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旅立ち、過去との決別

俺は今、小さな宇宙船に乗っている。


この宇宙船は地球脱出の為に建造されたもので、最終的には地球以外に人が住めるであろう惑星を、探索する事が目的である。


今は―――西暦2211年。


我々人類は目覚しい科学の発展を遂げたが、それとは逆に人口はどんどん低下し、今や世界での総人口は僅か1200万人まで減少した。


最も多かった200年前の70億人に比べて、なぜこれほどまでに減ったのか。


それには様々な原因がある。


人類は何度も訪れた滅亡の危機を乗り越えて、それでも尚、生きていた。


その危機とは地殻変動による大地震であり、海面上昇による大陸沈没であり……今や人の住める場所は中国とロシアのごく一部のみとなってしまった。


当然このままでは、いずれ人類は滅亡するだろう。


しかし我々は、ただ何もしていなかったわけではないのだ。


その間、人類が移住できる惑星を探し続けてきた。行ける範囲、全ての探索をした。それでも、人が住める環境の星などなかった……。


やがて世界のバランスは崩れ―――異常気象による作物の全滅、家畜の死滅、新種の悪性ウィルス発現……ありとあらゆる災害・減少が起こり、人類存亡はほぼ絶望的であったのだが……


それでも我々はあきらめなかった。


人類の最期の希望をかけて、10隻の小型宇宙船が飛び立ったのだ。


それが、今俺が乗っている宇宙船だ。


その10隻の宇宙船の目的はただ一つ―――人が暮らせる世界の発見。もしくは開拓だ。


だが、前に述べたように、我々が行ける範囲の惑星は既に探索済みなのである。


では一体どうするのか?


それはワープである。人類初の有人でのワープだ。


これまでは無人でのワープは行われてきたが、やはり無人での調査には限りがあるしワープしたその調査機と我々とでは、時間の流れが異なるのだ。


何百年とその調査結果を、ただ待っていられるような……そんな時間はもう残されてはいなかった。


果たしてワープの先―――銀河の向こうにはどのような世界があるのか……未だにそれを知らない人類は、10隻の宇宙船に希望を託した。


その結果が解るまで、どれほど時が流れてしまうか知れないのに……。



さて、そろそろ眠るとしよう。


これからワープに入る。そして、永い永い宇宙航行が始まるのだ。


その間、俺は低温での仮死となり―――いわゆる冷凍保存に近い状態となる。


後は船が自動で探索を続けてくれるだろう。


燃料は放射線エネルギーを併用し、おおよそ500年は持つ計算だ。


仮に太陽と同じような熱核融合を主体とした恒星があれば、半永久的に稼動することが出来る。


よもや永遠に大気のある大地を求めて、この空間を彷徨い続ける可能性もあるわけだ。


果たして俺が目覚める日が訪れるのだろうか。


眠る事が急に怖くなる。


仮死状態の時は夢を見るのだろうか? そんな事を、ふと考えてしまう。


ただ一つ確かな事は、ワープをした瞬間に時が急速に流れ、地球で過ごした時間にはもう二度と戻れないという事。


もちろん、俺にだって家族ぐらい居るのだ。寂しさはある。結婚はしていないが、残してきた恋人もいた。まあもう二度と会う事は叶わないが……。


胸元から端末を取り出し、彼女の映像を出す。


それは立体映像で、まさしく今目の前に彼女が居るかの如く俺に笑いかけている。


目頭が熱い……涙が堪えられない……俺は強烈な嗚咽を漏らし、そのままワープのスィッチを押した。


カプセルに入りその時を待つ……。


やがて冷え込むその中で、俺の意識はだんだん薄れていく……。



「もし次に目覚めるような事があれば、それは大地の上だ……。」



希望もなにもない……知らない星に辿りつたとしても、俺は一人ぼっちなのだから……。




そして意識を失った――――




お読みいただき、ありがとうございます。


「カラダがどんどん…」とは系統が違う作品なので、なにこれ? と思われた方が多いかと……。


たまには真面目な小説も書いてみたかったんです^^;


まあいつまでギャク無しで行けるか分かりませんが(笑)

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