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11話 ついにレベル10!!

後書き修正

「アルフとジルはそこでちょっと待ってろ!」


 先に地下3階へ向かう階段を降りきった勇者が俺達に声をかけてきた。


「わかった!」


 どうしたんだろう?


「ねぇアルフ、さっきソウタのことをソウタ兄ちゃんって呼んでたけど、あれは何なのかしら?」


 背後からジル姉様が聞いてきた。


 なんだか凄味のある声な気がするのは勘違いだよね……うん、勘違いだよ。


「ソウタと一緒に出掛けるって聞いたときも不思議だったんだけど、あなた達どういう関係なの?」


 俺に疑問を投げ掛けながら少しずつ階段を降りてくるジル姉様。


「ねぇ、聞いてる?」


 足音がすぐ後ろで止まった。


 ジル姉様は氷魔法でも使ってるんだろうか?


 空気がいっそうひんやりしてきた気がする。


「う、うん……」


 俺は階段を1段降りて振り返ると、風呂での出来事から今朝までの事をふんわりとお伝えした。



「そうだったの。アルフが死に別れたソウタの弟にそっくりなのね。それでソウタもあんなに……」


「あんなに、何ですか?」


「……はしゃいでるのよ。きっと別人でも本人に会えたようで嬉しいのね」


「それは何かわかります。俺から離れたがらないし、やたら抱きついてきますから」


 んっ!?

 

 ジル姉様の右手辺りが一瞬小さく光った。今の雷魔法?


 そんなまさかね。ハ、ハハハ……。


「そう、そこまで仲良く相手してもらえて光栄ねアルフ。良かったじゃない」


 微笑みながらそう言うと、ジル姉様が右手をゆっくり俺の方へ伸ばしてくる。


 え? えぇ!?


「2人とも、もういいぞー」


「姉様!! 勇者様が呼んでますよ!! 行きましょう、ね? 姉様?」


「……そうね、行きましょうか。あ、ソウタ兄ちゃんでいいのよアルフ。ソウタがそう呼んで欲しいならそうしてあげなさい」


 ギリギリだった、そんな気がする。


 俺は変な汗を拭いながら俺は階段を降りた。





 下まで着くと、そこはとても広くて大きな部屋だった。


 勇者が作った氷のオブジェがいっぱい並んでいる。


「さっきと部屋の形状がかわってるな。ダンジョンコアが作り替えたのか?」


「そんなことあるのかしら? 元々、部屋が変化するような作りなんじゃないの?」


「うーん、そうかな。まぁ考えても分からないか。とりあえずアルフは俺から離れるなよ。一緒に氷浸けにした魔物を倒して回ろう」


 なんてタイミングでなんて事を……


「う、うん? これなら1人でも大丈夫だよ」


「いや、念のためだ。俺の側から離れるな」


 あぁぁぁ。


「そうよアルフ。あなたに何かあったら大変だわ。ソウタの側にいなさい。周囲は私が警戒するわ」


 あれ?


「おうっ、頼んだぞジル」


「ふふっ任せて」


 そう言ってジル姉様は右手を上げると、手首にはめた光る輪っかに魔力を流した。


 ジル姉様の身体がフワフワッと揺れると勇者の頭位高さまで浮き上がった。

 おーーーー! いーなー!!


「ほら、ジルに見とれてないでさっさと倒すぞ」


 パシッと勇者に肩を叩かれた。痛い。


「うん」




 サクサク魔物を倒して15体目、レベルが上がったと勇者が教えてくれた。


 よし!! あと1レベルだ!!


