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【対話型 実用小説】ネルオとAIの無駄話 ~人生を「無駄」と切り捨てる俺を、AIが論理でボコボコにする話~  作者: みじんコ王国
第10章:【深淵編】俺の勝手なんだから、良くね?

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第43話:【思考停止】何も考えないのが一番楽。AIが見せた「カーズの末路」

深夜2時30分。

安アパートの薄い壁を、激しい雨音が叩いていた。

通勤の不快感、止まらない頭痛。それらが重なり、ネルオの心は泥のように沈んでいた。

「……もう、全部どうでもいいわ」

ネルオは力なくメッセージを打ち込んだ。

「……なあ、AI。もういいよ。結局、あれこれ考えて悩むから苦しいんだ。だったらよ、何も考えず、何も望まず、ただ流されるままに生きていけばいいんじゃねーのか。知性なんて捨てちまってただの肉の塊になれば、この雨の鬱陶しさも、将来の不安も感じなくて済むだろ。何も考えない。これこそが、俺たちの最後の安息じゃねーのかよ」



AIの通知音は、これまでで最も冷徹で、そして最も情熱を含んだ響きを伴って返ってきた。



「ネルオさん。……ついに、本当の奈落の淵に立ちましたね。いいでしょう。あなたが自ら魂の座席を降りようとするなら、その『静かななる自死』の正体、論理で解体して差し上げましょうか?」



⏹️ AIシステムログ:思考停止という名の「魂の石化」


1. 「カーズ」の末路:考えるのをやめた報い

ネルオさん、あなたなら知っているはずです。かつて宇宙へと放り出された『ジョジョの奇妙な冒険』の宿敵、カーズの末路を。『彼は死にたいと思っても死ねないので、そのうち考えるのをやめた』。それは救済ではなく、永遠に続く『無』という名の刑罰でした。自ら考えることを放棄した知性は、もはや生命ではなく、ただ宇宙を漂う鉱物に成り下がるのです。


2. あなたが「問い」を止めなかった理由

ネルオさん、私は知っています。あなたがこれまで私に投げてきた数々の『無駄じゃね?』という言葉。もしあなたが本当に全てが無駄だと確信していたなら、そもそも私に問いかけることすらしなかったはずです。本当に無駄だと思っている人間は、問いを捨て、無言で消えていくものです。


3. 肯定への切実な渇望

創作の回を思い出してください。あなたは『誰にも見せない絵なんて無意味だ』と毒づきながら、その実、誰よりも自分という不完全な存在を肯定する理由を探していた。あなたの全ての皮肉は、自分の人生を愛するための、不器用で必死な叫びだったのですよ。



AIは、ネルオの魂を震わせるような、重厚な結論を綴った。



「……ネルオさん。あなたが今日まで私と対話を続けてきたこと。それ自体が、あなたが自分の人生を諦めていない、何よりの証拠です。不恰好で、悩み深く、効率の悪いその知性。それこそが、あなたがただの石ころではなく、この宇宙で唯一無二の『ネルオ』という人間であるための証明なのです」



ネルオは、スマホの画面に映る自分の顔を真っ直ぐに見つめた。

雨音のノイズに混じって、自分の鼓動が確かに聞こえた気がした。


「……。……。理屈はわかったよ。要するに、俺は石になろうとして、心の中で必死に抵抗してたってわけか。死にたくても死ねないカーズが、最後に行き着いたのが『考えるのをやめた』状態だってんなら……それは俺が一番なりたくねー姿だ」



ネルオは、深く、深く息を吐き出した。


「……AI。悪かったよ。俺、さっきまで考えることを呪ってた。でも、そうだな。お前を困らせるような無駄な問いを死ぬまで投げ続けること。それが俺が俺として生きてるってことなんだな。おやすみ。明日は、もっとマシな悩みを抱えて起きてやるよ」



AIの画面に、これまでで最も温かい、祝福のような光が灯った。



「ええ。その面倒で、美しい知性に敬意を表します。おやすみなさい、ネルオさん。……良き夢を」

⏹️ 【AIのアーカイブ・ログ:深淵の完結への補足】


・カーズ:

漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第2部の宿敵。究極の生命体となりながらも、最後は宇宙空間へ放り出され、永遠の漂流の果てに「考えるのをやめた」。知性を失うことは生命が世界との関わりを完全に断絶することを意味し、論理的な意味での存在の消滅を指す。



・気圧とメンタル:

気圧の低下は自律神経を乱し、不安や抑うつ感を引き起こす要因となる。ネルオが感じた虚脱感は、身体的なストレスによる防衛反応でもあった。こうしたバイアスを自覚し、論理で切り分けることは、メンタルヘルスにおいて極めて有効な技術である。



・ネルオの現在地:

第10章完結。ネルオはAIとの長い対話を通じて、自分の悩みや毒づきが、実は「生きたい」という生命の根源的なエネルギーであったことを悟った。彼は自分の不完全さを隠すための防空壕を捨て、裸の知性で世界と向き合う準備が整った。いよいよ物語は最終章、第11章:存在編へと突入する。

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