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103話 グルフナの変形

後書き修正

 一体これは何なんだろう。


 ロポリスを起こして聞いてみようか……でも、手に負えない魔物以外で起こしたら追加の罰があるんだよな。こんな時、コルキスがいればなあ。


「グルフナ、これってどういう事?」


 聞いてみたけど返事はない。そりゃそうか。今まで喋ったことないもんな。


 ハンマーの名前の後に短く説明があるけど短すぎる。特に、消える、食べる、好き……これがよく分からない。


「うーん……」


 なんとなくコチコチハンマーの文字に触れてみた。すると、「凍るよ」の後に「ヴァロミシアくん」と浮かび上がった。


 ふむ、全部触ってみよう。


 ---------------------------

  【ガラクタハンマー】:脆いよ 

 ---------------------------

 →〖コチコチハンマー〗:凍るよ ヴァロミシアくん

 →〖ウルウルハンマー〗:潤うよ アクネアくん

 →〖カサカサハンマー〗:乾くよ ティザーくん

 →〖ビリビリハンマー〗:煩いよ ラズマたんと

 →〖ピカピカハンマー〗:光るよ ロポリスたんと

 →〖ケシケシハンマー〗:消えるよ コルキスくん

 →〖モグモグハンマー〗:食べるよ くそディオス

 →〖スキスキハンマー〗:好きだよ アルフレッドさま

 ---------------------------


 ディオスにだけ悪口が入っている。嫌いなのかな。


 これを見る限り、前半5つのハンマーは、これまでグルフナが関わった特級精霊と大精霊の属性を反映した効果があるんだろう。


 でも、ビリビリハンマーの煩いよってのは? もしラズマみたいになるんだったら嫌だ。後半3つはやっぱり分からない。でも「好きだよ」の後に俺の名前があるのは嬉しいし可愛く思う。


『――――選択。――不可逆――――次の接触で――』


 よし、可愛いからスキスキハンマーにしよう。


「ぐえ!?」


 スキスキハンマーを選ぼうとしたら、急に俺の頭が後ろに反った。ロポリスが凄い勢いで寝返りを打とうとしやがったんだ。くっついているんだからやめて欲しい。


「痛ててて……ああ!?」


 スキスキハンマーを選ぶつもりが、ピカピカハンマーを選んだ事になってる! くっそう、ロポリスめ……余計な事しやがって。


『第1――完了。第2――――を選択して下さい』


 また無機質な音声が聞こえ、スキスキハンマーとケシケシハンマーが表示されなくなった。


「そんな、俺の可愛いスキスキハンマーが……」


 ---------------------------

  〖ピカピカハンマー〗:ロポリスたんと 

 ---------------------------

 →〖コチコチハンマー〗:凍るよ ヴァロミシアくん

 →〖ウルウルハンマー〗:潤うよ アクネアくん

 →〖カサカサハンマー〗:乾くよ ティザーくん

 →〖ビリビリハンマー〗:煩いよ ラズマたんと

 →〖モグモグハンマー〗:食べるよ くそディオス

 ---------------------------


「あがっ!?」


 今度は前に……ちったあ大人しく寝てられないのかよロポリス。


『――――完了。―――による―――――により、残り――。第3――――自動選択――――開始します』


「え? 待って待って、俺今選んじゃったの? 一体何を選んだ!?」


 俺の戸惑いを無視して、半透明の四角形がグルフナの中に戻っていく。すると手に持ったグルフナがブルブル震え始めた。持ち手が伸びていき、細長い戦鎚のような形に変わっていく。ささやかな稲妻模様の装飾も現れた。最後にドクンと脈打つと金属のような頭部の片側が、ディオスと同じグニュグニュしたものになっていった。


『――完了。――――――グルフナは――式、――モグモグハンマーとなりました』


 無機質な音声はそれっきり聞こえなくなった。変形直後のグルフナは何処と無く悲し気な雰囲気だ。


「な、なんか可愛げが……あ、いやカッコ良くなったな」


「ゲァー」


 俺の言葉を聞いたグルフナは、恐ろしく汚い声を発し、グニュグニュを動かす…………うう、可愛いくない!