 この部屋にあと30体くらい氷浸けの魔物がいるから余裕だろうな。


「ちょっと疲れたから休憩してもいい?」


「あぁいいぞ」


「もう、本当に体力無いわね。私、今のうちに隠し扉とか探してくるから」


 ジル姉様はフヨフヨ浮かびながら行ってしまった。


 俺は座り込んで、木の槍を床に置いた。


「喉乾いてないか? 痛いところとか怪我したところはないか?」


 勇者が俺を後ろから抱きしめながら聞いてくる。


 これは良くない。


「ソウタ兄ちゃん、抱きつくの止めてくれないかな」


「な、なんでだ!?」


 物凄くショックを受けたような顔するなよ。


「その、なんていうか、ジル姉様の機嫌が悪くなるんだよ」


「そうか? そんな感じはしないぞ。それにジルには弟がいっぱいいるんだから、1人くらい可愛がれなくても大丈夫だろ」


 そういうことじゃないんだよーー。


 さてはジル姉様の気持ちに気付いてないな。 このままじゃ俺がジル姉様に嫌われてしまう。


 それだけは絶対に嫌だ 。


「そんなことないって!」


「大丈夫大丈夫」


 大丈夫じゃないよ。

 仕方ない、さっそくあれを使わせてもらおう。


「お、俺、人前で抱きつかれたり、引っ付くくらい近寄られるの恥ずかしいんだよ。だから止めてよ。お願い、ソウタ兄ちゃん」


 チラッと上目遣いもしてみよう。


「わかった!! それなら2人っきりの時以外は我慢するよ」


 おぉ! 自分から提案するだけあって効果てきめんだな。明日勇者が旅立つまでちょいちょい使おう。


「ありがとうソウタ兄ちゃん」


 これで勇者の引っ付きたい病は何とかなるだろう。


 よかった、さっきのジル姉様は本当に怖かったからな。


「アルフ、水飲んどこう。こまめな水分補給は大事だぞ」


 あんまり喉乾いてないけど、確かにそうだな。


「わかった。ソウタ兄ちゃんが水魔法で出してくれるの?」


「あぁ。それで、あいにくコップをアーシャに預けたままだから、俺の指先から直接飲んでくれ」


 残念でした。

 

 コップはアーシャがちゃんと俺に……あれ、無い。どこかで落としたのかな。


「ほら、いくぞー。プチウォーター!」


 あ、あ、ちょっともう。しょうがない、今回だけだからな。勇者いるときは絶対にコップを無くさないようにしなきゃ。






 少し休んでまた氷のオブジェ壊しに勤しんだ。


 びりびりマッシュルーム、ダンジョンキャット、あとはちょっと珍しい舌打ちドールを倒した時にドロップ品が出た。


 びりびりマッシュルームは小瓶に入った痺れ粉を、ダンジョンキャットは迷宮猫の首輪で舌打ちドールは感じの悪い人形をドロップした。


 俺は感じの悪い人形を貰うことにしたよ。ジル姉様は痺れ粉をご希望。俺に使わないでね、信じてるよ姉様。



「もう20体くらい倒したよね? もうすぐレベルアップするかな?」


 まだかなー。早くレベルアップしたいよ。


「たぶんな。舌打ちドールは他の魔物よりレベルが高いからラッキーだったな」


「うん。もう1体いないかなー」


「そこそこ珍しい魔物だからどうかな。まぁ残り全部倒したらレベルもあがるだろ」


 えーと、あと13体か。


「よし! 頑張る!」


「おうっ!」



 13体、12体、11体、、10体、9体、、、8体7体6体、、5体 、もうちょっとだ!


「あ、レベル上がったな」


 うぉぉぉぉぉぉ!!!

 

 遂に4遂にレベル10になったぞ!!



「ソウタ兄ちゃん 、早く鑑定して! どんな固有スキル!?」


「慌てるなって、今ちゃんと鑑定してるからさ」


 あぁ、どんな固有スキルなんだろう。


 どうか魔法が使えるような固有スキルでありますように! そしたらやっと父上や母上に喜んでもらえるよ!!


「固有スキルってどういうこと?」


 ジル姉様が上から聞いてきた。


 そういえば固有スキルの事を話してなかったな。


「あのね姉様、俺樹液を飲んでずっと寝てて、目が覚めたら固有スキルが付いてたんだよ。それで、ソウタ兄ちゃんがレベル10になったらもう1つ固有スキルを取得するって言うから今日レベリングしに来たんだよ!」


