔石になる。凄い物ではあるんだがなぁ……」


 何が問題なんだろう? 良い魔石が安定して手に入るなら皆が喜ぶじゃないか。


「争いの元ね」


「ジルの言う通りだ。純度の高い魔石は貴重なうえ使い道が多いからな。絶対に誰かが独占したがる。そうなれば奪い合いだぞ? 下手すりゃ戦争になるかもしれない」


 戦争って……大袈裟じゃないか?


「アルフ、この固有スキルは公言しない方がいいわ」


「俺もそう思う」


「ちょ、ちょっと待って。俺は皆に報告して、もう無能じゃないぞって証明したいんだけど」


「父様とジール母様には伝えるべきよ。でも、他の皆には伏せておく方がいいわ」


「そうだな。特に王太子の……なんていったっけな。アイツにバレたら洗脳されて良いようにコキ使われるぞ」


 バドル兄上のことか。確かにバドル兄上は意地悪だし酷いこともしょっちゅうしてくる。けど俺達家族だよ。洗脳なんてそんなまさか……。


「考えすぎだよ」


「何言ってるのよ! あのバドルよ? これまで何度も命を狙われたじゃない! 洗脳くらい平気でやってのけるわ!」


「命? ああ、もしかして暗殺未遂のこと? でもあれは全部、絶対魔法主義の貴族達が犯人だったじゃないか」


「そうね。でも裏で糸を引いてたのはバドルよ。絶対に」


 やけに確信めいた言葉だ。


「っ……でも、昔は優しかったよ。俺が嫌われてるのは王子なのに無能だからでしょ? 今はもう違うんだから、きっとまた昔みたいになれるって」


 あの頃はとても楽しかった。皆でお茶会をしたり、夜は一緒に寝たりもしていた。アルフアルフって兄姉(きょうだい)皆が可愛がってくれてた。


 酷い扱いにずっと我慢できたのはあの頃の思い出のお陰もある。魔法の練習を1日も欠かさなかったのだって、魔法が使えればいつかあの頃みたいに戻れるって信じてたからだ。


 魔法じゃないけど、この固有スキルならきっとまた――


「可哀想に、何も分かってないのね。この際だからはっきり言うわ。優しかったんじゃないの、怖かったのよ。アルフは産まれながらにして魔力が高かったし、何よりジール母様の精霊達がアルフの味方だったから。私だって当時は……」


 う、嘘だ。


「アルフ、辛いだろうけどそれが現実だと思うぞ。あと、気になったんだけどさ、バドルがあんな強気なのはどうしてだ? 無能とはいえ大精霊や特級精霊に守られたアルフにちょっかい出すなんて正気じゃないぞ」


「王位継承権を取り戻すために死に物狂いで努力して、16歳のときに雷の大精霊と契約したの」


「その契約はもう終わるよ! だから――」


「ちょっと待って! どういうこと?」


 あ、しまった……。

 

「そ、それは俺からは言えない」


 ジル姉様が目を細めて見てくる。沈黙が少し怖い。


「……分かった、自分で調べるわ。まあバドルが弱くなって困ることなんてないんだし。それよりも、今はアルフの固有スキルよ。駄々を捏ねていないで言う通りにしなさい。状況を変える方法は考えるから」


 そうは言うけど、魔法は使えなくても使える固有スキルを手に入れたんだ。もう今までみたいにはいられないよ。


「やっぱり黙ってるなんて嫌だ」


「はあ、強情ね。私が国王になれたならいいんでしょうけど、バドルとべリスがそうはさせないでしょうし。父上と同じ属性の魔法が使えるようになれれば希望が……でもそれは……」