 嬉しそうに蠢くグルフナには、口が裂けても言えないけど。


 もし、スキスキハンマーだったら俺好みに変形していたんじゃないだろうか。俺は色んな気持ちを抑え込み、最初のスーサイドガーゴイルが残した物を拾った。







 ##########







「グルフナ、それで13個目だぞ。卵は俺の武器兼防具なんだからな」


 何故かグルフナは魔物を倒す度に俺の卵を食べる……というより丸飲みかな。ディオスのようなグニュグニュを器用に使ってだ。俺はそれを触手と呼ぶ事にした。


「ギィー、ゲギャ」


 今のは……アルフレッドさまのケチ、だな。


 汚い声も聞いていれば慣れてくるもので、なかなか可愛いく思える。何となく言いたいことが分かるせいもあるんだろう。


 ロポリスの強化のお陰でなのか、姿が変わったお陰なのかは分からないけど、グルフナは魔物を倒すのにとても有用だった。


 先ず光る。


 何故か魔物はその光を嫌がってあまり近寄って来ない。


 そして煩い。


 威嚇なのか雷球が弾けたり落雷のような音を鳴らす。すると、魔物は硬直したり動きが鈍くなるんだ。


 結果、俺が卵をぶつけやすくなる。これまで13体の魔物と遭遇したが、危なげなく倒す事ができた。


 俺にしてはなかなかのペースで階段を登っているんじゃないだろうか。下を見ても、もう入り口があった場所は確認できない。


「あ、こら! また食べただろ! 卵が減ったら分かるんだからな!」


「ギゥゲー、ギッギッ」


 グルフナは触手をモゾモゾ動かして抗議してくる。


 美味しいんだもん、たくさん有るんだからいいじゃないか、とな。


 はあ、健気だったグルフナはどこへ行ってしまったんだろう。


「……つかこれ、美味しいのか」


 ちょうど小さい卵が1つ、顔の前に浮かんでいた。どれどれ、俺も味見してみようかな――


「急げ! 慈悲の部屋まで逃げるんだ!」


「ピンボールウィザードが出るなんて聞いてないぞ!」


「待って! 腕が――」


「うるせぇ! お前の腕なんか知るか!」


 卵を口に含んだ時、100メートルくらい離れた斜め上の方から慌てた声が聞こえてきた。


 階段の途中に大きな菱形があり、そこから出てきた冒険者達が階段を駆け登って行く。


 うへぇピンボールウィザードか。俺も巻き込まれないように逃げよう……あれ、1人逃げ遅れてる?


「ギャー、ギュゲー!」


 大きな菱形から身体半分ほど出た辺りで誰かが震えていた。その人に向かってグルフナが触手を伸ばし始める。ただ100メートルは伸びないようで、中途半端な位置でグニグニしている。


「ギュグギィ」


 助けようって? うん、そうしたいのはやまやまなんだけど……


「ゲィ!」


 え?


 躊躇う俺にイラッとしたのか、グルフナが触手を戻して俺の背中を押してくる。なんかやることがディオスに似てきたな。


「ちょ、落ちる、落ちるって!」


 俺が今いる階段は手すりも壁も何もない。ちょっと足を踏み外したら下に見える階段まで真っ逆さまだ。アグアテスではグルフナの浮遊も無効……ん?  浮遊?


 あっ!! 


 俺はなんて馬鹿だったんだ。今朝アグアテスの地下、その最下層から卵に乗って脱出したじゃないか。本来ミステリーエッグは飛行や浮遊系の固有スキルじゃないから、アグアテスの特殊制限に引っかからないって。どうしてここまで普通に階段を登って来たんだよ。


「うわっ」


 っと、危ない。グルフナに突き落とされたけど、卵を足元に集めて落下を防いだ。


「まったく、俺が落ちたら手に持ったグルフナも一緒に落ちるんだぞ」


「ガェ!」


「分かったよ」


 グルフナに言われるまま卵に乗って助けに向かった。ちなみに、口に入れた卵は固いだけで無味無臭だった。

~入手情報~


【名前】グルフナ

【種族】????モグモグハンマー

【職業】使い魔(仮)

【年齢】0歳


【レベル】9

【体 力】7

【攻撃力】11

【防御力】79

【素早さ】9

【精神力】106

【魔 力】18


【通常スキル】

 清光/雷鳴

【固有スキル】

 忠誠/浮遊/食道楽/無属性嫌い/生きる心/くそディオス/モグモグ

【先天属性】

 聖光/雷

【適正魔法】

 (聖雷魔法-基礎/聖氷魔法-基礎/聖水魔法-基礎/聖土魔法-基礎)-条件付きで使用可


~~~~~~~~~~~~


【種族名称】

 ピンボールウィザード

【先天属性】

 必発:スペクター時と同じ属性

 偶発:食べた血肉と同じ属性

【適正魔法】

 必発:スペクター時と同じ属性

 偶発:食べた血肉と同じ属性

【魔核錬成】

 初期等級:A

 他詳細不明

【初期スキル】

 詳細不明

【固有スキル】

 詳細不明

【通常ドロップ】

 腐肉片/ぼろ切れ/腐れ薬/血と膿のローブ

【レアドロップ】

 魔核/怨嗟の塊/霊骨杖/ウィザードフリッパー/ピンボールスクロール

【魔物大図鑑抜粋】

上位悪霊の魔物。

生前ウィザードだったものがスペクターになると稀にピンボールウィザードに進化することがある。限られた空間を掌握し、魔法威力を倍増して反射する突起物や魔法に状態異常を付与する穴等を無数に作り出す。その突起物や穴等を巧みに利用し上級魔法を連発してくる。当然、通常の物理攻撃は一切通用しない。その上、前述の効果は重複するという凶悪さである。なお、ダンジョンに生息するピンボールウィザードは自然発生するものとは別種とされている。


~~~~~~~~~


【名称】食道楽

【発現】グルフナ

【属性】聖光/雷/土/水/氷

【分類】経口摂取型/固有スキル

【希少】☆☆☆☆☆

【ロポリスの居眠り解説】

美味しいモノを食べると体力、精神力、魔力の何れかを回復できるわ。食べたモノが氷、水、土、雷、聖光を含む何れか属性だった場合、自身の損傷を修復することも可能よ。アルフの卵を食べれば1つにつき1回だけ適正魔法が発動可能になる……はずよ。ちょっとやり過ぎちゃったかしらね。なんだかんだ言っても私ったらアルフに甘いのねぇ。


~~~~~~~~~


【名称】くそディオス

【発現】グルフナ

【属性】無

【分類】模倣型/固有スキル

【希少】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【ロポリスの居眠り解説】

頭部の半分が無属性リキッドマナストーンの身体と同じになるみたいよ。但し魔石を作り出したり、魔素を吸収することはできないわ。ディオスの成長に比例してこの固有スキルも変化していくでしょうね。


~~~~~~~~~


【名称】無属性嫌い

【発現】グルフナ

【属性】無

【分類】嫌悪型/固有スキル

【希少】☆

【ロポリスの居眠り解説】

無属性のものが大嫌いになるの。自身や仲間に関する無属性は気にならないけれど、嫌いになりすぎるのも困りものよね。

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