 なんか捲し立てるように言っちゃったな。


「そうなの!? 凄いわ、おめでとうアルフ!!」


 ジル姉様が降りてきて抱きしめてくれた。


 あぁ、勇者と全然違って最高だ。


「ありがとう姉様! 最初の固有スキルは微妙だったけど、新しいので魔法が使えるようになるといいなぁ。そしたら稽古してね姉様」


「もちろんよ。それにしても喋り方も幼い時みたいになって。当たり前だけど、よっぽど嬉しいのね。ふふっ」


 あ、しまった。嬉し過ぎてつい。


「も、申し訳ありませんジル姉様。つい嬉しくて……」


「いいのよ。どちらかというと、私はさっきの喋り方の方が好きよ」


 くっ!! 姉弟だけど惚れそうな笑顔だよ。


「はいはい、2人でイチャイチャしてるとこと悪いんだけど、鑑定はとっくに終わってるぞ」


 あーーーーどんな固有スキルなんだろう。


 心臓がドキドキするよ。


 俺はジル姉様から離れて勇者の方に近寄った。


「人前で抱きつくの恥ずかしいんじゃなかったのか?」


 勇者が小声で聞いてくるけどどうでもいい。


「今はいいの!! ねぇ、どんな固有スキルだった?魔法使えるかな!?」


 ワクワクとドキドキとザワザワと……何て言っていいか分からないけど、胸がの奥がぐるぐる渦巻いてる。


 お?


 今度は勇者が抱きしめてきた。結構強めで苦しい。



「アルフ、残念だけど魔法は使えない固有スキルだったよ」


 え?


 え!?


「ソウタ兄ちゃん、何? もう1回言って」


 勇者は更に腕に力を入れてきた。


「期待させてごめんアルフレッド。新しい固有スキルじゃ魔法は使えない」


 そ、そんな……


「アルフレッド、そんな顔しないで。魔法は使えくても素晴らしい固有スキルかもしれないじゃない。詳しく聞きましょう」


 ジル姉様もそっと抱きしめてくれた。


 駄目だ。泣く、止められない。


「グスッ、うん。ぞうだね」


 あぁめちゃくちゃ期待してたんだな。


 涙が止まらない。


 ジル姉様が頭を撫でてくれてる。


 勇者も抱きしめるの止めて涙を拭いてくれる。


「ソウタ、アルフの固有スキルはどんなものなの?」


「あぁ、それはな……」


 あぁ怖い。


 これでしょうもない固有スキルだったら立ち直れないよ。


「アルフ、もう少し落ち着いてからにするか?」


 勇者が俺の顔を覗きこんで聞いてくる。

 

 優しい顔だ。


「いや、大丈夫。どんな固有スキルだったの?」


 しっかり聞かなきゃ。


「卵だ」


 ん?


「卵……って?」

「どういうことなの?」


 ジル姉様も困惑顔だよ。


「固有スキルも名前はミステリーエッグっていってな、他者の魔力と自分の魔力を混ぜて卵にする事ができるみたいだな」


 どゆこと?


「え、よく分からないよ。卵にして何の意味があるの?」


「凄いわ!! 聞いたこともないスキルだけど、本当に凄いことよ、やったじゃないアルフ!! この子ってばもうっ!」


 ジル姉様が思いっきり抱きしめてくれた。勇者には無いフカフカが俺を祝福してくれてる。


「そうだな。アルフの魔法を使いたいって願いは叶えられなかったけど、魔法に匹敵する……ていうかもう魔法みたいなもんだろ」


「敵対する魔法使いにとっては悪夢にような固有スキルよね。アルフの魔力量にはきっと誰も敵わないでしょうし」


「そうなの?」


 話が見えないな。


「しかもだ!! その卵を孵化させることもできるみたいだぞ」


 孵化?


 そういえば俺のもう1つ固有スキルは孵化だったけど……


「まぁ、1回やってみるのが手っ取り早いだろ」


「そうね。孵化させるっていうのに意味があるのか分からないけど、固有スキルを使えばアルフも凄さが分かるはず筈よ」


 そうかな?


 でも、とりあえず問題がある。


「固有スキルってどうやって使うの?」


「…………」


「…………」


 え? 2人が頭を抱えたけど、変なこと言ったかな。


「そこからかぁ……」


 勇者もジル姉様も溜め息をついてしまった。

~入手情報~


【名前】アルフレッド・ジール・クランバイア

【種族】人 間

【職業】王子

【年齢】15歳


【レベル】10

【体 力】50

【攻撃力】10

【防御力】5

【素早さ】8000

【精神力】3

【魔 力】150000


【通常スキル】無し

【固有スキル】孵化/ミステリーエッグ


【先天属性】無し

【適正魔法】無し


~~~~~~~~~~


【種族名称】ビリビリマッシュルーム

【先天属性】必発:土/偶発:雷・水・風

【適正魔法】必発:土/偶発:雷・風

【魔核錬成】詳細不明


【初期スキル】突進・菌糸

【固有スキル】痺れ胞子・苗床


【通常ドロップ】痺れ粉

【レアドロップ】魔核・ビリビリ傘


【鑑定情報】

ダンジョン生まれの茸型魔物。

当たると痺れる胞子を撒き散らし獲物を捕らえ養分にするFランクの魔物。茸型の魔物共通するが、本体である菌糸に直接触れると体内に侵入され苗床にされてしまう。