 無理だ。確かに父上と同じ魔法を修得して、その魔法で父上に勝てたら無条件で次期国王になれるという話がある。


 でも、あの魔法は世界に数えるほどしか使い手がいない珍しいものだし、その中でも最も強いのが父上だ。本人は否定してるけど。


「なぁアルフ、俺と一緒に来ないか?」


「え?」


「俺ならアルフを守ってやれる。それに旅をしながらならアルフが固有スキルを使っても誤魔化しやすいだろ。最悪、逃げればいいしな」


 いや……そんなこと急に言われても困るよ。


「それも1つの選択肢ね。アルフがそうしたいなら止めないわ。ソウタと一緒に旅をする楽しさなら、私が誰よりも知ってるしね」


 そう言って姉様が優しく笑う。重かった空気が少し晴れていく。


「で、でも……」


「すぐに決めなくてもいい。俺ももう少しこの国に滞在する事にしたから、ゆっくり考えればいい」


「そうね。私も何かいい方法がないか考えるわ。とにかく、父様と母様以外には固有スキルのことは秘密にするのよ」


「だからそれは――」


「よし!! 暗い話はここまでにして、城に戻ろう!」


 勇者が手を叩き俺の言葉を遮る。そして俺に向かって小さな笑顔を見せ、軽く頷く。


 これ以上何も言うなということだろうな。


 皆とまた仲良しに戻れると思ったのに……父上や母上の自慢の息子に戻れると思ったのに。


「そうしましょう。もう、そんな顔しないでアルフ。父様や母様には言ってもいいんだから、きっと泣いて喜ぶわよ。ね?」


「うん……」


 ポンポンっと勇者が俺の背中を叩いてくる。


「あ、じゃあせめて次の階を探索してから帰りたい。そしたら小さいダンジョンだけど踏破した事になるよね?」


「まあそうなるな。ジル、それも報告したら喜ぶかな?」


「絶対喜ぶわよ」


「じゃあ、決まりだ! 最初の予定通り、地下4階まで探索してから帰ろう」


「うん」


 俺達は階段を降りて最下層へ向かった。

~入手情報~


【名前】ジル・クランバイア

【種族】魔神族

【職業】王女

【年齢】20歳


【レベル】45

【体 力】1001

【攻撃力】2141

【防御力】319

【素早さ】902

【精神力】4391

【魔 力】7520


【スキル】魔法威力増加/戦術/策略/連続魔法/物理ダメージ軽減

【固有スキル】竜胆の魔眼/パープルノヴァ


【先天属性】無し

【適正魔法】

火魔法-特級/水魔法-特級/風魔法-特級/土魔法-特級/氷魔法-特級/雷魔法-特級


~~~~~~~~~


【名 称】土の魔石

【分 類】魔石

【属 性】土

【希 少】☆☆☆

【価 格】共通銅貨5枚

【説 明】

土の魔力が結晶化したもの。

魔道具や装備品に用いられる事が多い。先天属性が土だった場合、この魔石を吸収し魔力の回復や一定時間土魔法の威力を上昇させることができる。価値は質よって大幅に上下する。


~~~~~~~~~


【名 称】ミスリル鎧

【分 類】魔鉱石鎧

【属 性】無し

【希 少】☆☆☆☆

【価 格】共通金貨80

【説 明】

ミスリルで作られた鎧。

物理攻撃にも魔法攻撃にも優れた防御を発揮する高価な鎧。通常、属性は鍛錬時に使用した副原料によって操作可能。


~~~~~~~~~


【名 称】ディナーツリー

【分 類】迷宮植物

【分 布】ダンジョン全体の3割強

【原 産】飽食の迷宮(リストランテ)メリザフカ

【属 性】植物/命

【希 少】☆☆☆☆

【価 格】-

【特 徴】

夜になると調理された食べ物が実る樹木。

魔力により成長し、大きい物だと1000人分以上の食事を実らせることもある。味は成長に使われた魔力の質よって個体差がある。


~~~~~~~~~


【名 称】茜色の魔笛

【分 類】改竄具

【希 少】☆☆☆☆☆☆☆

【属 性】無

【価 格】-

【説 明】

夕焼けを思わせる茜色のフルート。

演奏すると魔法が発動し、聴き手を懐かしい気持ちにさせる。さらに演奏技術が高ければ、聴き手の魔力を消費してその記憶を書き換える事ができる。記憶は1年~100年程で元に戻る。また、演奏技術が高いほど消費される魔力は少ない。


~~~~~~~~~


【名 称】鬼のしゃれこうべ

【分 類】呪装備

【属 性】呪/水

【希 少】☆☆

【価 格】共通銀貨15枚

【特 徴】

鬼という魔物の頭蓋骨で作られた兜。

顔全体を覆う様に加工されており防具として優秀。攻撃力を大幅に上昇させる効果もある。但し、長時間装備し続けると次第に凶暴化していき、最終的に鬼となってしまう。属性は元となった鬼の先天属性と同じである。


~~~~~~~~~


【名 称】魔神大鍋

【分 類】神器

【属 性】無し

【希 少】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【価 格】-

【特 徴】

魔法や魔力を司る神々の力が宿った大きな鍋。

この鍋に入れられた物は10日間で純度の高い魔石に変化する。どの属性の魔石になるかは、中に入れたものと周囲の環境により決定する。蓋をせず使用すると、魔力が溢れ出てしまい魔物やダンジョンを産み出す場合がある。


~~~~~~~~~


【名 称】マジックポーション

【分 類】魔法薬

【属 性】風

【希 少】☆

【価 格】共通銀貨3枚

【特 徴】

消費した魔力を回復できる高価な魔法薬。

各属性の下級~特級まで存在し、効果が高い物なるにつれて味が悪くなる。かつては特級を超えるものも存在したらしい。

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