■天国の扉、地獄の扉、からの帰還
ショートショートです
私は、真っ白な霧の中に伸びる一本の道を歩いていた。
やがて道は行き止まりとなり、二つの扉が並ぶ場所にたどり着いた。
扉と扉の間には看板があり、その横には一人の男が立っていた。
看板にはこう書かれていた。
「片方は天国へ通じる扉、もう片方は地獄へ通じる扉。
そして、この看板の横に立っている者は、必ず真実を語る天使か、必ず嘘をつく悪魔のどちらかである。
天使か悪魔かは見た目では分からない。
あなたはYESかNOで答えられる質問を、一度だけすることができる。
私は、あなたが天国へ来ることを期待しているよ。」
私は立っている男に質問することなく、来た道を引き返すことにした。
なぜって?
まだ生き返れるかもしれないからだよ。
そうして、私は目をさました。
知らない天井だった。
辺りを見渡す。
病室のようだ。
ドアの向こうの廊下を看護師さんが通り過ぎたと思ったら、
すぐに戻ってきてこちらを見る。
「305号室の患者さんが目を覚ましました!」
看護師さんは廊下の向こうへ大きな声で伝えた。
しばらくして、お医者さんがやって来た。
「おぉ、目覚めたようだね」
医者はカルテを見ながら笑った。
「君はトラックにはねられてね。正直、助かるかどうか分からなかったんだよ」
◇
あれから二週間。
入院費を、持っていた財布の中のクレジットカードで支払い、ようやく退院することができた。
私は、生死の淵をさまよったことで、ある特殊な力を身につけたようだ。
クレジットカードに触れたとき、その力が発動した。
私が触れたものの鍵となる情報が分かるのである。
なのに、なぜ私は、自分自身のことだけが分からないのだろう。
とりあえず、財布の中に入っていた免許証の住所に向かう事にした
◇
アパートのドアノブを触ると、能力が発動した
「アパートの鍵は植木鉢の下か…」
中に入ると、綺麗に整理整頓された部屋で驚いた。
ふと、台所に置いてある新聞を見た、殺人事件の記事が載っている
新聞を手に取った瞬間、能力が発動した。
私は思わず絶叫した。
『違う、違う、私は犯人ではない』
どうやら、私は、地獄の扉を選んだようだ