~~~~~~~~~


【種族名称】デロスダンジョンキャット

【先天属性】必発:無/偶発:火・影

【適正魔法】必発:無/偶発:火・影

【魔核錬成】詳細不明


【初期スキル】不明

【固有スキル】不明


【通常ドロップ】灰色の猫耳

【レアドロップ】魔核・迷宮猫の首輪・透けた肉球


【鑑定情報】

ダンジョン生まれの猫型魔物。

このダンジョンにのみ現れる魔物で、二足歩行している。素早い動きや鋭い爪の攻撃に注意したい。先天属性の初級魔法を使ってくるFランクの魔物。


~~~~~~~~~


【種族名称】舌打ちドール

【先天属性】必発:無/偶発:氷・影・光

【適正魔法】必発:無/偶発:氷・影・光

【魔核錬成】詳細不明


【初期スキル】不愉快

【固有スキル】舌打ち・乱れ髪


【通常ドロップ】舌・髪の毛・着物

【レアドロップ】魔核・感じの悪い人形


【鑑定情報】

ダンジョン生まれの人形型魔物。

非常に不快な表情をしている寸胴体型の珍しい魔物。中級魔法や上級魔法を使用し、髪の毛を使った物理攻撃も仕掛けてくる。舌打ちには錯乱、恐慌、激昂の状態異常効果があり大変危険である。舌打ちを聞いた冒険者達が殺し合う様子を見てニタニタ嗤う。ダンジョン外の通常種すら滅多に遭遇する事が無く、その珍しさもありAランクの魔物とされている。


~~~~~~~~~


【名 称】痺れ粉

【分 類】胞子

【属 性】びりびりマッシュルームの先天属性と同じ属性

【希 少】☆

【価 格】共通木貨5枚

【説 明】

びりびりマッシュルームのドロップ品。

この粉を吸い込むと身体が麻痺する。水と混ぜて液状になったものが付着すると、そこが痺れてしまう。


~~~~~~~~~


【名 称】迷宮猫の首輪

【分 類】隷属具/探索具

【属 性】無し

【希 少】☆☆☆☆☆☆

【価 格】共通金貨456枚

【説 明】

デロスダンジョンキャットのレアドロップ品。

この首輪を装備してダンジョンに入ると、ダンジョンコアやダンジョンマスターの支配下に置かれる代わりに、それらの現在地が分かるようになる。装備者自らが外すことはできない。


~~~~~~~~~


【名 称】感じの悪い人形

【分 類】生き人形

【属 性】舌打ちドールの先天属性と同じ属性

【希 少】☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【価 格】時価

【説 明】

舌打ちドールのレアドロップ品。

触ると非常に不快な表情を露にする人形。元々の見た目が可愛らしいぶんとても嫌な気持ちになる。極稀に触ると笑顔になり願い事を叶えてくれる。ただし過ぎた願い事の場合は舌打ちされ願いも叶えてもらえないうえ、以降触ろうとすると手を叩かれるようになる。


~~~~~~~~~


【名 称】アイテムボックス

【分 類】異空間魔道具

【属 性】主原料の魔石と同じ属性

【希 少】☆☆☆☆☆☆

【価 格】共通金貨500枚~

【説 明】

小さな箱の中に大量の荷物を入れることができる収納用の魔道具。自分の魔力を魔道具の核となる魔石に注ぎ作られるため他人には使えない。収納量や魔道具の性能は素材となる魔石の属性や注ぎ込まれる魔力の量や質により決まる。とても高価である。


~~~~~~~~~


【名 称】プチウォーター

【分 類】基礎魔法

【効 果】☆

【詠 唱】ミューレ型基礎言語/乱文可。

【現 象】

指先から水を少量出せる。飲める水かどうかは使用者の実力によって異なる。

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