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現実という重いもの
放課後。
由加里と手をつないで歩く。
無言だった。
しばらくして、由加里が言った。
「楽しくないの?」
「…ホントに、何が正しいのか、どうしたらいいのか、わからないんだ」
「私もそうかな?でも、遼は好き。…多分」
ベンチ。
キスをした。
苦しい。
菜穂子のこと。由加里のこと。そして僕自身。
でも、愛していた。由加里のことを。
「私のこと、好き?」
「好きだ…。でも菜穂子…」
「そのことは考えないで!」
「そうできたらいいんだけど…」
「…わたしも」
沈黙。
「とにかく、キスしよ」
僕らは、現実から遠ざかるために、何度もキスをした。