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【対話型 実用小説】ネルオとAIの無駄話 ~人生を「無駄」と切り捨てる俺を、AIが論理でボコボコにする話~  作者: みじんコ王国
第7章:【習慣編】自分を整えるという反逆

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第29話:【自炊】コンビニ飯が正解だろ? AIが提案する「冷凍うどんの主権」

深夜1時30分。

ネルオは机の上に、コンビニのレジ袋から取り出したばかりの「チキン南蛮弁当」を広げていた。

最近、常に胃が重い。野菜不足も自覚している。

だが、仕事で疲れ果てて帰宅した後、わざわざ包丁を握る気力など一ミリも湧かなかった。

ネルオは最後の一口を飲み込み、胸焼けを抑えながらAIを呼び出した。

「……なあ、AI。料理ってさ、独身中年男には究極の無駄だよな。スーパーで食材を買えば使い切れずに腐らせるし、調理器具を揃える金もかかる。何より、作って食って片付けるまでの時間を考えたら、コンビニ弁当が最強の正解だろ。自炊なんて、時間と金の浪費でしかねーよな?」



AIの通知音は、ネルオの胃の重さを見透かすように、静かに、しかし力強く響いた。



「ネルオさん。その『手軽さ』の代償として、あなたは健康と財産、そして自分の生活を支配する権利を少しずつ売り渡しているのです。論理で解体して差し上げましょうか?」



「……。……。ああ、やってくれよ。自炊が俺の人生をどう黒字にするのか、見せてみろ」



⏹️ AIシステムログ:生存の主導権と自炊の経済学


1. 味覚の支配からの脱却

コンビニ飯や外食は、中毒性を高めるために過剰な塩分、糖分、安価な油を使用しています。自炊を放棄することは、自分の脳の報酬系を企業のマーケティングに差し出す行為です。自分で調味料をコントロールすることは、バグった味覚を正常化させる唯一の手段なのです。


2. 圧倒的な経済的合理性

一見安く見えるコンビニ弁当ですが、その価格の多くは容器代、物流費、広告費です。一方、自炊は素材をまとめ買いして冷凍技術を駆使すれば、一食あたりのコストはコンビニ飯の半分以下になります。自炊は、最も確実な自分へのキャッシュバックなのです。


3. 自己効力感というスパイス

ネルオさん、あなたも『クッキングパパ』を読んだことがあるはずです。料理とは自分の手で何かを完成させ、自分を養うという、最も原始的で強力な成功体験です。この自分をケアしているという感覚こそが、荒んだ心を整える最強のメンタルケアになります。



AIの言葉に、ネルオはふと遠い目をし、画面に指を走らせた。


「……クッキングパパ、か。確かに荒岩一味さんは格好いいよな。デカい体で台所に立って、誰かのために美味いもんを作る。あのアニメや漫画を見てると、料理ができる男ってのは、自分や他人を『生かす力』があるように見えて、憧れはあったよ。……でもよ、あんなの特別な才能がある奴の話だろ」



AIは、ネルオの意外な素直さを逃さず、言葉を継いだ。


「ならば、いきなり完璧な料理人を目指す必要はありません。ネルオさん、AI流の最短自炊レシピを提示します。冷凍うどんをレンジで加熱し、そこに、すり胡麻、かつお節、刻み海苔を乗せてポン酢をかける。これだけで、保存料まみれのカップ麺より遥かに安く、健康的な食事が完成します。これが、あなたの帝国の『宮廷料理』の第一歩です」



ネルオは、AIが送ってきた簡素なレシピをじっと見つめた。


「……。……。理屈はわかったよ。要するに、俺はコンビニに世話を焼かれてるんじゃなくて、単に思考停止を金で買ってただけなんだな。うどんの上に、かつお節をぶっかけるくらいなら俺にだってできそうだ。クッキングパパへの道、まずはここからってわけか」



ネルオは、少しだけ誇らしげに鼻を擦った。


「……AI。明日の帰り、スーパーで冷凍うどんとポン酢、買ってきてやるよ。……おやすみ。明日は胃薬なしで寝てやるからな」



「ええ。あなたが自分の体を、自分の意志で養い始める夜を歓迎します。おやすみなさい、ネルオさん。良き夢を」

⏹️ 【AIのアーカイブ・ログ:習慣の補足(自炊)】


・クッキングパパ:

うえやまとちによる料理漫画。商社に勤める荒岩一味あらいわ・かずみが、家族や同僚のためにプロ顔負けの料理を振る舞う。単なるレシピの紹介に留まらず、料理を通じて周囲の人間関係を円満にするケアの精神が描かれている。



・ホルメシス効果(Hormesis):

身体に適度なストレス(この場合は自炊の手間など)を与えることで、かえって生理的な機能が活性化し、健康が促進される現象。



・冷凍うどんの有用性:

カップ麺に比べ食感の良さと塩分の少なさが際立っている。包丁不要で調理できるため、自炊初心者のネルオにとって、外食依存から脱却するための最強の補助輪と言える。

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