~目覚め~
「う、あ……んんっ」
はっ!!
「あ、良かったー。復活おめでとうアルフ」
ギラギラした笑顔が上から覗きこんでいた。相変わらず暑苦しい男前顔だな。復活直後にこの顔はしんどい。それに……
「何やってんだよ」
地面に倒れた俺の顔を筋肉質な太ももが挟んでいるのだ。
「筋肉の素晴らしさを思い出してもらおうと思ってさ。どう、筋肉にむぎゅってされてるよ」
「不愉快極まりない」
一刻も早くこの体制をどうにかしたいけど、こいつが力を抜かないせいでなかなか身動きが取れない。
「えぇなんでー!? こうやって寝るの好きだったじゃん」
またそれか。本当にいつの話なんだよそれ。妙に肌触りがいいけど断固受け入れられない。
「ちぇっ、ちぇっ! せっかくアニタ様に言われて来たってのにさ」
ああ、そういうことか。なんでいるのか不思議だったが、アニタ様、去り際になにか言ってたもんな……しぶしぶ太ももの力を抜いたが、「ふんっ」なんて大袈裟に顔を反らすこいつは、こうなると面倒臭い。ちょっと放っておこう。
それにしても本当に色々あった。ついにこの国ともこれでお別れだ。追っ手は面倒だからな。
立ち上がり顔をあげると、夕暮れに染まった風が何度も頬をかすめて、流れていく。
早く皆に会いたい。そして――